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第三章 悪女とお茶会
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招待状が来た。今度はお茶会だ。
既婚未婚を問わず女性が集まるお茶会は、夜会でさらに女性陣から嫌われたダリアには縁遠いものとなったと思っていた。
送り主はソニキュア・フォックス公爵令嬢。
彼女は次期公爵家当主となることが決まっている才色兼備な女性で、世のご令嬢たちの憧れの的となっている有名人だ。
「なぜ招待されたのかしら」
執務室で眉間にしわを寄せて手に持った招待状を睨む。
最初に思いつくのは、ダリアを呼んで皆で嫌がらせをしようというものだが、ソニキュア・フォックス公爵令嬢は、品行方正を絵に描いたような人だ。そんなことをするとは思えない。
「お姉様絡み?」
お茶会は、以前はダリアの仕事だったが、高位貴族や仕事上重要な相手からの招待の場合は、メアリが参加をしていた。
フォックス公爵家のお茶会もそれに該当していたため、ダリアはソニキュアに直接会ったことはまだない。
先日の夜会でも、挨拶をしたかったがソニキュアは常に沢山の人に囲まれており、結局挨拶ができないままだった。
現当主のフォックス公爵には挨拶ができたからよしとしたが、ソニキュアにも挨拶をしておくべきだったか。
「メアリ様はソニキュア様と仲良くされていたようですよ」
招待状をにらみつけるダリアにランダルが声をかける。
それは以前にメアリから聞いたことがあった。
「追い出したお姉様の敵討ち?いやまさかそんな」
招待状を眺めながらため息をついた。
既婚未婚を問わず女性が集まるお茶会は、夜会でさらに女性陣から嫌われたダリアには縁遠いものとなったと思っていた。
送り主はソニキュア・フォックス公爵令嬢。
彼女は次期公爵家当主となることが決まっている才色兼備な女性で、世のご令嬢たちの憧れの的となっている有名人だ。
「なぜ招待されたのかしら」
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最初に思いつくのは、ダリアを呼んで皆で嫌がらせをしようというものだが、ソニキュア・フォックス公爵令嬢は、品行方正を絵に描いたような人だ。そんなことをするとは思えない。
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「メアリ様はソニキュア様と仲良くされていたようですよ」
招待状をにらみつけるダリアにランダルが声をかける。
それは以前にメアリから聞いたことがあった。
「追い出したお姉様の敵討ち?いやまさかそんな」
招待状を眺めながらため息をついた。
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