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過去の記憶
番との出会い
しおりを挟む私がリュシュオンと出会ったのは今から12年前だ。当時6歳だった私の隣の家にリュシュオンの家族が引っ越して来たのだ。
「この度隣に越して来ましたメイルです。この子は息子のリュシュオンです。ほらリュシュオン、挨拶をして」
「リュシュオン・メイル10歳です。よろしくお願いします」
「礼儀正しい子ですね。うちにも娘が1人いるんです。ほら、貴女も挨拶して」
「…レムです。6さい…です」
当時の私は人見知りの激しい子でこの時も母の背に隠れ顔だけを出し挨拶をした。
「よろしくレム。俺の事はリュシュオンって呼んでよ」
「よろしく…です」
最初はリュシュオンに慣れなかった私も毎日の様に遊びに誘ってくれる彼にいつしか慣れ彼を兄の様に慕う様になった。彼も私を本当の妹の様に可愛がってくれた。
そんな日々を壊したのは私だった。
出会いから4年。
私が10歳、彼が14歳になった頃だった。いつもの様に彼の元に向かった。角を曲がりいつもの場所にいる彼を見つけた瞬間、衝撃が走った。耳の先からつま先にかけて流れる衝撃。
ーー番だ!
ーー私の番!
奥底から湧き出る歓喜。
今すぐ彼に駆け寄り彼を抱き締めたい。そんな思いに駆られ一歩踏み出した瞬間、私は固まった。
彼の目の前には女の子がいた。近所の子で彼と私とその他にも遊ぶ子供達のメンバーの1人だ。その子は頬を赤く染め彼と話している。彼の顔は見えないが楽しそうなのは気配でわかった。
ーーやめて!近付かないで!
ーー私の番から離れて!
そんなドロドロとした暗い感情が溢れる。気が付いた時には彼女を突き飛ばし彼の前で両手を広げていた。
「レム!?」
彼の声が聞こえるが私の意識は目の前の彼女に向いていた。
「私の番に近付かないでっ!」
言った瞬間、ハッと我に帰る。
(私…今何を)
目の前には姉の様に慕う女の子。呆然とこちらを見上げる彼女の膝からは血が滲んでいた。
「あっ、わた…し」
自分が何をしたか理解して身体が震える。彼女を立ち上がらそうと手を伸ばした瞬間その手を払いのけられる。
「っ!」
払われた手の痛みより目の前の事が信じられなかった。
「彼女から離れろレム」
「リュ…シュオン」
彼女を背に庇い私を睨むリュシュオン。
「彼女を突き飛ばした挙句、謝りもしないなんて」
「それはっ!」
「それに俺が君の番だって?君みたいな相手を思いやることも出来ない奴の番になんてなりたくないね」
頭を鈍器で殴られたかの様な衝撃がした。
(違うの。気付いたら彼女を突き飛ばしていたの。やろうと思ってやったんじゃ無いの)
「立てる?」
そう言って彼女を立ち上がらせると彼は冷たい目で私を見詰める。
「暫く俺に近付かないでくれ」
そのまま2人で立ち去る姿を呆然と見つめる事しか出来なかった。
「この度隣に越して来ましたメイルです。この子は息子のリュシュオンです。ほらリュシュオン、挨拶をして」
「リュシュオン・メイル10歳です。よろしくお願いします」
「礼儀正しい子ですね。うちにも娘が1人いるんです。ほら、貴女も挨拶して」
「…レムです。6さい…です」
当時の私は人見知りの激しい子でこの時も母の背に隠れ顔だけを出し挨拶をした。
「よろしくレム。俺の事はリュシュオンって呼んでよ」
「よろしく…です」
最初はリュシュオンに慣れなかった私も毎日の様に遊びに誘ってくれる彼にいつしか慣れ彼を兄の様に慕う様になった。彼も私を本当の妹の様に可愛がってくれた。
そんな日々を壊したのは私だった。
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ーー番だ!
ーー私の番!
奥底から湧き出る歓喜。
今すぐ彼に駆け寄り彼を抱き締めたい。そんな思いに駆られ一歩踏み出した瞬間、私は固まった。
彼の目の前には女の子がいた。近所の子で彼と私とその他にも遊ぶ子供達のメンバーの1人だ。その子は頬を赤く染め彼と話している。彼の顔は見えないが楽しそうなのは気配でわかった。
ーーやめて!近付かないで!
ーー私の番から離れて!
そんなドロドロとした暗い感情が溢れる。気が付いた時には彼女を突き飛ばし彼の前で両手を広げていた。
「レム!?」
彼の声が聞こえるが私の意識は目の前の彼女に向いていた。
「私の番に近付かないでっ!」
言った瞬間、ハッと我に帰る。
(私…今何を)
目の前には姉の様に慕う女の子。呆然とこちらを見上げる彼女の膝からは血が滲んでいた。
「あっ、わた…し」
自分が何をしたか理解して身体が震える。彼女を立ち上がらそうと手を伸ばした瞬間その手を払いのけられる。
「っ!」
払われた手の痛みより目の前の事が信じられなかった。
「彼女から離れろレム」
「リュ…シュオン」
彼女を背に庇い私を睨むリュシュオン。
「彼女を突き飛ばした挙句、謝りもしないなんて」
「それはっ!」
「それに俺が君の番だって?君みたいな相手を思いやることも出来ない奴の番になんてなりたくないね」
頭を鈍器で殴られたかの様な衝撃がした。
(違うの。気付いたら彼女を突き飛ばしていたの。やろうと思ってやったんじゃ無いの)
「立てる?」
そう言って彼女を立ち上がらせると彼は冷たい目で私を見詰める。
「暫く俺に近付かないでくれ」
そのまま2人で立ち去る姿を呆然と見つめる事しか出来なかった。
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