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8.二人きりの旅行
96.誤魔化さねえと
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「……な……なんなんだろな、アレ」
野上さんが居なくなったテラスで、とりあえず言ったら、丹生田はハッとしたような目を向け、すぐ目を伏せた。
一気にアタマの血が落ちてく。サアアと血が落ちてく音が聞こえる気がして、逆に気まずさが湧き昇ってくる。
マズイ、マズイ、マズイ
とりあえずテーブル上のビールをつかみ、ぐいっとあおった。
誤魔化すのに酒って便利、な筈なんだけど、こっからどう誤魔化せば良いか分かんねえっ!
つかホモとか言われてカッとして、でも丹生田好きなわけだし~~~とかって動揺して、そんでキレちまった─────コレって認めたことになる? よな? そうだよバレた! きっと丹生田にバレた!
ああ~~俺ってバカ!! はるひがホモつったとき流せば良かったんだ『アホか』とかって。なのに逆にキレて、……いや、いやいやいや今ソコ考えんな、なんとかしなきゃなんだから。
なんとか? なんとかって、なんとかってどうやって─────!?
「……藤枝」
ハッとして目を上げる。
丹生田がこっち見てる。なんか困ったみたいな、えっと照れてる? みたいな、イヤ……やっぱ困ってる。
「アレだよ、その」
どうしよどうしよどうしたらいい?……ダメ、ダメだ分かんねえっ
けど目が離せねえ。丹生田が黙ってこっち見てて、困ったみたいなのに真剣な目で、目を逸らせねえ。
じゃじゃ、言わねえとダメだ、なんでもねえって言わねえと、ホラ言え、すぐ言え、言えよ俺っ
「なんで……もね………」
見てる。めちゃガン見されてる。つかコレ、やっぱバレてる? キモいとか……
いやいやいやバレて、そんで困ってんだろ? ダメじゃんヤバいじゃん、丹生田困らせる気なんてねえんだって! じゃじゃ言わねえと! そうじゃねえって、なんでもねえって、勘違いすんなよって、笑って─────目を上げて、ちゃんと見て、笑って言え!
「…………つか、……その」
顔見らんねえ~!!
いっつも勝手に動いちまうくちが、なんで今動かねえんだよ!? どうする? どうしたらイイ? どうするんだよ俺っ!!
気づいたらテラスから飛び出してた。
「藤枝っ」
丹生田が呼んでる。けど振り返るとか無理!
駆け抜けるラウンジで野上サンがグラスに口つけたまんま目を丸くして、ロビーでフロントのおじさんもこっち見てて、やべっ!
ナンカ分かんねえけどやべっ!!
色々見ないようにして階段駆け上がり、部屋に飛び込んでバタンッと閉めたドアに背中預け、たけど足ブルブル震えて力抜けて─────そのまんまズルズルしゃがみ込んだ。
……俺が……丹生田のこと好きだってバレちゃった。ホモって、思った……?
そそそうだよな、はるひちゃんにホモって言われて、客観的に見たらそうなんか? なんて思ったらカアッとしちまって女の子に怒鳴って─────ああもう、俺ってサイテーじゃね?
けどでもだってしょうがねえじゃん?
ずっと隠して片想いでイイって、─────だって丹生田は俺のこと大事な友達だと思ってくれてんだ。なのに好きとか、ホモとか……困るよな? うん、そりゃ困る、困るに決まってる。
だよだよ困るに決まってるんじゃん。だって困った顔してたもん。困ってたもん丹生田。どうしよ、どうしたらいい?
頭グシャグシャかき乱しながら唸ってたら、ガチャッと音がして、ドアが動いた。ハッとして手の動き止まる。
「藤枝」
少しくぐもった低い声。丹生田だ。ドアが、がたがたっと動いて背中が揺れる。
「どうした。なぜドアが開かない」
苛立ったような声が聞こえた。
「あ……」
ドアの前に座り込んでた、から……けど、けど、けど、どうしたら……
「藤枝、どうした」
ドアがドンッと大きな音立てて揺れた。
「大丈夫かっ」
ガンガン音がして、あ、コレって叩いて、イヤ蹴ってんのか、ドア壊れそうな勢いで、焦って
「だ、だいじょぶ」
なんとか答えたら、音と振動は止んだ。
「大丈夫なのか。本当か」
「う……うん」
めちゃ心配そうな声が聞こえ、拓海はヨロヨロ立ち上がる。次の瞬間、ドアがバンッと開いてコケそうになったら、腕つかまれ、コケずに済んだ。
けど
「大丈夫か、藤枝」
ち、近い、近いよ、めっちゃ近いって!
「は、離……」
「どうした」
間近で、なんか必死な目の丹生田見返してたら、ドキンとしてヤバくて「離せって!」こっちも必死で言ったのに、ぜんぜん離してくんなくて、マジやばくて
「丹生田っ!」
なんとか見上げて言ったら、そのまんま部屋に押し込まれて、ベッドの脇に立たされた。そんでめっちゃ近くでめっさ真剣に見てる。見てんだまっすぐ。目が離せねえんだ。ドキドキしちまってヤバくて、そうヤバイんだ。
ヤバいヤバいって、そんだけで、なんとか目を逸らせた。
けどすぐ近くで声が
「藤枝。大丈夫か」
大丈夫じゃねえよバカ! そんな近くでそんな声出すな!
「藤枝」
なんでンな必死な声なんだよ!
くっそ! もう、もうもうもう無理!
「だーーーーっ!!」
もう無理! ぜってー無理無理!!
「もう分かってンだろっ!?」
キレ気味に声上げると「なにをだ」と低い声が返る。
「だから!」
もうバレたんだろ?
ただの友達なんてゼンッゼン思えてねえって、ヤらしいコトとか考えちまってンのバレちまったんだろ?
顔見れねえまんま、そんな考えがダーッとアタマん中駆け巡り
「うっせーーーーーーッ!!」
─────キレた。
野上さんが居なくなったテラスで、とりあえず言ったら、丹生田はハッとしたような目を向け、すぐ目を伏せた。
一気にアタマの血が落ちてく。サアアと血が落ちてく音が聞こえる気がして、逆に気まずさが湧き昇ってくる。
マズイ、マズイ、マズイ
とりあえずテーブル上のビールをつかみ、ぐいっとあおった。
誤魔化すのに酒って便利、な筈なんだけど、こっからどう誤魔化せば良いか分かんねえっ!
つかホモとか言われてカッとして、でも丹生田好きなわけだし~~~とかって動揺して、そんでキレちまった─────コレって認めたことになる? よな? そうだよバレた! きっと丹生田にバレた!
ああ~~俺ってバカ!! はるひがホモつったとき流せば良かったんだ『アホか』とかって。なのに逆にキレて、……いや、いやいやいや今ソコ考えんな、なんとかしなきゃなんだから。
なんとか? なんとかって、なんとかってどうやって─────!?
「……藤枝」
ハッとして目を上げる。
丹生田がこっち見てる。なんか困ったみたいな、えっと照れてる? みたいな、イヤ……やっぱ困ってる。
「アレだよ、その」
どうしよどうしよどうしたらいい?……ダメ、ダメだ分かんねえっ
けど目が離せねえ。丹生田が黙ってこっち見てて、困ったみたいなのに真剣な目で、目を逸らせねえ。
じゃじゃ、言わねえとダメだ、なんでもねえって言わねえと、ホラ言え、すぐ言え、言えよ俺っ
「なんで……もね………」
見てる。めちゃガン見されてる。つかコレ、やっぱバレてる? キモいとか……
いやいやいやバレて、そんで困ってんだろ? ダメじゃんヤバいじゃん、丹生田困らせる気なんてねえんだって! じゃじゃ言わねえと! そうじゃねえって、なんでもねえって、勘違いすんなよって、笑って─────目を上げて、ちゃんと見て、笑って言え!
「…………つか、……その」
顔見らんねえ~!!
いっつも勝手に動いちまうくちが、なんで今動かねえんだよ!? どうする? どうしたらイイ? どうするんだよ俺っ!!
気づいたらテラスから飛び出してた。
「藤枝っ」
丹生田が呼んでる。けど振り返るとか無理!
駆け抜けるラウンジで野上サンがグラスに口つけたまんま目を丸くして、ロビーでフロントのおじさんもこっち見てて、やべっ!
ナンカ分かんねえけどやべっ!!
色々見ないようにして階段駆け上がり、部屋に飛び込んでバタンッと閉めたドアに背中預け、たけど足ブルブル震えて力抜けて─────そのまんまズルズルしゃがみ込んだ。
……俺が……丹生田のこと好きだってバレちゃった。ホモって、思った……?
そそそうだよな、はるひちゃんにホモって言われて、客観的に見たらそうなんか? なんて思ったらカアッとしちまって女の子に怒鳴って─────ああもう、俺ってサイテーじゃね?
けどでもだってしょうがねえじゃん?
ずっと隠して片想いでイイって、─────だって丹生田は俺のこと大事な友達だと思ってくれてんだ。なのに好きとか、ホモとか……困るよな? うん、そりゃ困る、困るに決まってる。
だよだよ困るに決まってるんじゃん。だって困った顔してたもん。困ってたもん丹生田。どうしよ、どうしたらいい?
頭グシャグシャかき乱しながら唸ってたら、ガチャッと音がして、ドアが動いた。ハッとして手の動き止まる。
「藤枝」
少しくぐもった低い声。丹生田だ。ドアが、がたがたっと動いて背中が揺れる。
「どうした。なぜドアが開かない」
苛立ったような声が聞こえた。
「あ……」
ドアの前に座り込んでた、から……けど、けど、けど、どうしたら……
「藤枝、どうした」
ドアがドンッと大きな音立てて揺れた。
「大丈夫かっ」
ガンガン音がして、あ、コレって叩いて、イヤ蹴ってんのか、ドア壊れそうな勢いで、焦って
「だ、だいじょぶ」
なんとか答えたら、音と振動は止んだ。
「大丈夫なのか。本当か」
「う……うん」
めちゃ心配そうな声が聞こえ、拓海はヨロヨロ立ち上がる。次の瞬間、ドアがバンッと開いてコケそうになったら、腕つかまれ、コケずに済んだ。
けど
「大丈夫か、藤枝」
ち、近い、近いよ、めっちゃ近いって!
「は、離……」
「どうした」
間近で、なんか必死な目の丹生田見返してたら、ドキンとしてヤバくて「離せって!」こっちも必死で言ったのに、ぜんぜん離してくんなくて、マジやばくて
「丹生田っ!」
なんとか見上げて言ったら、そのまんま部屋に押し込まれて、ベッドの脇に立たされた。そんでめっちゃ近くでめっさ真剣に見てる。見てんだまっすぐ。目が離せねえんだ。ドキドキしちまってヤバくて、そうヤバイんだ。
ヤバいヤバいって、そんだけで、なんとか目を逸らせた。
けどすぐ近くで声が
「藤枝。大丈夫か」
大丈夫じゃねえよバカ! そんな近くでそんな声出すな!
「藤枝」
なんでンな必死な声なんだよ!
くっそ! もう、もうもうもう無理!
「だーーーーっ!!」
もう無理! ぜってー無理無理!!
「もう分かってンだろっ!?」
キレ気味に声上げると「なにをだ」と低い声が返る。
「だから!」
もうバレたんだろ?
ただの友達なんてゼンッゼン思えてねえって、ヤらしいコトとか考えちまってンのバレちまったんだろ?
顔見れねえまんま、そんな考えがダーッとアタマん中駆け巡り
「うっせーーーーーーッ!!」
─────キレた。
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