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やってしまいました①

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目の前で深い溜息を吐く自身の尊敬する上司であるメシディアルを見て、エミリーは今回の叱責の出来事を思い浮かべる。

(今回は、完璧に仕事をこなせる筈だったのに…)

今回エミリーに任せられた仕事は、とある異世界の聖女召喚を手伝う事だった。

その世界は、太古の昔にその世界の創造神によって封印された魔王の封印が緩み始め、漏れ出た瘴気によって侵されつつある世界だった。
本来なら、魔王を倒せるまでに人類が進化するまで緩む事の無かった筈の結界。それが、何らかの原因で緩んでしまったのだ。漏れ出た瘴気は大地を腐らせ、動物達を魔物へと変えた。

このままでは、滅ぶ予定では無い世界が滅んでしまう。

そう判断した天界の上層部は、イセカンにとある国の聖女召喚に手を貸す事を許可した。

本来、異世界から異世界への召喚は天界の定めたルールにより禁術扱いになっている。その為、天界の一部の異世界召喚の資格を持つ部署が手伝わなければ成功しない。今回は、イレギュラーな問題が起こった為、世界の救済の為に特別に許可が降りたのだ。

そして、その聖女召喚の仕事を任せられたのがエミリーであった。

聖女召喚にあたり、エミリーはまず召喚される聖女の選別を始めた。聖女選別にあたり、大事な事が幾つかあった。

一つ目は、召喚される異世界に適性があるか。

別の世界から別の世界に移動するにあたり、この適性が最も大切な事だ。もしも適性が無かったら、召喚途中で身体が耐え切れずに消滅してしまう。世界により適性が変わる為に、その世界にあった適性を持つ人物を選ぶ事はとても大事な事であった。

二つ目は、家庭環境である。

基本的に、召喚に選ばれるのは家庭環境がよろしく無い人物が多い。これは、召喚された本人が前向きに異世界で暮らして行ける為の措置である。異世界召喚は、殆どの場合一方通行である。その為、元の世界に未練が薄い者が選ばれる事が多い。

三つ目は、容姿である。

これも、召喚者が楽に暮らしていける為の措置の一つだ。召喚される者は、基本的に世界を救う役目の者達だ。その場合、そこそこ見目が良く無いと何かと不都合な場合や苦労する事が多い。召喚の場合、本人の外見をいじる事は出来ない為に容姿の良い者が選ばれる傾向が高い。

そして、最後は性格である。

これは、その召喚者が余程の性格では無い限り考慮され無い。それは、三つの基準を満たしながら性格までも良い人物など滅多にい無いからである。それに、人というのは環境によって変わる。
かつて、過去に全ての条件を満たして召喚者に選ばれた少女が居た。しかし、世界を救った見目麗しい心優しき少女は周囲の者全てに持て囃され、いつしか傲慢な男好き悪女へと変貌した。そんな事例もある為、最初からあまりにも酷い人間性の持ち主でなければ三つの基準を満たした時点で決定である。

そうして、そんな人物を探し続けておよそ二ヶ月。遂に、エミリーは一人の少女を聖女召喚者として選定したのだった。





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