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新たな人生
侵入者
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それは突然の事だった。
その日は家に私しか居らず1人でのんびりと過ごしていた。
「暇だなぁ~。…そうだ、お母さんに野菜買って来てって言われてたんだ」
のろのろとベッドから起き上がりお財布を持って家を出る。
「まいど!レムリアちゃん、帰りにこいつでも食べて帰りな」
そう言って渡されたのは真っ赤なリンゴ。
「うわぁ!おじさんありがとう」
シャリシャリ
「美味しい」
リンゴを食べ終える頃には家に着いた。玄関のドアに手を掛け…。
「あれ?鍵閉め忘れたっけ?」
そんな事を思い家の中に入った瞬間。
「んぐっ!」
横から伸びて来た手に口を塞がれ押し倒される。
パタン
ドアの閉まる音がやけに大きく聞こえた。
「ん~っ!!」
「静かにしろ」
必死に抵抗しているとくぐもった声が聞こえ目を開ける。目の前には、黒いローブを被り口元まで黒い布で覆った男がいた。私より大きいが大人と比べると小柄な人物。
(誰?)
「やっと見つけた。お前だ、間違いない」
目の前の男が少し興奮した様子で話す。
「あの時お前が邪魔をしなければ!あの野郎を殺せたのに!お前が邪魔をするから…!」
(何?何のこと!?)
「もう邪魔はさせない」
「!!」
そう言って男はナイフを取り出す。それを見た瞬間、前世での最後を思い出し恐怖で身体が動かなくなる。
(誰か助けてっ!)
「死ね」
男がナイフを振りかぶった瞬間だった。
「レムリア~!居る?居るよね?遊びに来たよ~」
男の腕がピタッと止まる。
(リュシル!)
今彼が来たら間違いなく巻き込まれる。
(来ないでリュシル!)
そんな思いも虚しくドアが開く。男が扉に身体を向けナイフを向ける。その瞬間口元の手が緩む。
(いまだ!)
私はその手に思いっきり噛み付く。
「ぐっ!?」
「リュシル逃げて!!」
男が私から退いた瞬間ドアに向かい走る。
「レムリア!?」
私と男を見たリュシルは直ぐに状況を理解した様だ。そんな彼に抱き付き外に勢いよく飛び出す。
「誰か助けてっ!」
私の声に多くの人が集まり出す。その時家の中からガラスが割れる音が聞こえる。
「どうしたの!」
「大丈夫か!」
顔見知りの大人達が駆け寄る。
「家の中にナイフを持った知らない男がいて…」
「何!?本当か!!」
「2人はここで待ってろ!」
そう言って何人かの男の人達が家の中に入っていく。
「レムリアっ!大丈夫?怪我してない⁈」
ずっと抱き締めていたリュシルが酷く慌てて聞いてくる。
「うん。リュシルが来てくれて助かったわ。…ありがとう」
「よか…た。よかった無事で!」
リュシルはそう言って強く私を抱き締めた。
その日は家に私しか居らず1人でのんびりと過ごしていた。
「暇だなぁ~。…そうだ、お母さんに野菜買って来てって言われてたんだ」
のろのろとベッドから起き上がりお財布を持って家を出る。
「まいど!レムリアちゃん、帰りにこいつでも食べて帰りな」
そう言って渡されたのは真っ赤なリンゴ。
「うわぁ!おじさんありがとう」
シャリシャリ
「美味しい」
リンゴを食べ終える頃には家に着いた。玄関のドアに手を掛け…。
「あれ?鍵閉め忘れたっけ?」
そんな事を思い家の中に入った瞬間。
「んぐっ!」
横から伸びて来た手に口を塞がれ押し倒される。
パタン
ドアの閉まる音がやけに大きく聞こえた。
「ん~っ!!」
「静かにしろ」
必死に抵抗しているとくぐもった声が聞こえ目を開ける。目の前には、黒いローブを被り口元まで黒い布で覆った男がいた。私より大きいが大人と比べると小柄な人物。
(誰?)
「やっと見つけた。お前だ、間違いない」
目の前の男が少し興奮した様子で話す。
「あの時お前が邪魔をしなければ!あの野郎を殺せたのに!お前が邪魔をするから…!」
(何?何のこと!?)
「もう邪魔はさせない」
「!!」
そう言って男はナイフを取り出す。それを見た瞬間、前世での最後を思い出し恐怖で身体が動かなくなる。
(誰か助けてっ!)
「死ね」
男がナイフを振りかぶった瞬間だった。
「レムリア~!居る?居るよね?遊びに来たよ~」
男の腕がピタッと止まる。
(リュシル!)
今彼が来たら間違いなく巻き込まれる。
(来ないでリュシル!)
そんな思いも虚しくドアが開く。男が扉に身体を向けナイフを向ける。その瞬間口元の手が緩む。
(いまだ!)
私はその手に思いっきり噛み付く。
「ぐっ!?」
「リュシル逃げて!!」
男が私から退いた瞬間ドアに向かい走る。
「レムリア!?」
私と男を見たリュシルは直ぐに状況を理解した様だ。そんな彼に抱き付き外に勢いよく飛び出す。
「誰か助けてっ!」
私の声に多くの人が集まり出す。その時家の中からガラスが割れる音が聞こえる。
「どうしたの!」
「大丈夫か!」
顔見知りの大人達が駆け寄る。
「家の中にナイフを持った知らない男がいて…」
「何!?本当か!!」
「2人はここで待ってろ!」
そう言って何人かの男の人達が家の中に入っていく。
「レムリアっ!大丈夫?怪我してない⁈」
ずっと抱き締めていたリュシルが酷く慌てて聞いてくる。
「うん。リュシルが来てくれて助かったわ。…ありがとう」
「よか…た。よかった無事で!」
リュシルはそう言って強く私を抱き締めた。
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