前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!

ハルン

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動き始めた歯車

7年の月日

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あれから7年の月日が経ち私は15歳になった。私はヴォーグさんに教わった薬草の知識を活かし薬剤師の先生の元で仕事の手伝いを始めた。ローズは近所の仕立て屋で本格的に働いている。リュシルは13歳になり酒場に良く居る元騎士のおじさんに剣を習っている。

『こいつは筋がいい!将来は騎士団長にもなれるかもな!』

酔っ払い大きな声でリュシルを褒めているのを何度か見かけた。リュシルは朝から遅くまで剣の練習をしていた。そして私の仕事が終わる頃に仕事場まで迎えに来るのだ。

「お疲れさん。今日はもう帰ってもいいぞ」
「わかりました。先生、また明日」

先生に挨拶をし外に出ると案の定リュシルがいた。近くの木に寄りかかっていた彼は私に気付くと体を起こし近付いて来る。

(大きくなったなぁ)

13歳とは思えない程に背も私が見上げるほど高くなり身体も鍛えている為、体格もがっしりとしている。

「お疲れ」
「また待ってたの?何時も迎えはいいって言ってるのに…」
「俺がこうしたかったからしてるんだ。…迷惑?」

眉を下げ不安そうな顔で此方を伺う。

「…別に迷惑じゃ無いけど、申し訳無くて」
「俺は俺がやりたい事をしてるんだから申し訳無く思わなくてもいいんだよ」

僕から俺と言うようになった彼は13歳とは思えない程落ち着いた雰囲気をしている。

(まるで歳上の人みたい)

いつからだろう。子供らしく甘えて来た少年が成熟した大人のような雰囲気になったのは。

「どうしたの?」

ぼーっと考え事をしていた私の顔を横から覗き込む。さらりと綺麗な赤い髪が揺れる。

「何でもない。唯…大きくなったなぁって思って。あんな小さかったリュシルがもう私を追い越すんだもん」

何だか置いて行かれたみたい…。そう笑って話すと彼はクスッと笑う。

「俺は男だしね。何より毎日お祈りしてたしね」
「お祈り?」
「そう。神様、早く俺を大きくしてください…って。早く大人になってレムリアを守れるようになりたかったから」

そう言うと私の手をそっと握る。その瞬間ドキッとするが何でもないよう装う。

「好きだよ。レムリア」

彼は毎日1度だけ私に好きだと言う。…まるで前世の私達との約束の様に。

「私は…」
「返事は要らない。レムリアが俺をそういう風に見てないのは知ってる。…唯、俺が気持ちを伝えたかったってだけ。まぁ、いつかは好きになってもらいたいけど、今はこれで十分」

そう言って繋いだ手を持ち上げる。

「わかった」

私にはそれしか言えなかった。



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