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新たな出会い
トラウマ
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追いかけっこの途中で慌てて戻って来た二人と共に、残りのジャガイモの皮を全部剥き終わり教会に戻る。
「皮剥き終わりました」
「あら、レムリアちゃん。ご苦労様」
近くにいた人に皮を剥いたジャガイモの入った籠を渡す。
「私達、次は何すればいいですか?」
「そうね~。ローズちゃんは料理の手伝い。レムリアちゃんは洗い物で、リュシル君はこの食器を運んで頂戴」
「「わかりました」」
ローズと返事をする。
「僕もレムリアと一緒に洗い物したかったな~」
リュシルはそう言いながらも、「後でね!」と元気よく食器を運びにいった。ローズも、他の料理手伝いの人と共に厨房へ向かう。
「さて、洗い物は…っと」
少し離れた場所に小さな井戸があり、そこに洗い物が置かれていた。
「あれ?」
そこにいる一人の人物。
あの人は確か…。
「…ヴォーグさん?」
「うん?あぁ、君は確かレムリアちゃん…だったよね?君も洗い物?」
「はい。君も…って事はヴォーグさんも?」
「うん、そうだよ。よろしく」
にこやかに笑った彼は少し横にずれて、私に場所を譲った。
「ありがとうございます」
桶いっぱいに積まれた洗い物。
新しい桶を準備するヴォーグさんが水を溜めてくれる。そこで汚れを二人はで無言で落としていく。
カチャカチャ
食器などがぶつかる音が辺りに響く。
(き、気不味い…!何か話題を…)
「……そう言えば、ヴォーグさんは何処の人ですか?この辺では見かけない顔ですけど」
無言の時間に耐えられなくなったレムリアは、意を決してヴォーグに話しかける。
「俺?俺は、最近家族とこっちに引っ越してきたばかりなんだ」
「そうだったんですか」
「うん。だから今日の教会のボランティアで、地域の人達との交流を深めようと思ってね。それにこういうの嫌いじゃないし」
優しそうな顔に違わずの好青年だ。
そんな事を思いながら洗っていると、水が跳ね泡が頬に当たる。
「わっ!」
驚き慌てて泡を落とそうとすると。
「待って。手も泡だらけなんだから、ますます泡が付くよ。ちょっとジッとしてて」
そう言って、ヴォーグが頬に手を伸ばして来る。
その瞬間、ゾッとして身体が一瞬動かなくなる。手は、そのまま頬に触れ優しく丁寧に泡を取ってくれる。
「これでよし!目に入ったりしてない?」
「大丈夫です。ありがとうございます」
(参ったな…)
一瞬、伸びてくる手があの男の手に見えて身体が恐怖で動かなくなった。自分では特に何とも思っていなかったがトラウマになっていたらしい。
(バレなかったよね?)
チラッとヴォーグの様子を伺うと、「?」とした顔で此方を見ている。
(よかった。バレてないみたい…)
「ヴォーグさん。この洗い物の山を早く終わらせちゃいましょう」
そう言って、レムリアは洗い物に集中した。
「皮剥き終わりました」
「あら、レムリアちゃん。ご苦労様」
近くにいた人に皮を剥いたジャガイモの入った籠を渡す。
「私達、次は何すればいいですか?」
「そうね~。ローズちゃんは料理の手伝い。レムリアちゃんは洗い物で、リュシル君はこの食器を運んで頂戴」
「「わかりました」」
ローズと返事をする。
「僕もレムリアと一緒に洗い物したかったな~」
リュシルはそう言いながらも、「後でね!」と元気よく食器を運びにいった。ローズも、他の料理手伝いの人と共に厨房へ向かう。
「さて、洗い物は…っと」
少し離れた場所に小さな井戸があり、そこに洗い物が置かれていた。
「あれ?」
そこにいる一人の人物。
あの人は確か…。
「…ヴォーグさん?」
「うん?あぁ、君は確かレムリアちゃん…だったよね?君も洗い物?」
「はい。君も…って事はヴォーグさんも?」
「うん、そうだよ。よろしく」
にこやかに笑った彼は少し横にずれて、私に場所を譲った。
「ありがとうございます」
桶いっぱいに積まれた洗い物。
新しい桶を準備するヴォーグさんが水を溜めてくれる。そこで汚れを二人はで無言で落としていく。
カチャカチャ
食器などがぶつかる音が辺りに響く。
(き、気不味い…!何か話題を…)
「……そう言えば、ヴォーグさんは何処の人ですか?この辺では見かけない顔ですけど」
無言の時間に耐えられなくなったレムリアは、意を決してヴォーグに話しかける。
「俺?俺は、最近家族とこっちに引っ越してきたばかりなんだ」
「そうだったんですか」
「うん。だから今日の教会のボランティアで、地域の人達との交流を深めようと思ってね。それにこういうの嫌いじゃないし」
優しそうな顔に違わずの好青年だ。
そんな事を思いながら洗っていると、水が跳ね泡が頬に当たる。
「わっ!」
驚き慌てて泡を落とそうとすると。
「待って。手も泡だらけなんだから、ますます泡が付くよ。ちょっとジッとしてて」
そう言って、ヴォーグが頬に手を伸ばして来る。
その瞬間、ゾッとして身体が一瞬動かなくなる。手は、そのまま頬に触れ優しく丁寧に泡を取ってくれる。
「これでよし!目に入ったりしてない?」
「大丈夫です。ありがとうございます」
(参ったな…)
一瞬、伸びてくる手があの男の手に見えて身体が恐怖で動かなくなった。自分では特に何とも思っていなかったがトラウマになっていたらしい。
(バレなかったよね?)
チラッとヴォーグの様子を伺うと、「?」とした顔で此方を見ている。
(よかった。バレてないみたい…)
「ヴォーグさん。この洗い物の山を早く終わらせちゃいましょう」
そう言って、レムリアは洗い物に集中した。
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