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聖女の名前は塚本レイ②

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「メシディアル様、どうなさったんですか?」
「ごほっ、ごほっ…!いや、どうしたって…!お前は、今の報告になんとも思わ無いのか?」
「結婚の事ですか?聖女が王族と結婚するのは良くある事ですよね?」
「いや、確かに良くある事だが…」

これは違うだろうと、メシディアルは思った。聖女から王族との結婚を願う事も滅多に無い事だし、何より今回の聖女は心は兎も角、見た目はムキムキの男だ。

「不遇の王子に世界を救う聖女が一目惚れ!きっと、これから様々な苦難を乗り越えて二人は幸せになっていくんですよ。素敵ですよね!」

(確かに、様々な苦難があるだろう。主に、ノンケのその王子の尻にな…)

地位の低い側室の息子であり身体も弱いらしい第二王子は、常日頃から苦労して生きて来たらしい。それなのに、ここに来て『チェリー狩り』の異名を持つ聖女(オネエ)に尻を狙われ………。

「………その王子には、愛の祝福課から祝福を授ける様に申請書を出しておこう。きっと、色々と役に立つはずだ…」

メシディアルには、それくらいしか出来無い。
王子は、世界を救う尊い犠牲……いや、救世主として歴史に名を残すだろう。

「現在の様子はどうだ?」
「はい!今は、聖女が抵抗する王子を上手く部屋に連れ込み…」
「違う!聞きたいのは世界の現状だ…!」

何故、エミリーは二人の現状を報告しようとしたのだろう。まさか、メシディアルがその報告を聞きたくて堪らないとでも思っているのだろうか?いずれ、エミリーにはメシディアルをどの様な人物だと思っているか聞き取りをしなければなら無い様だ。

「す、すみませんっ!え、えっと、現在は聖女が存在するお陰で、瘴気の広がりは格段に抑えられています」
「まぁ、聖女の存在そのものが浄化の力を纏っているからな。聖女も報酬の為に浄化に積極的なら、予定通りに世界の救済は出来そうだな」
「はい。このままいけば、予定通りに浄化の旅で世界各地を回り大体3年ほどで浄化は完了します」

エミリーに報告に頷き、メシディアルは手元の書類にサインをする。そして、それをエミリーに差し出しながら話す。

「では、それに合わせて綻びかけた魔王の封印を直すと共に今回の綻びの原因調査の申請書を封印課へ持って行ってくれ」
「わかりました!」
「全てが終わったら、お前は説教だ」
「………わかりました」

メシディアルの言葉に絶望を背負いながら、エミリーは仕事をしに部屋を出たのだった。


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