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新たな人生

愛する家族

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「おはよう。お父さん、お母さん」

朝、いつもの様に身支度を整えて朝食を食べに1階に降りる。そこには、既にレムリアの家族が揃って寛いでいた。

「おはようレムリア。よく眠れたか?」
「おはよう、早くこっちにいらっしゃい。直ぐにご飯を用意するわね」

優しい笑顔でこちらを見つめる両親。

「全く、レムリアは寝坊助さんなんだから」
「いいじゃ無いか。寝る子は良く育つって言うしな」
「もう!あなたがそうやって甘やかすから!」

母に怒られ、困った様に片手を頭に当てる父。そんな父を怒りながらも、何処か楽しそうな母。
その二人の姿は、かつての記憶と変わりない。

「…………お父さん、お母さん」
「何?」
「どうした?」

こちらを見る両親の姿に、かつての記憶の面影が重なる。そんな二人に涙が滲みそうになりながら、レムリアは今の想いを伝える。

「私、二人の子供に生まれて良かった。大好きだよ」

ーーかつての両親は、あんな風に死んでしまった私をどう思ったのか。

優しく、レムを心から愛してくれていた二人は、きっと凄く悲しんだだろう。レムは、子供が出来にくいと言われた二人の間にやっと生まれた子供だった。そんなレムを、両親はとても大切にしてくれた。

(そんな両親に何にもしてあげられなかった)

だから、今世では両親に恩返しをすると決めている。後悔しない様に、気持ちもちゃんと口にする。

「急にどうしたの?私もレムリアが大好きよ」
「俺もレムリアが好きだよ」
「あら?レムリアだけ?」
「勿論、君も愛してるよ。二人は、俺にとってこの世で一番大切な家族だよ」

その言葉に、耐えていた涙が溢れる。

「あ、れ…?」
「まぁまぁ、どうしたの?この子ったら」

そう言って、涙を流すレムリアを母は優しく抱きしめた。

「大丈夫よ、大丈夫」

赤子をあやすように、母は優しくレムリアの背中をさする。母の上から、父も二人を抱き締める。

「大丈夫だ。もし何かあっても父さんが二人を守ってやるから」

父のその言葉に、無意識のうちに籠っていた身体の力が抜ける。

(あぁ、そうか…)

そうだ私は怖かったのだ。

あの時、リュシュオンを庇った事は後悔していない。もう一度あの瞬間に戻ったとしても、レムリアは同じ事をするだろう。

だけど、死ぬと分かった時とても怖かった。
大切な人たちとの別れが、とても怖かった。

そんなレムの気持ちを憶えている。

(私は知っている)

当たり前の日常が、ある日突然終わる事を。
だから記憶が戻ってから不安だった。
この日常が、また突然終わってしまうのでは無いかと。

「…ありがとう、お父さん」

だから、父の言葉がレムリアにはとても嬉しかった。


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