前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!

ハルン

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過去の記憶

ソフィーさん

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店を出た後、私は広場に向かった。

「いらっしゃ~い!うちの肉は美味いよ!」
「今朝取れ立ての新鮮な野菜はどうだい?」
「此方は、かの亡国の女王がつけていたと言う…」
「クルシュド名物クルシュド織は如何ですかー?」

広場は色んなお店が出て賑わっていた。売り込みの声を聞きながら
一軒のカフェに近づく。

「あっ、レム!こっちよ」
「ソフィーさん!待たせちゃいましたか?」
「私も今来たばかりよ」

真っ赤な髪を一つに結び翠の瞳を細め笑う美女。

「聞きましたよ~。ギアンさんと付き合う事になったんですよね!」

会ったら聞こう聞こうと思っていた事をソフィーさんに聞く。

「そうよ。ありがとうねレム」
「何がですか?」
「ギアンと話すきっかけをくれて。あれが無かったら私、我慢の限界でギアンに襲い掛かってたわ」
「はははっ…」

ソフィーさんは肉食女子だ。ある日お店に来たギアンさんに一目惚れしたソフィーさんはギアンさんに話かけようとした。だが、自身も一目惚れしたにも関わらずギアンさんは恥ずかしがってソフィーさんに話しかけられず何時も遠くから見つめるだけ。そんな状態が続き我慢の限界に達したソフィーさんは。

『もう限界よ!話かけようにも遠くから見つめるばかりっ!こうなればこっちから襲ってやるわ!』

それを聞いた私が慌てて会う機会を作ったのだ。

(あの時のソフィーさんの目は本気だった)

姉の様に慕っている女性が好きな人の親友を襲ったなんていう事件が起きなくて本気で安堵したものだ。

「私のことはいいからレムはどうなの?」
「あ~、進展なしです」
「番いっていうのは本当に厄介よね~。あんな中途半端な奴諦められないんだから」
「中途半端?」

リュシュオンの事を言っているのは分かるが何が中途半端なのだろう?

「だってそうでしょ?レムが嫌ならハッキリと突き放せばいいのに中途半端に優しくして突き放さないんだから」

私なら無理…と呟く。

「それに人としてハッキリとさせないのは相手に失礼でしょう?」
「…違うんです」
「何が?」

ソフィーさんの目をしっかりと見る。

「私、一度リュシュオンにハッキリ断られてるんです」

そう。私は彼にしっかりと気持ちを伝えられてる。

『レム。俺はお前の事妹以上に見れない。お前が色々努力してるのは知ってる。それでも俺はお前に妹以上の感情は持たない』

目を逸らさずしっかりと私に伝える彼。

(あぁ、本気だ)

それは紛れも無い彼の本心だった。

「それでも好きでいさせて欲しい…って言ったのは私なんです。彼はハッキリと気持ちを私に伝えてくれたので中途半端では無いんです」

そう。それでも付き纏っている私が悪いのだ。

「…馬鹿ね。それでも諦めないなんて」
「自分でもそう思います」
「わかった、私はもう口出ししないわ。…よし!この話はもうおしまい!これから食事に行きましょ!今日は私の奢りよ」
「お姉様っ!一生ついて行きます!」
「よろしくってよ~」

この人のこういう所が好きだ。

(…ありがとうソフィーさん)

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