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19 融け合う二人
おぴちょん様
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西田慶男と金子蓮子はセックスするたびに惹かれあい、互いを求める気持ちがますます強くなった。西田は、春香との間には分かち難い心があったが、蓮子との場合はズバリ、セックスだった。
おバカのようでいて、時々見せる蓮子の意外な賢さにはハッとするが、ズケズケ物を言うところ、金への激しい執着心、それに隠れてドラッグをやっているらしいところはマイナスポイントだ。
だが、それでもメスの体を求めるオスの本能には勝てない。西田もいろいろな女と遊んでいるが、蓮子ほどセックスの満足を与えてくれる女はいない。蓮子にとっても西田は最高の相手だ、西田ほど蓮子の体を燃え上がらせてくれる男は今までいなかった。
蓮子は一番好きだった中性美少年タイプにはこのところ興味が失せて、西田にメスの歓びを与えられるのに夢中だった。西田に後ろから激しく犯され突かれると女に生まれた喜びに気が狂いそうになる。二人は惹かれ合い互いに性交したくて仕方がない、会えば夢中で互いの体を貪り合う、月に2回の逢瀬ではとても足りず毎日でも会いたいが自重するしかない。
金子組長に用心しなければならないからだ。そもそも、金子組長が西田を蓮子に近づけたのは女で油断させて西田が自分へ造反する兆候を察知し、有益な情報な情報の糸口を掴むためだ。
始めに西田は蓮子を金子組長の廻し者と思ったが、蓮子を知るうちに蓮子は自分自身の人生を生きていて、誰かの言いなりになるような女ではないと知った。
金子組長は蓮子にとって金づるに過ぎない、それも先行きの長くない爺さんの金子にそこまで義理立てする必要はないし、今まで蓮子が西田を探ろうとする素振りは見せたことがなかった。
二人の逢瀬は蓮子の店の真っ赤なセックス部屋と決まっているが、ここには盗聴器があると考えたほうがいい。西田は警戒し、蓮子との逢瀬では余計なことは一切言わないように心掛けていた。
西田が蓮子に本気になったのは知られてはならない、金子組長の周囲には、
〇蓮子はいくらでも替わりのあるただの情婦
〇蓮子との付き合いは金子組長への顔立て
思わせておかねばならない。
もしも西田と蓮子が運命的パートナーとなったと金子組長が知れば、嫉妬に駆られてどう出てくるか分からない。気分一つで手下に西田殺害を命じかねないだろう。
金子組長は汚い手を使ってノシてきた極道なのだ。自分のためならどんなことでもやってのける、今までに陰で殺した人間は20人では効かず、2番目の妻も交通事故を装って殺したとの噂があるくらいだ。
だが、西田にとって金子組長は危険ではあっても悪徳ビジネスの共謀者として良い関係を持続せねばならない。蓮子への欲望はまだ当分は抑えるしかない。
西田が蓮子と出会って2年が過ぎようとしていた。金子組長は74歳を迎えたがこのところ心臓の調子が悪く胸の痛みを訴えて受診すると「虚血性心疾患」と診断された、つまり心臓の老化である。
「心臓に負担のかかる激しい運動は避けたほうがいいです、命にかかわりますよ」
と医者に言われたせいか、性欲が衰えて蓮子との交わりでは自分はあまり動かずに蓮子に騎乗位をさせるか、オーラルセックス主体になった。それでも金子組長は蓮子を手放す気はないようだ。
西田は梅河組の力を蓄えて僅かの期間に金子組に迫るまでに成長させた。このままいけばいずれは金子組を凌駕できるだろう。金子組長はこの変化を警戒しているが、まだ西田が自分に反旗を翻すとは思っていない。金子組と梅河組が真っ向からぶつかればまだ金子組が有利だし、そんなことをすれば互いに消耗して岩原に他の暴力団の介入を許して漁夫の利を与えるだけだ。
西田は近いうちに金子組長を消そうと考えた。今なら金子組長は西田がそんな挙に出るとは思ないから隙がある。何よりも西田は一刻も早く蓮子と結婚したいのだ。蓮子と心行くまで語り合い、身も心も打ち解けあいたいのだ。
金子組長には子がなく組の跡継ぎは決まっていない、金子組長が死ねば法的には妻の蓮子が相続人となり、西田が蓮子と結婚すれば組長に就任する正当性も得られる。それから梅河組と金子組を合併するのだ、そうなれば金子組の組員たちも反発し黙っていないだろうが、それはそうなったときに考えればいい。
この計画では金子組長を事故か病死に見せかけて始末する必要がある。西田はその方法をずっと考えているが、金子組長に気取られてはならない。西田はご機嫌伺いに金子組を度々訪れ、体に良い健康食品や漢方薬を次々に贈り、新たなビジネスの相談も持ち掛けた、共通の利害があれば金子組長の西田への警戒は緩むからだ。
蓮子は西田との逢瀬を月に4回に増やすように金子組長にねだった。
「組長がちょっとしかしてくれないから、あたし物足りないのよ」
と甘えた声で言う。
金子組長もそれを言われれば弱い、自分の精力減退は覆いようもないし、蓮子が寝たい相手とは好きなようにさせるのがそもそもの結婚の条件だから、金子組長は苦笑いしながら承知した。
「ねえ、それとね、いつもの赤い部屋は古いからもう飽きたの、あたし、あそこではやる気がしなくなっちゃった。それになんとなくあの部屋は気味悪いのよね、だからこれからは西田さんのところにするね、最近事務所を建て直してキレイなH部屋も作ったのよ」
これも金子組長は認めた。蓮子も二人が逢瀬に使う赤い部屋は金子組長が盗撮、盗聴していると疑ってるたのだ。その恐れのない西田の許ならばなんでも思い切り語り合えるし、どんなプレイも安心して出来る。
蓮子が、気味悪いと言った赤い部屋は四面の壁の一面全体が鏡張りだが、それはマジックミラーで、金子組長はその裏側にある小部屋から二人の逢瀬をしばしば見詰めていたのだ。金子組長は昔からそうやってセックスによって人の弱みを掴んでは恐喝に使ってきた。
西田もセックス後の開放感から何かボロを出さないかと期待したのだが、彼はそんな甘い男ではない。金子組長は壁に仕掛けた収音マイクで二人の会話を聞いていたが、西田は殆ど蓮子に喋らせて、自分は人に聞かれても問題ないことしか話さない。
多分、西田は盗聴、盗撮を読んでいるのだろう、これでは覗き見の意味がない。
目の前の美男美女が繰り広げる激しいセックスを観察すのは生のAVとしては面白いが、それも見飽きてしまった。監視は録画録音に任せて、自分はたまにしか覗きをしなくなったが、いつまで経っても西田の警戒が揺らぐ様子はない。
それにこの赤い部屋も老朽化し、そろそろ改修の時期だ、改修工事をすれば部屋の秘密が蓮子に知られてしまう。ここは蓮子の店だから改修工事のときに見られてしまうだろう。こんな裏事情があって金子組長は西田の許での逢瀬を認めたのだった。
初めて安心な逢引の場所を得て、二人はオス・メスになって盛り合い、完全燃焼後の充足感に包まれている。裸で抱き合いながら蓮子は今までに盗聴を恐れて西田に言えなかった話を始めた。
金子組長は西田と蓮子のセックスで西田がどんなセックスをするのか興味津々で訊いてくるという。西田の好きな体位、どんなふうに射精するのか、西田がイクときの顔とか、蓮子がどんなふうにイカされたか、それはしつこく訊ねるらしい。金子組長は覗き見た二人の様子と蓮子の言うことが違っていないか?蓮子が隠し事や、ウソをついていないかをチェックしていたのだが、蓮子はあるがままのことを金子組長に話したので金子組長は蓮子を信用した。
蓮子は、
「あれだけあなたのことを訊いてくる気持ちが分からないのよ、始めはあなたに嫉妬しているんだと思っていたけど、よく聞いているとそうでもないみたいなの、たぶんね、金子組長はあなたのことが好きなのよ、あなたとあたしがセックスしているのを想像するとたまらなく興奮するって言うのよ、変でしょう、金子組長は男も好きなのかもね。ヤクザは意外と男好きが多いのよ、でも、男を張らなきゃならない商売で、オカマとかホモと呼ばれるのは男の名折れだからって隠すのよ、そんなことが知れたら破門にされるかもしれないしね。組長といったって子分から舐められたらお終いだからやっぱり男好きは隠すしかないわ。私の見るところ金子組長は90%そうだと思うわ」
これは蓮子の全くの勘違いである。
「なんだって!俺はそんなこと思ったこともなかった。オカマやホモは好きじゃないし身の回りにもいない。俺には関係ないって思っていたけど、まさか金子組長がそうだなんて思いもしなかった・・・・・いや、待て違うぞ、そうじゃない、きっと金子組長は俺たちの様子を隠れて撮影していたんだ。その映像と蓮子の言うことが違っていないか?しつこくきいて蓮子を調べていたんだよ」
「ああ、そうかあ!そこまでは思いつかなかったわ。なるほどねえ、そう考えれば辻褄が合うわね。なーんだとんだ勘違いをしちゃった」
「でも、なんで蓮子は、ヤクザは意外と男好きが多いとかなんで知っているんだ?そんなことに興味があるのか?」
「あたしもヤクザの女だからヤクザのことは知ってるわよ。それとね、あたしはいろんなセックスを知ってるの、あなたが知らないことをいろいろとね」
「俺が知らないってどんなことさ?なんで知ってるのさ?」
「言うまでもないことだけど、あたしが娼婦だからよ。それも最高級の娼婦だから。あたしは最高級だからお客さんには最高の満足をあげるのよ。娼婦でも見た目だけキレイでお高くとまってるのがいるけど、そんなのは最低よ。あたしは最高級だからお客さんの心もほぐしてあげるの、これは普通の娼婦には出来ないことよ。だからあたしはその分のお金をもらうの、あたしは高いのよ。人はセックスして満ち足りた気持ちになるとつい口が軽くなるでしょ。普段は絶対に言わないことでも喋ってしまう。あたしを買った男の人でも女よりも男が好きだって言った人は何人もいるわ。ちゃんとあたしとセックス出来るのに男の方が好きなのよ。そんな秘密を喋っちゃうのはそれだけあたしに気を許しているからなの、あたしはプロだから秘密は絶対に守るわ。お金はガッチリもらうけどね、でも逆にそれが信頼されて一緒にゲイバーに行ったり男同士のセックスに立ち会ったり、そこに参加したりいろいろと経験したわ。それでそういう関係の知り合いも増えちゃったのよ。」
「そうなのか、蓮子は只者じゃないと思っていたけど、俺の知らない世界をいろいろ知ってそうだなあ、ますます好きになった、これから新しい世界を教えてくれよ」
「あたしがあなたを好きなのはそういうところよ、狭量じゃないってところ、そういう人じゃなきゃあたしは好きにならないの、あなたはオカマやホモが好きじゃなくても、そういう人を理解してどう利用するかをすぐに考えるでしょ、それはあたしも同じなのよ。そうだ、話のついでに言っておきたいことがあるの。あなたがあたしを嫌になるかもしれないから、あんまり言いたくないんだけど、やっぱり言わないと気が済まないの。あたしが美少年を好きなのは前にチラッと言ったわよね。それだけじゃなくて女も好きなのよ。一番が美少年、二番がかっこいい男、その次が美女よ。あなたは二番目に好きなタイプだけど、あなたと付き合うようになってあなたが一番好きになってしまったの。あなたのように鋭い感じの男を本気で好きになったのはこれが初めてよ、今は誰よりもあなたのことが好きだけど、あなただけが好きなのではないの。あたしは娼婦よ、娼婦として人格が成り立っているの、だからいつもいろんな人とセックスしていないと嫌なの、そうしないと体と心が保てない。この、いろんな人の中にはきれいな女性も入っているわ。あたしはこういう変態なのよ、レズもSMも好きでしかも子供の産めないセックス妖怪なの、こんな私のこと理解できるかしら?もう知っているだろうけど、あたしはドラッグも使うわ。でも中毒ではないのよ、クスリはお客を悦ばすためなの。自分には強い気持ちでキッチリとコントロールしているわ。あたしが昔寝た男で重度の覚醒剤中毒がいたけど、ああは決してならないわ、今ではドラッグはたまにしか使わないの、だからそれは安心してね」
「凄い話だなあ、普通の男なら驚いて逃げるだろうな。でも俺は逆に嬉しい、俺の女はこんな豪傑だと誇らしいよ。ミステリアスな蓮子にはますます惹かれちゃうよ」
「うん、あなたがあたしをすごく好きなのはよく分かっている、あたしもあなたが好き、たぶんあなたがあたしを好きなのよりもあたしはあなたを好きよ。あなたの体が好き、あなたの顔が好き、あなたのズタズタに傷ついた心が好きよ。もし、あなたがこんなあたしを認めてくれるならあなたと結婚したい」
「俺もお前にプロポーズしようと思っていたんだ、俺と結婚してくれ。今は無理だが、状況が変わり次第に結婚しよう。俺はお前じゃなきゃダメなんだ。お前よりいい女はこの世にいない。お前の素晴らしい体、綺麗な顔、たまらないテクニック、淫乱で抜けたようでいて、ホントは怜悧で、今のようなハッとするような切り口を見せてくれる、そこに俺は惚れたんだ、もう離れられない」
「ああ、嬉しいわ」
「お前から結婚したいと言われるなんて驚いた、嬉しいよ。俺はお前が女と寝ようが美少年と寝ようが、クスリをやろうが、そんなことは構わない。俺はお前が好きだからお前が幸せならばそれでいい、お前は好きなようにすればいいんだ。お互いの信頼さえあればそれでいい、つまらない嫉妬なんてしないさ。どうせ俺たちは子供を作れない体なんだから、逆手にとって思い切りセックスを謳歌しよう、お互いを縛らない夫婦になろうじゃないか」
「嬉しい、あたしにとってそれが理想の結婚よ、あたしが言いたいことをあなたが言ってくれた。あたしもそんな夫婦になりたい」
「よし、決まりだ、だけど邪魔者をどうする、あの爺さんを」
「それはこれから考えていきましょう、でも当面は自重よ」
「そうだなあ、今はそれしかないよな。ところで、さっき、あなたのズタズタに傷ついた心が好き、と言ったけど、どういう意味なんだ?」
「あなたは不幸を抱えて大変な思いをしてきたでしょ、苦しみは先天性無精子症だけじゃないはずよ、幾つも人に言えない不幸や絶望を抱えているでしょ、それを言っているのよ」
「なんでそんなことが分かるんだ」
「だから言ったでしょ、あたしは最高級娼婦だって、相手のことはセックスしてみれば大抵感じ取れるのよ、あなたの年齢であなたほど憂いを感じさせる人はいないもの、一緒にいるといつも感じるの。だからあなたについていろいろ調べて、そこからあなたの過去を推理してみたわ、遠慮なく言うから気に障ったらごめんなさいね。二番目の奥さんが亡くなった原因の、あの噂は事実よね、あなたと二番目の奥さんは血のつながった姉弟。それと最初の奥さんと別れた理由は、その人があなたを酷く傷付けた、またはあなたを愛していなかったから。それであなたはショックを受けてしばらく療養をしていた。そして二番目の奥さんがその状態からあなたを救ったんでしょ、だからあなたは二番目さんのことが大好きになった、しかし、その人は亡くなってしまった。あなたは最愛の人を亡くして激しい衝撃を受けた。そこから立ち直るために修験道に打ち込んで自分を鍛えた。それで現実と戦ってやろうと岩原に帰って来た。どう、事実はそんなに違わないんじゃないの?」
「ああ、図星だ、よく分かったな。なんだかお前が怖くなったよ。余程、俺のことを調べたのかい?それとこのとこは金子組長には話したのかい?」
「いやだ、金子組長に話すわけがないでしょ。自分が結婚したい相手のことをよく知りたいと思うのは当然じゃないの。このところ考えるのはあなたのことばかりだもの、このくらいは分かって当然よ、ねえ、嫌じゃなかったら本当のところはどうだったか教えてくれない?」
「ああ、教えてやる」
西田は包み隠さず過去を話した、白川征義の殺害を除いて。
「そうだったの、想像以上だわ、凄いわ、よくそれで耐えていられたわね。私ならノイローゼになっちゃうわ」
「なったさ、だからこうして・・・・」
西田は急に黙り込んだ、そして涙を流した。蓮子は驚いて見詰めている。
「ごめんなさい、やっぱり辛いことを思い出させてしまったのね、もう聞かないから許して」
「そうじゃない、そうじゃないんだ、嬉しかったんだ、蓮子の言葉が」
「どういうことなの?」
「今、お前と話していて、なんだかこのやり取りは前にもあったなあ、ってずっと感じていたんだ。それが何かは分からなかったけど、たった今、分かった。俺が那須の温泉宿で春香に一美に苦しめられたのを打ち明けたときのことだ、春香は、本当に辛い思いをしたのね。よく耐えたわ、私ならノイローゼになっちゃうところだわ、って言ったんだ。そのときに俺は嬉しくて春香を女神だと思った。今、蓮子は春香と同じことを言ってくれたんだ、俺の辛い過去を聞いて自分のことのように同情してくれた、春香と同じだ。これは運命だなってと感じたんだ。蓮子は春香以上の女神様だ。俺にはもうお前しか見えない」
「そうだったの、びっくりした。でも、悪の権化、がこんな純情な涙を流すなんてね。ほんとにかわいくてビックリだわ。あなたは今も春香さんを心の底から愛しているのね、立派だわ。でも気を遣って、蓮子は春香以上の女神様だ、なんて言わなくていいのよ、あなたの心にいる春香さんは永遠不滅だもの、その春香さんに対抗しようなんて思わないわ、私も春香さんが好きよ」
「なんかお前は仏さまみたいだな」
「だって、たった今、つまらない嫉妬はしない、互いに束縛しない夫婦になろうって言ったばかりじゃないの。あなたが誰を愛そうと嫉妬しない、あなたがあたしのことを愛してくれさえすればいいのよ。もし、あなたの気持ちが変わってもそれは仕方のないことよ、あなたの気持ちがあたしから去っても追ったりはしない、だってあたしは最高級娼婦だから、いつも何人もの人とセックスして生きていくの。春香さんが生きていれば私は春香さんともセックスしたいわ、もちろん春香さんがOKならばだけどね。春香さんはキレイな人だったんでしょ?」
「ああ、キレイだったよ」
「あたしはキレイな人はみんな好きよ。キレイな人なら男でも女でもセックスしたいから。キレイでなくてもお金さえもらえればセックスして楽しませてあげるわ。だからあたしは広い心を持つ博愛主義者なのよ」
「ふうん、そんな考え方もあるのか」
「だからあなたにも同性愛の体験を薦めるわ、思いがけない世界が広がるわよ、試しに金子組長と寝てみたらどうかしら?」
「おい、おい、それだけは勘弁してくれよ」
「冗談よ、冗談、あははは」
「まったく、蓮子には、やられっぱなし、だな」
「え、なに」
「いや、なんでもない」
二人は再び抱き合った。
おバカのようでいて、時々見せる蓮子の意外な賢さにはハッとするが、ズケズケ物を言うところ、金への激しい執着心、それに隠れてドラッグをやっているらしいところはマイナスポイントだ。
だが、それでもメスの体を求めるオスの本能には勝てない。西田もいろいろな女と遊んでいるが、蓮子ほどセックスの満足を与えてくれる女はいない。蓮子にとっても西田は最高の相手だ、西田ほど蓮子の体を燃え上がらせてくれる男は今までいなかった。
蓮子は一番好きだった中性美少年タイプにはこのところ興味が失せて、西田にメスの歓びを与えられるのに夢中だった。西田に後ろから激しく犯され突かれると女に生まれた喜びに気が狂いそうになる。二人は惹かれ合い互いに性交したくて仕方がない、会えば夢中で互いの体を貪り合う、月に2回の逢瀬ではとても足りず毎日でも会いたいが自重するしかない。
金子組長に用心しなければならないからだ。そもそも、金子組長が西田を蓮子に近づけたのは女で油断させて西田が自分へ造反する兆候を察知し、有益な情報な情報の糸口を掴むためだ。
始めに西田は蓮子を金子組長の廻し者と思ったが、蓮子を知るうちに蓮子は自分自身の人生を生きていて、誰かの言いなりになるような女ではないと知った。
金子組長は蓮子にとって金づるに過ぎない、それも先行きの長くない爺さんの金子にそこまで義理立てする必要はないし、今まで蓮子が西田を探ろうとする素振りは見せたことがなかった。
二人の逢瀬は蓮子の店の真っ赤なセックス部屋と決まっているが、ここには盗聴器があると考えたほうがいい。西田は警戒し、蓮子との逢瀬では余計なことは一切言わないように心掛けていた。
西田が蓮子に本気になったのは知られてはならない、金子組長の周囲には、
〇蓮子はいくらでも替わりのあるただの情婦
〇蓮子との付き合いは金子組長への顔立て
思わせておかねばならない。
もしも西田と蓮子が運命的パートナーとなったと金子組長が知れば、嫉妬に駆られてどう出てくるか分からない。気分一つで手下に西田殺害を命じかねないだろう。
金子組長は汚い手を使ってノシてきた極道なのだ。自分のためならどんなことでもやってのける、今までに陰で殺した人間は20人では効かず、2番目の妻も交通事故を装って殺したとの噂があるくらいだ。
だが、西田にとって金子組長は危険ではあっても悪徳ビジネスの共謀者として良い関係を持続せねばならない。蓮子への欲望はまだ当分は抑えるしかない。
西田が蓮子と出会って2年が過ぎようとしていた。金子組長は74歳を迎えたがこのところ心臓の調子が悪く胸の痛みを訴えて受診すると「虚血性心疾患」と診断された、つまり心臓の老化である。
「心臓に負担のかかる激しい運動は避けたほうがいいです、命にかかわりますよ」
と医者に言われたせいか、性欲が衰えて蓮子との交わりでは自分はあまり動かずに蓮子に騎乗位をさせるか、オーラルセックス主体になった。それでも金子組長は蓮子を手放す気はないようだ。
西田は梅河組の力を蓄えて僅かの期間に金子組に迫るまでに成長させた。このままいけばいずれは金子組を凌駕できるだろう。金子組長はこの変化を警戒しているが、まだ西田が自分に反旗を翻すとは思っていない。金子組と梅河組が真っ向からぶつかればまだ金子組が有利だし、そんなことをすれば互いに消耗して岩原に他の暴力団の介入を許して漁夫の利を与えるだけだ。
西田は近いうちに金子組長を消そうと考えた。今なら金子組長は西田がそんな挙に出るとは思ないから隙がある。何よりも西田は一刻も早く蓮子と結婚したいのだ。蓮子と心行くまで語り合い、身も心も打ち解けあいたいのだ。
金子組長には子がなく組の跡継ぎは決まっていない、金子組長が死ねば法的には妻の蓮子が相続人となり、西田が蓮子と結婚すれば組長に就任する正当性も得られる。それから梅河組と金子組を合併するのだ、そうなれば金子組の組員たちも反発し黙っていないだろうが、それはそうなったときに考えればいい。
この計画では金子組長を事故か病死に見せかけて始末する必要がある。西田はその方法をずっと考えているが、金子組長に気取られてはならない。西田はご機嫌伺いに金子組を度々訪れ、体に良い健康食品や漢方薬を次々に贈り、新たなビジネスの相談も持ち掛けた、共通の利害があれば金子組長の西田への警戒は緩むからだ。
蓮子は西田との逢瀬を月に4回に増やすように金子組長にねだった。
「組長がちょっとしかしてくれないから、あたし物足りないのよ」
と甘えた声で言う。
金子組長もそれを言われれば弱い、自分の精力減退は覆いようもないし、蓮子が寝たい相手とは好きなようにさせるのがそもそもの結婚の条件だから、金子組長は苦笑いしながら承知した。
「ねえ、それとね、いつもの赤い部屋は古いからもう飽きたの、あたし、あそこではやる気がしなくなっちゃった。それになんとなくあの部屋は気味悪いのよね、だからこれからは西田さんのところにするね、最近事務所を建て直してキレイなH部屋も作ったのよ」
これも金子組長は認めた。蓮子も二人が逢瀬に使う赤い部屋は金子組長が盗撮、盗聴していると疑ってるたのだ。その恐れのない西田の許ならばなんでも思い切り語り合えるし、どんなプレイも安心して出来る。
蓮子が、気味悪いと言った赤い部屋は四面の壁の一面全体が鏡張りだが、それはマジックミラーで、金子組長はその裏側にある小部屋から二人の逢瀬をしばしば見詰めていたのだ。金子組長は昔からそうやってセックスによって人の弱みを掴んでは恐喝に使ってきた。
西田もセックス後の開放感から何かボロを出さないかと期待したのだが、彼はそんな甘い男ではない。金子組長は壁に仕掛けた収音マイクで二人の会話を聞いていたが、西田は殆ど蓮子に喋らせて、自分は人に聞かれても問題ないことしか話さない。
多分、西田は盗聴、盗撮を読んでいるのだろう、これでは覗き見の意味がない。
目の前の美男美女が繰り広げる激しいセックスを観察すのは生のAVとしては面白いが、それも見飽きてしまった。監視は録画録音に任せて、自分はたまにしか覗きをしなくなったが、いつまで経っても西田の警戒が揺らぐ様子はない。
それにこの赤い部屋も老朽化し、そろそろ改修の時期だ、改修工事をすれば部屋の秘密が蓮子に知られてしまう。ここは蓮子の店だから改修工事のときに見られてしまうだろう。こんな裏事情があって金子組長は西田の許での逢瀬を認めたのだった。
初めて安心な逢引の場所を得て、二人はオス・メスになって盛り合い、完全燃焼後の充足感に包まれている。裸で抱き合いながら蓮子は今までに盗聴を恐れて西田に言えなかった話を始めた。
金子組長は西田と蓮子のセックスで西田がどんなセックスをするのか興味津々で訊いてくるという。西田の好きな体位、どんなふうに射精するのか、西田がイクときの顔とか、蓮子がどんなふうにイカされたか、それはしつこく訊ねるらしい。金子組長は覗き見た二人の様子と蓮子の言うことが違っていないか?蓮子が隠し事や、ウソをついていないかをチェックしていたのだが、蓮子はあるがままのことを金子組長に話したので金子組長は蓮子を信用した。
蓮子は、
「あれだけあなたのことを訊いてくる気持ちが分からないのよ、始めはあなたに嫉妬しているんだと思っていたけど、よく聞いているとそうでもないみたいなの、たぶんね、金子組長はあなたのことが好きなのよ、あなたとあたしがセックスしているのを想像するとたまらなく興奮するって言うのよ、変でしょう、金子組長は男も好きなのかもね。ヤクザは意外と男好きが多いのよ、でも、男を張らなきゃならない商売で、オカマとかホモと呼ばれるのは男の名折れだからって隠すのよ、そんなことが知れたら破門にされるかもしれないしね。組長といったって子分から舐められたらお終いだからやっぱり男好きは隠すしかないわ。私の見るところ金子組長は90%そうだと思うわ」
これは蓮子の全くの勘違いである。
「なんだって!俺はそんなこと思ったこともなかった。オカマやホモは好きじゃないし身の回りにもいない。俺には関係ないって思っていたけど、まさか金子組長がそうだなんて思いもしなかった・・・・・いや、待て違うぞ、そうじゃない、きっと金子組長は俺たちの様子を隠れて撮影していたんだ。その映像と蓮子の言うことが違っていないか?しつこくきいて蓮子を調べていたんだよ」
「ああ、そうかあ!そこまでは思いつかなかったわ。なるほどねえ、そう考えれば辻褄が合うわね。なーんだとんだ勘違いをしちゃった」
「でも、なんで蓮子は、ヤクザは意外と男好きが多いとかなんで知っているんだ?そんなことに興味があるのか?」
「あたしもヤクザの女だからヤクザのことは知ってるわよ。それとね、あたしはいろんなセックスを知ってるの、あなたが知らないことをいろいろとね」
「俺が知らないってどんなことさ?なんで知ってるのさ?」
「言うまでもないことだけど、あたしが娼婦だからよ。それも最高級の娼婦だから。あたしは最高級だからお客さんには最高の満足をあげるのよ。娼婦でも見た目だけキレイでお高くとまってるのがいるけど、そんなのは最低よ。あたしは最高級だからお客さんの心もほぐしてあげるの、これは普通の娼婦には出来ないことよ。だからあたしはその分のお金をもらうの、あたしは高いのよ。人はセックスして満ち足りた気持ちになるとつい口が軽くなるでしょ。普段は絶対に言わないことでも喋ってしまう。あたしを買った男の人でも女よりも男が好きだって言った人は何人もいるわ。ちゃんとあたしとセックス出来るのに男の方が好きなのよ。そんな秘密を喋っちゃうのはそれだけあたしに気を許しているからなの、あたしはプロだから秘密は絶対に守るわ。お金はガッチリもらうけどね、でも逆にそれが信頼されて一緒にゲイバーに行ったり男同士のセックスに立ち会ったり、そこに参加したりいろいろと経験したわ。それでそういう関係の知り合いも増えちゃったのよ。」
「そうなのか、蓮子は只者じゃないと思っていたけど、俺の知らない世界をいろいろ知ってそうだなあ、ますます好きになった、これから新しい世界を教えてくれよ」
「あたしがあなたを好きなのはそういうところよ、狭量じゃないってところ、そういう人じゃなきゃあたしは好きにならないの、あなたはオカマやホモが好きじゃなくても、そういう人を理解してどう利用するかをすぐに考えるでしょ、それはあたしも同じなのよ。そうだ、話のついでに言っておきたいことがあるの。あなたがあたしを嫌になるかもしれないから、あんまり言いたくないんだけど、やっぱり言わないと気が済まないの。あたしが美少年を好きなのは前にチラッと言ったわよね。それだけじゃなくて女も好きなのよ。一番が美少年、二番がかっこいい男、その次が美女よ。あなたは二番目に好きなタイプだけど、あなたと付き合うようになってあなたが一番好きになってしまったの。あなたのように鋭い感じの男を本気で好きになったのはこれが初めてよ、今は誰よりもあなたのことが好きだけど、あなただけが好きなのではないの。あたしは娼婦よ、娼婦として人格が成り立っているの、だからいつもいろんな人とセックスしていないと嫌なの、そうしないと体と心が保てない。この、いろんな人の中にはきれいな女性も入っているわ。あたしはこういう変態なのよ、レズもSMも好きでしかも子供の産めないセックス妖怪なの、こんな私のこと理解できるかしら?もう知っているだろうけど、あたしはドラッグも使うわ。でも中毒ではないのよ、クスリはお客を悦ばすためなの。自分には強い気持ちでキッチリとコントロールしているわ。あたしが昔寝た男で重度の覚醒剤中毒がいたけど、ああは決してならないわ、今ではドラッグはたまにしか使わないの、だからそれは安心してね」
「凄い話だなあ、普通の男なら驚いて逃げるだろうな。でも俺は逆に嬉しい、俺の女はこんな豪傑だと誇らしいよ。ミステリアスな蓮子にはますます惹かれちゃうよ」
「うん、あなたがあたしをすごく好きなのはよく分かっている、あたしもあなたが好き、たぶんあなたがあたしを好きなのよりもあたしはあなたを好きよ。あなたの体が好き、あなたの顔が好き、あなたのズタズタに傷ついた心が好きよ。もし、あなたがこんなあたしを認めてくれるならあなたと結婚したい」
「俺もお前にプロポーズしようと思っていたんだ、俺と結婚してくれ。今は無理だが、状況が変わり次第に結婚しよう。俺はお前じゃなきゃダメなんだ。お前よりいい女はこの世にいない。お前の素晴らしい体、綺麗な顔、たまらないテクニック、淫乱で抜けたようでいて、ホントは怜悧で、今のようなハッとするような切り口を見せてくれる、そこに俺は惚れたんだ、もう離れられない」
「ああ、嬉しいわ」
「お前から結婚したいと言われるなんて驚いた、嬉しいよ。俺はお前が女と寝ようが美少年と寝ようが、クスリをやろうが、そんなことは構わない。俺はお前が好きだからお前が幸せならばそれでいい、お前は好きなようにすればいいんだ。お互いの信頼さえあればそれでいい、つまらない嫉妬なんてしないさ。どうせ俺たちは子供を作れない体なんだから、逆手にとって思い切りセックスを謳歌しよう、お互いを縛らない夫婦になろうじゃないか」
「嬉しい、あたしにとってそれが理想の結婚よ、あたしが言いたいことをあなたが言ってくれた。あたしもそんな夫婦になりたい」
「よし、決まりだ、だけど邪魔者をどうする、あの爺さんを」
「それはこれから考えていきましょう、でも当面は自重よ」
「そうだなあ、今はそれしかないよな。ところで、さっき、あなたのズタズタに傷ついた心が好き、と言ったけど、どういう意味なんだ?」
「あなたは不幸を抱えて大変な思いをしてきたでしょ、苦しみは先天性無精子症だけじゃないはずよ、幾つも人に言えない不幸や絶望を抱えているでしょ、それを言っているのよ」
「なんでそんなことが分かるんだ」
「だから言ったでしょ、あたしは最高級娼婦だって、相手のことはセックスしてみれば大抵感じ取れるのよ、あなたの年齢であなたほど憂いを感じさせる人はいないもの、一緒にいるといつも感じるの。だからあなたについていろいろ調べて、そこからあなたの過去を推理してみたわ、遠慮なく言うから気に障ったらごめんなさいね。二番目の奥さんが亡くなった原因の、あの噂は事実よね、あなたと二番目の奥さんは血のつながった姉弟。それと最初の奥さんと別れた理由は、その人があなたを酷く傷付けた、またはあなたを愛していなかったから。それであなたはショックを受けてしばらく療養をしていた。そして二番目の奥さんがその状態からあなたを救ったんでしょ、だからあなたは二番目さんのことが大好きになった、しかし、その人は亡くなってしまった。あなたは最愛の人を亡くして激しい衝撃を受けた。そこから立ち直るために修験道に打ち込んで自分を鍛えた。それで現実と戦ってやろうと岩原に帰って来た。どう、事実はそんなに違わないんじゃないの?」
「ああ、図星だ、よく分かったな。なんだかお前が怖くなったよ。余程、俺のことを調べたのかい?それとこのとこは金子組長には話したのかい?」
「いやだ、金子組長に話すわけがないでしょ。自分が結婚したい相手のことをよく知りたいと思うのは当然じゃないの。このところ考えるのはあなたのことばかりだもの、このくらいは分かって当然よ、ねえ、嫌じゃなかったら本当のところはどうだったか教えてくれない?」
「ああ、教えてやる」
西田は包み隠さず過去を話した、白川征義の殺害を除いて。
「そうだったの、想像以上だわ、凄いわ、よくそれで耐えていられたわね。私ならノイローゼになっちゃうわ」
「なったさ、だからこうして・・・・」
西田は急に黙り込んだ、そして涙を流した。蓮子は驚いて見詰めている。
「ごめんなさい、やっぱり辛いことを思い出させてしまったのね、もう聞かないから許して」
「そうじゃない、そうじゃないんだ、嬉しかったんだ、蓮子の言葉が」
「どういうことなの?」
「今、お前と話していて、なんだかこのやり取りは前にもあったなあ、ってずっと感じていたんだ。それが何かは分からなかったけど、たった今、分かった。俺が那須の温泉宿で春香に一美に苦しめられたのを打ち明けたときのことだ、春香は、本当に辛い思いをしたのね。よく耐えたわ、私ならノイローゼになっちゃうところだわ、って言ったんだ。そのときに俺は嬉しくて春香を女神だと思った。今、蓮子は春香と同じことを言ってくれたんだ、俺の辛い過去を聞いて自分のことのように同情してくれた、春香と同じだ。これは運命だなってと感じたんだ。蓮子は春香以上の女神様だ。俺にはもうお前しか見えない」
「そうだったの、びっくりした。でも、悪の権化、がこんな純情な涙を流すなんてね。ほんとにかわいくてビックリだわ。あなたは今も春香さんを心の底から愛しているのね、立派だわ。でも気を遣って、蓮子は春香以上の女神様だ、なんて言わなくていいのよ、あなたの心にいる春香さんは永遠不滅だもの、その春香さんに対抗しようなんて思わないわ、私も春香さんが好きよ」
「なんかお前は仏さまみたいだな」
「だって、たった今、つまらない嫉妬はしない、互いに束縛しない夫婦になろうって言ったばかりじゃないの。あなたが誰を愛そうと嫉妬しない、あなたがあたしのことを愛してくれさえすればいいのよ。もし、あなたの気持ちが変わってもそれは仕方のないことよ、あなたの気持ちがあたしから去っても追ったりはしない、だってあたしは最高級娼婦だから、いつも何人もの人とセックスして生きていくの。春香さんが生きていれば私は春香さんともセックスしたいわ、もちろん春香さんがOKならばだけどね。春香さんはキレイな人だったんでしょ?」
「ああ、キレイだったよ」
「あたしはキレイな人はみんな好きよ。キレイな人なら男でも女でもセックスしたいから。キレイでなくてもお金さえもらえればセックスして楽しませてあげるわ。だからあたしは広い心を持つ博愛主義者なのよ」
「ふうん、そんな考え方もあるのか」
「だからあなたにも同性愛の体験を薦めるわ、思いがけない世界が広がるわよ、試しに金子組長と寝てみたらどうかしら?」
「おい、おい、それだけは勘弁してくれよ」
「冗談よ、冗談、あははは」
「まったく、蓮子には、やられっぱなし、だな」
「え、なに」
「いや、なんでもない」
二人は再び抱き合った。
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