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第一章 -無闘者 レン-
第二話【瞳王】
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━━━━━━炎技"烈昇拳"
ヨウは灼熱の闘気を込めた右拳で邪闘者の顎を猛然と打ち上げた。
「………。」
邪闘者は不意に姿を消し、勢いよく虚空を切り裂くと、
辺りの気温が急速に上昇し始めた。
横を向いたヨウが、急襲に遭ったギンジを気にかけ、心配そうに見つめた。
「くそ…速いな。ギンさん!大丈夫か?」
「いちち…まあな。チッ、随分なご挨拶なこった」
ギンジがこめかみの傷をすりすりと優しくさすり、
邪闘者を見失ったヨウが周囲を注意深く見回す。
「やめておけ」
「!」
背後から声が迫り、二人は反射的に後ろに下がる。
バンダナ越しにも伝わる邪悪な表情を浮かべた邪闘者が冷静に言葉を紡ぐ。
「無駄な殺生は上に禁じられているのでな、こちらとしても避けたい…闘魔石の在処を教えろ。そうすれば、身は引くと言っているのだがな」
その言葉に呆れるギンジ。
「ふん…開幕早々ビームをぶっ放しておいてなーにが無駄な殺生は避けたいだ。そしてさっきも言っただろが。この村にはないし、数百年前に闘神様と魔神による戦いで消滅した。この世にはもう存在しとらんわ。」
「なんだと…?戯言をほざくな。虚言に付き合う暇など私にはない。貴様ら人間どもが闘魔石を隠していることは知っている。」
だめだこりゃ。と言った感じで額に手を抑えるギンジ。
「かー!話通じねえなこりゃ!おいヨウ!さっさと片付けちまうぞ」
躍起になるギンジを制止し、対話を試みるヨウ。
「まて、その前に聞きたいことがある。さっき上に禁じられてると言ったが、お前は何かの組織に所属していてその組織のボスのような存在に命令され闘魔石をさがしているのか?」
「………答える必要性が見当たらんな。もういい、ならばこうするまでだ」
邪闘者は冷酷なまなざしで掌の瞳を開き、村の平和な景色を葬り去る光線を放つ。
その矛先はヨウたちではなく、無防備な民家に向けられていた。
「まて! なにをするつ━━━━━━」
異音が辺りに響き渡り、それと同時に恐るべき爆発音が村を包み込む。
「きゃあぁぁぁぁぁ!」
「うおおおおおおお!? なんだなんだ!」
連続する轟音が、住民たちの無念の叫びと共に空に轟く。
まばゆい光と炎が村を飲み込み、平穏だった村は一瞬で地獄のような光景へ変わった。
住民たちは絶叫し逃げ惑う中、邪闘者の非情な攻撃により無差別に巻き込まれ、村は悲劇の舞台となった。
「それ以上惚けるようならばこの村を破壊し尽くす。貴様らの大切にしている住民がどうなっても知らんぞ。」
邪闘者の冷酷な攻撃が続き、その勢いは容赦なく村を襲った。
掌を横にスライドさせる邪闘者の行動により、被害は迅速に拡大していく。
村人たちは絶望的な叫び声を上げ、悲鳴が一つとして重なる。
彼らは家々から必死に飛び出し、逃げ惑いながら地獄のような光景に直面した。
村は一瞬で絶望の渦に巻き込まれ、阿鼻叫喚の中で崩れ去った。
━━━━━━この間約1.2秒
「瞬打!!」.
「!」
ギンジは技巧的な動きで邪闘者に牽制をかけ、何十発もの連続した打撃を瞬時に浴びせた。
だが、その効果は限定的であり邪闘者の攻撃は収まったものの、
特に大きな影響を与えることはなかった。
一時的ながら被害を食い止めた。
「チッ。」
邪闘者は不機嫌そうに舌打ちし、ギンジに向けて攻撃を仕掛けた。
「フッ!」
続け様にヨウが炎の闘気を脚に纏い、勢いよく回し蹴りを繰り出す。
邪闘者は即座に反応して腕で防御し、ギンジに仕向けようとした攻撃を中断した。
ヨウは勢いを利用して空中で手を広げ、技を巧みに邪闘者に浴びせた。
━━━━━━炎技 "灼熱"
ゼロ距離から放たれる歴戦の闘心者の業火。
住民の被害を考慮し火力を制抑せざるを得なかった。
邪闘者の体はヨウの炎によりメラメラと燃え盛り、その煙がシルエットのような役割を果たし、形が見えない。
タッ…………
煙をまとったままヨウは凛とした着地を見せ、ギンジに大声を上げる。
「ギンさん!皆を連れて逃げろ!特に子供優先!!」
「お前はどうするんじゃ!」
「俺は━━━━━━」
ブワッ!!!
邪闘者の放った闘気が瞬く間に煙を四方八方に撒き散らし、
その禍々しい雰囲気が更に辺りを立ち込める。
ザッ…ザッ…
静かに地を踏む音がこちらへ近づいてくる。
「皆が逃げる時間を稼ぐ…!!」
邪闘者は悠々としており、身体にはまるで熱傷の痕跡もなかった。
…………
……………
………………
部屋でじっと待つレン。
父がいつも通り邪闘者を打ち倒してくれると信じていた。
自覚していた、自分が足手纏いな事くらいはとっくの昔に。
それでも尚自分の頑丈さには自信があったため、少しでも父のサポートとして活躍したいという好奇心が収まらなかった。
だが父にあのような冷たい眼差しを向けられたのは、生まれて初めての出来事であった。
今まで見たことがなかった。
轟音が響き渡る。
今回の邪闘者との戦闘はいつもより長く、過去の双剣を持った邪闘者とは比較にならないほど激しいものだった。
父が一人で戦っているのだろうかと疑問がわいてきた。
「………激しいな。いつもより」
レンは感じていた。
その違和感に、何やら不安が漂っていた。
「父さん…」
不意に父親が心配になり、外につながる扉に手を掛けようとした、その時。
「レン!!!」
「ぐえぇっっ!!!!!」
ギンジが扉を開けた衝撃によりレンは勢いよく扉に顔面を、壁に頭を打ちつけた。
「ん…!?いないな、もう既に避難したか?」
「ここ!ギンさんここ!俺挟まってる!痛い痛い!助けて!」
「むっ…すまん」
先の邪闘者との戦いでまだギンジは闘心力が身体から抜けきっていない。
普通ならば潰れていてもおかしくはなかった。
「いつつ…どうしたんだよ騒がしいな。そうだ!父さんは!?今何が起こってんの!?」
父親の攻撃と邪闘者の激しい応酬により、部屋中が振動し、粉塵が舞い上がっていた。
レンは赤く腫れ上がりそうな鼻を手で抑えながら、
涙目で現状説明を求めた。
「すまんが説明してる暇はない!来い!」
「うわっ!ちょっと!?」
ギンジは大慌てでレンを抱えると一目散にその場を飛び出した。
その先に彼が捉えた視界は、正に地獄そのものだった。
「なんだよ………………これ?」
言葉が詰まる、胸が張り裂けそうだ。
ここで過ごした15年の記憶が、青春が、思い出が、全て無に帰すほど村の有様は酷いものだった。
容姿端麗な金髪の看板娘が営む花屋。
通えばいつも強面の男がサービスをくれる事で人気の食堂。
怪しくも些細なことであればどんな未来も的中させることができる村で有名な占いおばばの館。
それぞれの建物が崩れ落ち、火花を散らしながら消え去る。
彼の育った村は、思い出とともに完全に破壊された。
プツン・・・・・少年の中で、何かの糸が切れる音がした。
「あ、、、ぁあ"ぁ………あ"あああぁぁぁ"ぁぁぁああ"っっっっっ!」
叫ぶ。
そりゃ叫ぶだろう。
彼は別に冷めた様子ではない。
凡人、ましてまだ15歳の少年だ。
感情に身を任せて暴れだすのも無理はなかった。
ギンジが村中を駆け回り皆を救済する中、油断をしてしまい暴れ出すレンに逃走を許してしまった。
「こ!こらレン!待ち━━━━━」
闘心力を用い、急いで追おうとするが…
「ギンさん!!ギンさん助けてー!!お爺ちゃんが!!おじいちゃんがあぁあぁぁ!!!」
「!?」
声のする方へ振り向くと、アルマの祖父が崩れた家の瓦礫に埋もれていた。
「………………クソッ!!!」
………
…………
………………
住民たちは村の正門ではなく、真逆の方向へ四方八方に逃げ散り、
ヨウ達は闘神者御用達の酒場で乱戦を繰り広げていた。
酒場の中では激しい音が鳴り響き、壁やテーブルが激しい戦闘によって壊れ飛んでいく。
テーブルや椅子が破壊され、各種の飲み物が床に散乱する中、
酒場の空気は緊迫と混沌に包まれていた。
ガラスの割れる音や金属がぶつかる音が入り混じり、二人の攻防が激しさを増していた。
ヨウはその中で邪闘者の放つ光線を避けながら戦い続けていた。
「ハッ!」
「…………。」
椅子を投げつけ、制止を試みるも、無言でそれを拳で破壊する邪闘者の姿勢は変わらない。
「おいおいおい!!それ俺のお気にの席だったのにどうしてくれんだ!弁償しろよな!」
「………くだらん」
「それやめろマジでぇ!!!」
先程まで放った持続的な放射線とは裏腹に、今度は銃を発砲するように数回に分けて放つ。
避ける暇のない速度で放ちヨウを追い詰める。
(ちっ……正面から叩き返すしかないか)
隻腕に闘心力を少し強く注ぎ、ヨウは連続で放たれるエネルギー弾を次々と弾く。
エネルギー弾が床や天井を貫通し、あらゆる方向に飛び散り、店内は穴だらけになった。
全て弾き返した後、一息つく。
「ふぅ………お前、まだ全然本気出してないだろ。ウォーミングアップ程度にもなってないんじゃないのか?」
闘心者としてのスイッチが入ったのか、人差し指を向け挑発する。
その言葉に手を止める邪闘者は顔を強張らせ青筋を立てた。
「本気…?人間風情が思い上がるな…」
「貴様一人で私をどうこう出来ると思っているのか?ましてや隻腕…私をコケにするのも大概にしろ………」
フツフツと可視化できるほどの薄黒きオーラが邪闘者の右拳に充満していく。
「闇で思い出すがいい。貴様が今相手しているのは…彼の方に認められし王…………"瞳王ガムラ"だということをな…………!!!」
「………彼の方……王?」
一瞬の疑問による油断。
「!!!!」
その隙に"瞳王"がヨウの元へ迫ってきた。
━━━━━━瞳技" 邪眼撃烈掌"
"瞳王"は先程まで放っていたエネルギー弾のおよそ約1.25乗分ほどの闘心力を掌に集め、
ヨウの鳩尾目掛けて発勁を放つ。
その瞬間、酒場は爆発音と共に激しく崩壊した。
ヨウは灼熱の闘気を込めた右拳で邪闘者の顎を猛然と打ち上げた。
「………。」
邪闘者は不意に姿を消し、勢いよく虚空を切り裂くと、
辺りの気温が急速に上昇し始めた。
横を向いたヨウが、急襲に遭ったギンジを気にかけ、心配そうに見つめた。
「くそ…速いな。ギンさん!大丈夫か?」
「いちち…まあな。チッ、随分なご挨拶なこった」
ギンジがこめかみの傷をすりすりと優しくさすり、
邪闘者を見失ったヨウが周囲を注意深く見回す。
「やめておけ」
「!」
背後から声が迫り、二人は反射的に後ろに下がる。
バンダナ越しにも伝わる邪悪な表情を浮かべた邪闘者が冷静に言葉を紡ぐ。
「無駄な殺生は上に禁じられているのでな、こちらとしても避けたい…闘魔石の在処を教えろ。そうすれば、身は引くと言っているのだがな」
その言葉に呆れるギンジ。
「ふん…開幕早々ビームをぶっ放しておいてなーにが無駄な殺生は避けたいだ。そしてさっきも言っただろが。この村にはないし、数百年前に闘神様と魔神による戦いで消滅した。この世にはもう存在しとらんわ。」
「なんだと…?戯言をほざくな。虚言に付き合う暇など私にはない。貴様ら人間どもが闘魔石を隠していることは知っている。」
だめだこりゃ。と言った感じで額に手を抑えるギンジ。
「かー!話通じねえなこりゃ!おいヨウ!さっさと片付けちまうぞ」
躍起になるギンジを制止し、対話を試みるヨウ。
「まて、その前に聞きたいことがある。さっき上に禁じられてると言ったが、お前は何かの組織に所属していてその組織のボスのような存在に命令され闘魔石をさがしているのか?」
「………答える必要性が見当たらんな。もういい、ならばこうするまでだ」
邪闘者は冷酷なまなざしで掌の瞳を開き、村の平和な景色を葬り去る光線を放つ。
その矛先はヨウたちではなく、無防備な民家に向けられていた。
「まて! なにをするつ━━━━━━」
異音が辺りに響き渡り、それと同時に恐るべき爆発音が村を包み込む。
「きゃあぁぁぁぁぁ!」
「うおおおおおおお!? なんだなんだ!」
連続する轟音が、住民たちの無念の叫びと共に空に轟く。
まばゆい光と炎が村を飲み込み、平穏だった村は一瞬で地獄のような光景へ変わった。
住民たちは絶叫し逃げ惑う中、邪闘者の非情な攻撃により無差別に巻き込まれ、村は悲劇の舞台となった。
「それ以上惚けるようならばこの村を破壊し尽くす。貴様らの大切にしている住民がどうなっても知らんぞ。」
邪闘者の冷酷な攻撃が続き、その勢いは容赦なく村を襲った。
掌を横にスライドさせる邪闘者の行動により、被害は迅速に拡大していく。
村人たちは絶望的な叫び声を上げ、悲鳴が一つとして重なる。
彼らは家々から必死に飛び出し、逃げ惑いながら地獄のような光景に直面した。
村は一瞬で絶望の渦に巻き込まれ、阿鼻叫喚の中で崩れ去った。
━━━━━━この間約1.2秒
「瞬打!!」.
「!」
ギンジは技巧的な動きで邪闘者に牽制をかけ、何十発もの連続した打撃を瞬時に浴びせた。
だが、その効果は限定的であり邪闘者の攻撃は収まったものの、
特に大きな影響を与えることはなかった。
一時的ながら被害を食い止めた。
「チッ。」
邪闘者は不機嫌そうに舌打ちし、ギンジに向けて攻撃を仕掛けた。
「フッ!」
続け様にヨウが炎の闘気を脚に纏い、勢いよく回し蹴りを繰り出す。
邪闘者は即座に反応して腕で防御し、ギンジに仕向けようとした攻撃を中断した。
ヨウは勢いを利用して空中で手を広げ、技を巧みに邪闘者に浴びせた。
━━━━━━炎技 "灼熱"
ゼロ距離から放たれる歴戦の闘心者の業火。
住民の被害を考慮し火力を制抑せざるを得なかった。
邪闘者の体はヨウの炎によりメラメラと燃え盛り、その煙がシルエットのような役割を果たし、形が見えない。
タッ…………
煙をまとったままヨウは凛とした着地を見せ、ギンジに大声を上げる。
「ギンさん!皆を連れて逃げろ!特に子供優先!!」
「お前はどうするんじゃ!」
「俺は━━━━━━」
ブワッ!!!
邪闘者の放った闘気が瞬く間に煙を四方八方に撒き散らし、
その禍々しい雰囲気が更に辺りを立ち込める。
ザッ…ザッ…
静かに地を踏む音がこちらへ近づいてくる。
「皆が逃げる時間を稼ぐ…!!」
邪闘者は悠々としており、身体にはまるで熱傷の痕跡もなかった。
…………
……………
………………
部屋でじっと待つレン。
父がいつも通り邪闘者を打ち倒してくれると信じていた。
自覚していた、自分が足手纏いな事くらいはとっくの昔に。
それでも尚自分の頑丈さには自信があったため、少しでも父のサポートとして活躍したいという好奇心が収まらなかった。
だが父にあのような冷たい眼差しを向けられたのは、生まれて初めての出来事であった。
今まで見たことがなかった。
轟音が響き渡る。
今回の邪闘者との戦闘はいつもより長く、過去の双剣を持った邪闘者とは比較にならないほど激しいものだった。
父が一人で戦っているのだろうかと疑問がわいてきた。
「………激しいな。いつもより」
レンは感じていた。
その違和感に、何やら不安が漂っていた。
「父さん…」
不意に父親が心配になり、外につながる扉に手を掛けようとした、その時。
「レン!!!」
「ぐえぇっっ!!!!!」
ギンジが扉を開けた衝撃によりレンは勢いよく扉に顔面を、壁に頭を打ちつけた。
「ん…!?いないな、もう既に避難したか?」
「ここ!ギンさんここ!俺挟まってる!痛い痛い!助けて!」
「むっ…すまん」
先の邪闘者との戦いでまだギンジは闘心力が身体から抜けきっていない。
普通ならば潰れていてもおかしくはなかった。
「いつつ…どうしたんだよ騒がしいな。そうだ!父さんは!?今何が起こってんの!?」
父親の攻撃と邪闘者の激しい応酬により、部屋中が振動し、粉塵が舞い上がっていた。
レンは赤く腫れ上がりそうな鼻を手で抑えながら、
涙目で現状説明を求めた。
「すまんが説明してる暇はない!来い!」
「うわっ!ちょっと!?」
ギンジは大慌てでレンを抱えると一目散にその場を飛び出した。
その先に彼が捉えた視界は、正に地獄そのものだった。
「なんだよ………………これ?」
言葉が詰まる、胸が張り裂けそうだ。
ここで過ごした15年の記憶が、青春が、思い出が、全て無に帰すほど村の有様は酷いものだった。
容姿端麗な金髪の看板娘が営む花屋。
通えばいつも強面の男がサービスをくれる事で人気の食堂。
怪しくも些細なことであればどんな未来も的中させることができる村で有名な占いおばばの館。
それぞれの建物が崩れ落ち、火花を散らしながら消え去る。
彼の育った村は、思い出とともに完全に破壊された。
プツン・・・・・少年の中で、何かの糸が切れる音がした。
「あ、、、ぁあ"ぁ………あ"あああぁぁぁ"ぁぁぁああ"っっっっっ!」
叫ぶ。
そりゃ叫ぶだろう。
彼は別に冷めた様子ではない。
凡人、ましてまだ15歳の少年だ。
感情に身を任せて暴れだすのも無理はなかった。
ギンジが村中を駆け回り皆を救済する中、油断をしてしまい暴れ出すレンに逃走を許してしまった。
「こ!こらレン!待ち━━━━━」
闘心力を用い、急いで追おうとするが…
「ギンさん!!ギンさん助けてー!!お爺ちゃんが!!おじいちゃんがあぁあぁぁ!!!」
「!?」
声のする方へ振り向くと、アルマの祖父が崩れた家の瓦礫に埋もれていた。
「………………クソッ!!!」
………
…………
………………
住民たちは村の正門ではなく、真逆の方向へ四方八方に逃げ散り、
ヨウ達は闘神者御用達の酒場で乱戦を繰り広げていた。
酒場の中では激しい音が鳴り響き、壁やテーブルが激しい戦闘によって壊れ飛んでいく。
テーブルや椅子が破壊され、各種の飲み物が床に散乱する中、
酒場の空気は緊迫と混沌に包まれていた。
ガラスの割れる音や金属がぶつかる音が入り混じり、二人の攻防が激しさを増していた。
ヨウはその中で邪闘者の放つ光線を避けながら戦い続けていた。
「ハッ!」
「…………。」
椅子を投げつけ、制止を試みるも、無言でそれを拳で破壊する邪闘者の姿勢は変わらない。
「おいおいおい!!それ俺のお気にの席だったのにどうしてくれんだ!弁償しろよな!」
「………くだらん」
「それやめろマジでぇ!!!」
先程まで放った持続的な放射線とは裏腹に、今度は銃を発砲するように数回に分けて放つ。
避ける暇のない速度で放ちヨウを追い詰める。
(ちっ……正面から叩き返すしかないか)
隻腕に闘心力を少し強く注ぎ、ヨウは連続で放たれるエネルギー弾を次々と弾く。
エネルギー弾が床や天井を貫通し、あらゆる方向に飛び散り、店内は穴だらけになった。
全て弾き返した後、一息つく。
「ふぅ………お前、まだ全然本気出してないだろ。ウォーミングアップ程度にもなってないんじゃないのか?」
闘心者としてのスイッチが入ったのか、人差し指を向け挑発する。
その言葉に手を止める邪闘者は顔を強張らせ青筋を立てた。
「本気…?人間風情が思い上がるな…」
「貴様一人で私をどうこう出来ると思っているのか?ましてや隻腕…私をコケにするのも大概にしろ………」
フツフツと可視化できるほどの薄黒きオーラが邪闘者の右拳に充満していく。
「闇で思い出すがいい。貴様が今相手しているのは…彼の方に認められし王…………"瞳王ガムラ"だということをな…………!!!」
「………彼の方……王?」
一瞬の疑問による油断。
「!!!!」
その隙に"瞳王"がヨウの元へ迫ってきた。
━━━━━━瞳技" 邪眼撃烈掌"
"瞳王"は先程まで放っていたエネルギー弾のおよそ約1.25乗分ほどの闘心力を掌に集め、
ヨウの鳩尾目掛けて発勁を放つ。
その瞬間、酒場は爆発音と共に激しく崩壊した。
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