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過去の記憶
魔法の糸
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次の日。
「でっ…出来た!」
徹夜で仕上げたハンカチ。白いハンカチに赤いアコニスの花が良く映える。
「貰ってもらえるかわからないけど今日渡しに行こう!」
ハンカチを袋で綺麗に包む。その後、顔を洗い髪と尻尾を梳かし緑のワンピースに着替える。
「先ずは刺繍糸を買ってそれからリュシュオンに会いに行こうかな」
彼は今日も仕事だが街の見回りをしている筈だ。
「私そろそろ行くね」
「あら?レムももう行くの?」
「うん」
「私達も出るから途中まで一緒に歩きましょう」
「父さん達帰りは少し遅くなるからな」
「わかった!」
3人で家を出て広場まで歩く。
「レムは本当に大きくなったなぁ」
「急にどうしたの?」
「いや、あんなに小さかった俺達の宝物がこんなに元気に成長したんだと思ったら…」
「お父さんなんだかおじいちゃんみたい!」
「おじっ!俺はまだ若いぞ!だろ?キャシー」
「ふふふっ。えぇ、ゾーロはいつでもカッコいいわ」
「おっ…おう」
母に褒められてれる父。イチャイチャし始めた2人にまたか…と思う。
「あー。私そろそろ行くね!」
「「気を付けてね(な)」」
両親と別れ刺繍屋に向かう。広場から少し離れた場所にその店はある。
カランカラン
「ゾーラさん居ますか?」
「レムじゃないか。いらっしゃい」
店の奥から黒いローブを着たお婆ちゃんがやって来る。彼女はゾーラさん。人間で有名な魔法使いだった…らしい。昔はお城で働いていたらしいけど色々あって今は街で刺繍屋を営んでいる。
「もう糸が無くなったのかい?」
「うん。色んな刺繍してたらあっという間に使っちゃった。やっぱりゾーラさんの糸が一番使いやすいし綺麗だよ」
「ありがとうね。そう言ってもらうと嬉しいよ」
ゾーラさんの糸には魔法がかかっている。想いを込めてその糸を使うとその想いに応えると言う守りの魔法だ。
「今回はこの青と赤…それに黄色!これを買ってくね」
「はいよ」
お金を渡し店を出ようとした時。
「そうだレム。これをあげるよ」
渡されたのは白と赤の混じった不思議な色の糸。
「これは?」
「知り合いから貰った魔法の糸だよ」
「どんな魔法なの?」
「さぁね。アタシもよく分からんよ」
「えぇ~。そんな糸をくれるんですか?」
どんな魔法なのか分からないのに危険過ぎる。
「糸がアンタを選んだんだよ」
「何それ」
「いいから持っときな」
「ん~。まぁ、ゾーラさんがそこまで言うなら」
貰った糸をポケットに入れる。
「ありがとうゾーラさん!またね!」
そうして店を出る。
「……またねレム」
「でっ…出来た!」
徹夜で仕上げたハンカチ。白いハンカチに赤いアコニスの花が良く映える。
「貰ってもらえるかわからないけど今日渡しに行こう!」
ハンカチを袋で綺麗に包む。その後、顔を洗い髪と尻尾を梳かし緑のワンピースに着替える。
「先ずは刺繍糸を買ってそれからリュシュオンに会いに行こうかな」
彼は今日も仕事だが街の見回りをしている筈だ。
「私そろそろ行くね」
「あら?レムももう行くの?」
「うん」
「私達も出るから途中まで一緒に歩きましょう」
「父さん達帰りは少し遅くなるからな」
「わかった!」
3人で家を出て広場まで歩く。
「レムは本当に大きくなったなぁ」
「急にどうしたの?」
「いや、あんなに小さかった俺達の宝物がこんなに元気に成長したんだと思ったら…」
「お父さんなんだかおじいちゃんみたい!」
「おじっ!俺はまだ若いぞ!だろ?キャシー」
「ふふふっ。えぇ、ゾーロはいつでもカッコいいわ」
「おっ…おう」
母に褒められてれる父。イチャイチャし始めた2人にまたか…と思う。
「あー。私そろそろ行くね!」
「「気を付けてね(な)」」
両親と別れ刺繍屋に向かう。広場から少し離れた場所にその店はある。
カランカラン
「ゾーラさん居ますか?」
「レムじゃないか。いらっしゃい」
店の奥から黒いローブを着たお婆ちゃんがやって来る。彼女はゾーラさん。人間で有名な魔法使いだった…らしい。昔はお城で働いていたらしいけど色々あって今は街で刺繍屋を営んでいる。
「もう糸が無くなったのかい?」
「うん。色んな刺繍してたらあっという間に使っちゃった。やっぱりゾーラさんの糸が一番使いやすいし綺麗だよ」
「ありがとうね。そう言ってもらうと嬉しいよ」
ゾーラさんの糸には魔法がかかっている。想いを込めてその糸を使うとその想いに応えると言う守りの魔法だ。
「今回はこの青と赤…それに黄色!これを買ってくね」
「はいよ」
お金を渡し店を出ようとした時。
「そうだレム。これをあげるよ」
渡されたのは白と赤の混じった不思議な色の糸。
「これは?」
「知り合いから貰った魔法の糸だよ」
「どんな魔法なの?」
「さぁね。アタシもよく分からんよ」
「えぇ~。そんな糸をくれるんですか?」
どんな魔法なのか分からないのに危険過ぎる。
「糸がアンタを選んだんだよ」
「何それ」
「いいから持っときな」
「ん~。まぁ、ゾーラさんがそこまで言うなら」
貰った糸をポケットに入れる。
「ありがとうゾーラさん!またね!」
そうして店を出る。
「……またねレム」
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