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第2章
No.225
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「………それで?そっちの方はどうなってるんだ?」
本当ならもう少し話をしていたかったが、2人は思い出話などをする為に、わざわざ危険を冒してまでこの場にいるのでは無い。本来の目的を果たすべく、ドーベルに話しかける。
ステインの言葉に、ドーベルは真剣な表情になる。
「父上…、国王陛下達には、私がドラゴニールと繋がっている事は気付かれていない」
「それは本当なのか?」
「勿論だ。………何より、あの人達は病弱で臆病な何も出来ない私が自分達を裏切るなんて微塵も思っていないよ」
そう言って、ドーベルは悲しそうに笑う。
病弱で臆病な自分は、とても使い勝手の良い傀儡だと周囲の人々に思われている事を知っていた。
何故らな、親である国王や王妃、宰相のゴルベイ達に言われたのだから。
『ドーベル。お前は、何も考えず何もせず、ただ余の言う事を聞いていればいいのだ。余の言う事に、何も間違いはないのだからな』
『私の可愛いドーベル。貴方は、ただ陛下の言う事を聞いていればいいの。そうして、貴方を生んだ私の方が、陛下を誘惑したあの忌々しい下賤の女の子供より優秀だという事を証明するのよ』
『殿下。病弱な貴方は、ただ王座に座っていればいいのです。他は全て、私が行います。殿下は唯、王座から全てを見ているだけでいいのです』
彼等は全員、ドーベルを自身の操り人形だと思っている。そのドーベルが、まさか裏切るなんて万が一にも思っていない。
「これが、城の見取り図と警備の配置図。そしてこちらの紙が、王族や宰相、主な大臣達の最終的な予定表だ。最終的な予定表だから、これらの内容が変わる事は殆ど無い」
「助かる」
ドーベルから受け取った書類を丁寧に袋に仕舞い、あらかじめ用意されていた転送用の魔法陣の描かれた紙で、ドラゴニールにいるドランの元へ送る。
魔法を発動させるステインを見ながら、ドーベルは話し出す。
「ファウアームは、もう駄目だ。国の中枢が手の施しようが無いほどに、腐り切ってしまっている。そこから漏れ出る毒が、長い年月を掛けて民までも侵してしまった。………なぁステイン。一体いつから、我々人間はこれ程までに傲慢な種族になってしまったんだろう」
「ドーベル義兄…」
色々な想いのこもったその言葉に、ステインは何も言えなかったのだった。
………
長い間、お待たせしてしました!
やっと体調が完全回復しました!
待っていてくれた読者の皆さん、ありがとうございます!
本当ならもう少し話をしていたかったが、2人は思い出話などをする為に、わざわざ危険を冒してまでこの場にいるのでは無い。本来の目的を果たすべく、ドーベルに話しかける。
ステインの言葉に、ドーベルは真剣な表情になる。
「父上…、国王陛下達には、私がドラゴニールと繋がっている事は気付かれていない」
「それは本当なのか?」
「勿論だ。………何より、あの人達は病弱で臆病な何も出来ない私が自分達を裏切るなんて微塵も思っていないよ」
そう言って、ドーベルは悲しそうに笑う。
病弱で臆病な自分は、とても使い勝手の良い傀儡だと周囲の人々に思われている事を知っていた。
何故らな、親である国王や王妃、宰相のゴルベイ達に言われたのだから。
『ドーベル。お前は、何も考えず何もせず、ただ余の言う事を聞いていればいいのだ。余の言う事に、何も間違いはないのだからな』
『私の可愛いドーベル。貴方は、ただ陛下の言う事を聞いていればいいの。そうして、貴方を生んだ私の方が、陛下を誘惑したあの忌々しい下賤の女の子供より優秀だという事を証明するのよ』
『殿下。病弱な貴方は、ただ王座に座っていればいいのです。他は全て、私が行います。殿下は唯、王座から全てを見ているだけでいいのです』
彼等は全員、ドーベルを自身の操り人形だと思っている。そのドーベルが、まさか裏切るなんて万が一にも思っていない。
「これが、城の見取り図と警備の配置図。そしてこちらの紙が、王族や宰相、主な大臣達の最終的な予定表だ。最終的な予定表だから、これらの内容が変わる事は殆ど無い」
「助かる」
ドーベルから受け取った書類を丁寧に袋に仕舞い、あらかじめ用意されていた転送用の魔法陣の描かれた紙で、ドラゴニールにいるドランの元へ送る。
魔法を発動させるステインを見ながら、ドーベルは話し出す。
「ファウアームは、もう駄目だ。国の中枢が手の施しようが無いほどに、腐り切ってしまっている。そこから漏れ出る毒が、長い年月を掛けて民までも侵してしまった。………なぁステイン。一体いつから、我々人間はこれ程までに傲慢な種族になってしまったんだろう」
「ドーベル義兄…」
色々な想いのこもったその言葉に、ステインは何も言えなかったのだった。
………
長い間、お待たせしてしました!
やっと体調が完全回復しました!
待っていてくれた読者の皆さん、ありがとうございます!
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