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第2章
No.180
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サザーランド邸での一悶着が落ち着いた夜。
ドラゴニール王国国境付近で怪しい動きをする者達がいた。
***
「ふあぁ~」
「おい、見張り中に欠伸なんてしてんじゃねーよ」
ドラゴニール王国国境で見張りをしていた一人の兵士。何も起こらない為、暇になり欠伸をする。そんな兵士の元に交代時間になってやって来た兵士が欠伸を注意する。
「職務怠慢だぞ」
「だってよ、暇なんだから仕方ないだろ?特に何か起こるわけでも無い、ただ暗闇を見張るだけなんだぞ?」
「前回、国境付近で怪しい奴等の目撃情報や不法入国者が居ただろ」
「でも、それからは何も無いじゃんかよ」
見張りの男が不満げに言う。
それに対して、交代の男は「お前は馬鹿か?」と言いたげに見張りの男を見つめる。
「………お前は、一体何の為に王都から騎士団が此処に派遣されたと思ってるんだ?」
「何でって…」
「国の上層部が未だ警戒してるって事だろうが。国の主戦力と言える騎士団を送るって事は、そう言う事だろ?」
その言葉に、見張りの男は身体を硬らせる。
「じゃ、じゃあ、今この瞬間にも……」
「何かあるかも知れないって事だ。だから、気を抜いてるんじゃねーよ」
「わ、わかった!」
そう言って、見張りの男は当たりを警戒する。そんな男の頭を交代の男が叩く。
「いてっ!」
「馬鹿。次は交代の俺が見張りの番なんだ。それなのに、今更お前が警戒してどうするんだよ」
「あっ、そっか…」
「………本当に、何でお前みたいなのが国境警備兵に慣れたんだ?」
「へへへ……」
「何笑ってんだ………ん?」
その時、交代の男が突然黙り込む。
そうして、スンスンと鼻を鳴らし始めた。
「どうしたんた?」
「………いや、今なんか甘い匂いがした気がしたんだが」
「甘い匂い?」
見張りの男も辺りの匂いを嗅ぐが、そんな匂いはしなかった。
「甘い匂いなんて全然しないけど?お前の勘違いじゃ無いか?それとも、鼻が詰まってたとか」
「馬鹿言うな。俺は、犬の獣人だぞ?鼻は、お前より百倍は良い。それに、例え詰まってても五十倍はましだ」
「そうだとしても、気がする程度だったんだろ?気にする事ないって!」
「………そうか?」
「そうだって。それじゃあ、俺はそろそろ仮眠しに戻るな」
「あぁ」
未だ納得していない様な交代の男に見張りを譲り、男は仮眠室に向かう。
「ふんふん~~」
暢気に鼻歌を歌う男の背後で、一瞬黒いローブが揺れた事に誰も気が付かなかった。
「………行ったか」
「案外、簡単に忍び込めましたね」
「あの獣人が匂いを嗅いだ時はヒヤッとしましたが、あの暢気な男のお陰で助かりました」
「無駄話はそれくらいにして、我々は仕事を済ますぞ」
そう言って、三つの黒い影はその場から一瞬にして姿を消した。
ドラゴニール王国国境付近で怪しい動きをする者達がいた。
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「ふあぁ~」
「おい、見張り中に欠伸なんてしてんじゃねーよ」
ドラゴニール王国国境で見張りをしていた一人の兵士。何も起こらない為、暇になり欠伸をする。そんな兵士の元に交代時間になってやって来た兵士が欠伸を注意する。
「職務怠慢だぞ」
「だってよ、暇なんだから仕方ないだろ?特に何か起こるわけでも無い、ただ暗闇を見張るだけなんだぞ?」
「前回、国境付近で怪しい奴等の目撃情報や不法入国者が居ただろ」
「でも、それからは何も無いじゃんかよ」
見張りの男が不満げに言う。
それに対して、交代の男は「お前は馬鹿か?」と言いたげに見張りの男を見つめる。
「………お前は、一体何の為に王都から騎士団が此処に派遣されたと思ってるんだ?」
「何でって…」
「国の上層部が未だ警戒してるって事だろうが。国の主戦力と言える騎士団を送るって事は、そう言う事だろ?」
その言葉に、見張りの男は身体を硬らせる。
「じゃ、じゃあ、今この瞬間にも……」
「何かあるかも知れないって事だ。だから、気を抜いてるんじゃねーよ」
「わ、わかった!」
そう言って、見張りの男は当たりを警戒する。そんな男の頭を交代の男が叩く。
「いてっ!」
「馬鹿。次は交代の俺が見張りの番なんだ。それなのに、今更お前が警戒してどうするんだよ」
「あっ、そっか…」
「………本当に、何でお前みたいなのが国境警備兵に慣れたんだ?」
「へへへ……」
「何笑ってんだ………ん?」
その時、交代の男が突然黙り込む。
そうして、スンスンと鼻を鳴らし始めた。
「どうしたんた?」
「………いや、今なんか甘い匂いがした気がしたんだが」
「甘い匂い?」
見張りの男も辺りの匂いを嗅ぐが、そんな匂いはしなかった。
「甘い匂いなんて全然しないけど?お前の勘違いじゃ無いか?それとも、鼻が詰まってたとか」
「馬鹿言うな。俺は、犬の獣人だぞ?鼻は、お前より百倍は良い。それに、例え詰まってても五十倍はましだ」
「そうだとしても、気がする程度だったんだろ?気にする事ないって!」
「………そうか?」
「そうだって。それじゃあ、俺はそろそろ仮眠しに戻るな」
「あぁ」
未だ納得していない様な交代の男に見張りを譲り、男は仮眠室に向かう。
「ふんふん~~」
暢気に鼻歌を歌う男の背後で、一瞬黒いローブが揺れた事に誰も気が付かなかった。
「………行ったか」
「案外、簡単に忍び込めましたね」
「あの獣人が匂いを嗅いだ時はヒヤッとしましたが、あの暢気な男のお陰で助かりました」
「無駄話はそれくらいにして、我々は仕事を済ますぞ」
そう言って、三つの黒い影はその場から一瞬にして姿を消した。
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