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ソフィア学園新聞部(非公式)

6、前世は記者でした

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ロドリゲスとガラン達が話し合いをしている頃、ソフィア学園女子寮の一室にてベッドに寝転がり目を閉じている者がいた。寝ているにしては何処か近寄り難い雰囲気が漂う中、少女は静かに目を閉じていた。

そうしてロドリゲス達が話し合いを終えた瞬間、少女は勢い良く飛び起きた。

「うわ~っ!最悪だっ!予想より早く興味持たれた!…ってか、何?あのニヤリ顔!絶対、使いパシリにされるわ!」

少女は、先程「千里眼」で見たロドリゲス達の愉しげな笑みに嫌な予感を感じる身震いした。

「これは、改めて慎重に活動するしか無いな」

少女の名は、レティシア・ザットン。
ザットン子爵家の長女で、今年ソフィア学園に入学したばかりの15歳である。


そんなレティシアには、人とは違う事が二つある。


一つは、前世で二十代後半の凄腕記者だった記憶がある事。
二つめは、「千里眼」と「予知」、それに「瞬間移動」の神からの贈り物と言われる生まれた時に一つ、稀に二つ授かる希少なスキルを何と三つも持っている事だった。

「でも、後悔してないし!綺麗で優しいアリアナ先輩を嵌めようとするなんて、絶対に許せないっ!何一つ、馬鹿王子達の思い通りにさせるかっての!」

そんな風に鼻息荒く叫ぶ彼女こそ、一連の記事を書いた人物である。

「それより、今回の記事は今までで一番のデカい記事だったな。やっぱり、デカい記事を書くのは楽しかったな~。でも、あんまりデカい記事ばかり書くと面倒事を呼び込むから悩みどころよね」

(私一人だけならいいけど、両親や幼い弟や妹、それに領地の皆んなに迷惑はかけられないし…)

レティシアの家は、お世辞にも裕福とは言えない。その為、愛する家族の為に前世の経験を生かして三つのスキルを上手く使い記事を書いているのだ。
普段はそこそこの記事を書き、王都でそこそこ有名な新聞社に提供して金銭を稼いでいる。

(流石に、今回の記事はお金に出来ないな。さっき見た会話で王家が公爵家と話し合って公表するって言ってたからね。事実がどうあれ、あの馬鹿王子が悪くてアリアナ先輩に非が無いとしても、浮気されたとなればアリアナ先輩の名誉に傷がつくし…)

昔より改善されたとは言え、未だに貴族や平民の一部では男尊女卑の考えが根付いている。これからのアリアナの為には、無闇に世間に広めるのは辞めるべきだ。

「…まぁ、既に学園内では知らない人は居ないけどね」

だが、これはレティシアの所為ではない。
そもそも、レオン達が大勢の人目があるあの場で事を起こした事が原因である。あのままだったら、アリアナは無実の罪で断罪されていた。そうして噂が噂を呼び、アリアナは社交界から爪弾きにされていたかも知れなかった。

あの時、レオン達の事実が書かれた記事をバラ撒かなかったらーー。

「うん。こればかりはしょうがない」

ロドリゲス達に目をつけられたが、レティシアは何一つ後悔していなかった。

「よしっ!今後は陛下達の捜索を回避しつつ、これからも家族の為に生活費をしっかり稼ぐぞー!」

新たな目標を胸に、レティシアは今日も記事を書くのであった。


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