97 / 244
第1章
No.96
しおりを挟む
アルフォンス率いる騎士団は、竜になり森の上を飛んでいた。
<団長!あそこを!>
しばらく飛んでいると、ハロルドが念話で話しかけてきた。竜の姿の声帯だと人語は話せない。だがら、竜の姿の時は念話を使って会話をする。
ハロルドの示した方を見ると、森の中にぽっかりと木の無い場所があり、そこに一軒の小さな屋敷が建っていた。
(あれか)
目的の場所を確認したアルフォンスは、背後を飛んでいる騎士達に指示を出す。
<ハロルドは、数人の部下を連れて屋敷の周りを警戒しろ。あの蛇獣人の事だ。必ず何か仕掛けてくる筈だ>
<了解>
<残りの者は、俺と共に屋敷内に囚われている彼女を救出。そして、今回の首謀者であるダンブレア男爵及び令嬢を捕縛する。使用人も誰1人として逃すな>
<<<はっ!>>>
威勢の良い返事を聞いて頷くと、アルフォンスは大きく息を吸った。
ーーそして。
「グルァァァァァァーーッ!!」
大きく鋭い威嚇の咆哮を上げた。
本来なら、相手に居場所がバレて人質などの被害者の身に危険が及ぶ。だが、竜の威嚇の咆哮は違う。種族として頂点に君臨する竜人の本気の咆哮は、聞いた相手に畏怖を抱かせ身体の自由を少しの間だけ奪う。
しかも、アルフォンスは番を奪われ怒り狂っている。そんな、アルフォンスの本気の咆哮は本来の咆哮よりも効果があるだろう。
優秀な自身の右腕は、その瞬間を無駄にはしない。何人かの部下を引き連れ急降下して森の中に入って行く。それを視界に入れながら、残りの部下と共に屋敷に飛んで行く。
真下に屋敷が来ると、アルフォンス達は人型に戻る。重力に従って、地面に向かって落ちている間に身体を丸め体制を整える。そうして、地面にクレーターができる程の勢いで着地したと同時に、地面を強く踏みしめて一気に屋敷に向かって走り出した。
勢い良く加速しているアルフォンス達にとって、鍵の閉まっているだけの扉など紙切れに等しい。勢い良く扉を破り屋敷内に入った。
屋敷の中にいた使用人達は、先程のアルフォンスの咆哮で腰を抜かしている者や、失神している者が殆どだった。3人の部下に使用人の捕縛を。2人の部下には、男爵と令嬢の捕縛を。アルフォンスは、残りの1人と共に真琴の匂いがする地下室へと向かった。
(真琴っ!どうか、無事でいてくれ!!)
そうして、見えてきた地下室の扉を蹴破る勢いで開けた。湿った匂いと冷たい空気。それに、愛しい番の香りと、ほんの少しの血の匂い。
(っ!真琴!)
必死に地下室を隅から隅まで見渡す。
だが、そこには血に濡れた縄があるだけで、愛しい番である真琴の姿は無かった。
<団長!あそこを!>
しばらく飛んでいると、ハロルドが念話で話しかけてきた。竜の姿の声帯だと人語は話せない。だがら、竜の姿の時は念話を使って会話をする。
ハロルドの示した方を見ると、森の中にぽっかりと木の無い場所があり、そこに一軒の小さな屋敷が建っていた。
(あれか)
目的の場所を確認したアルフォンスは、背後を飛んでいる騎士達に指示を出す。
<ハロルドは、数人の部下を連れて屋敷の周りを警戒しろ。あの蛇獣人の事だ。必ず何か仕掛けてくる筈だ>
<了解>
<残りの者は、俺と共に屋敷内に囚われている彼女を救出。そして、今回の首謀者であるダンブレア男爵及び令嬢を捕縛する。使用人も誰1人として逃すな>
<<<はっ!>>>
威勢の良い返事を聞いて頷くと、アルフォンスは大きく息を吸った。
ーーそして。
「グルァァァァァァーーッ!!」
大きく鋭い威嚇の咆哮を上げた。
本来なら、相手に居場所がバレて人質などの被害者の身に危険が及ぶ。だが、竜の威嚇の咆哮は違う。種族として頂点に君臨する竜人の本気の咆哮は、聞いた相手に畏怖を抱かせ身体の自由を少しの間だけ奪う。
しかも、アルフォンスは番を奪われ怒り狂っている。そんな、アルフォンスの本気の咆哮は本来の咆哮よりも効果があるだろう。
優秀な自身の右腕は、その瞬間を無駄にはしない。何人かの部下を引き連れ急降下して森の中に入って行く。それを視界に入れながら、残りの部下と共に屋敷に飛んで行く。
真下に屋敷が来ると、アルフォンス達は人型に戻る。重力に従って、地面に向かって落ちている間に身体を丸め体制を整える。そうして、地面にクレーターができる程の勢いで着地したと同時に、地面を強く踏みしめて一気に屋敷に向かって走り出した。
勢い良く加速しているアルフォンス達にとって、鍵の閉まっているだけの扉など紙切れに等しい。勢い良く扉を破り屋敷内に入った。
屋敷の中にいた使用人達は、先程のアルフォンスの咆哮で腰を抜かしている者や、失神している者が殆どだった。3人の部下に使用人の捕縛を。2人の部下には、男爵と令嬢の捕縛を。アルフォンスは、残りの1人と共に真琴の匂いがする地下室へと向かった。
(真琴っ!どうか、無事でいてくれ!!)
そうして、見えてきた地下室の扉を蹴破る勢いで開けた。湿った匂いと冷たい空気。それに、愛しい番の香りと、ほんの少しの血の匂い。
(っ!真琴!)
必死に地下室を隅から隅まで見渡す。
だが、そこには血に濡れた縄があるだけで、愛しい番である真琴の姿は無かった。
10
お気に入りに追加
6,590
あなたにおすすめの小説
この度めでたく番が現れまして離婚しました。
あかね
恋愛
番の習性がある獣人と契約婚をしていた鈴音(すずね)は、ある日離婚を申し渡される。番が現れたから離婚。予定通りである。しかし、そのまま叩き出されるには問題がある。旦那様、ちゃんと払うもん払ってください! そういったら現れたのは旦那様ではなく、離婚弁護士で。よし、搾れるだけ絞ってやる!と闘志に燃える鈴音と猫の話。
忌むべき番
藍田ひびき
恋愛
「メルヴィ・ハハリ。お前との婚姻は無効とし、国外追放に処す。その忌まわしい姿を、二度と俺に見せるな」
メルヴィはザブァヒワ皇国の皇太子ヴァルラムの番だと告げられ、強引に彼の後宮へ入れられた。しかしヴァルラムは他の妃のもとへ通うばかり。さらに、真の番が見つかったからとメルヴィへ追放を言い渡す。
彼は知らなかった。それこそがメルヴィの望みだということを――。
※ 8/4 誤字修正しました。
※ なろうにも投稿しています。
王命で泣く泣く番と決められ、婚姻後すぐに捨てられました。
ゆうぎり
恋愛
獣人の女の子は夢に見るのです。
自分を見つけ探し出してくれる番が現れるのを。
獣人王国の27歳の王太子が番探しを諦めました。
15歳の私は、まだ番に見つけてもらえる段階ではありませんでした。
しかし、王命で輿入れが決まりました。
泣く泣く運命の番を諦めたのです。
それなのに、それなのに……あんまりです。
※ゆるゆる設定です。
くたばれ番
あいうえお
恋愛
17歳の少女「あかり」は突然異世界に召喚された上に、竜帝陛下の番認定されてしまう。
「元の世界に返して……!」あかりの悲痛な叫びは周りには届かない。
これはあかりが元の世界に帰ろうと精一杯頑張るお話。
────────────────────────
主人公は精神的に少し幼いところがございますが成長を楽しんでいただきたいです
不定期更新
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
私のことが大好きな守護竜様は、どうやら私をあきらめたらしい
鷹凪きら
恋愛
不本意だけど、竜族の男を拾った。
家の前に倒れていたので、本当に仕方なく。
そしたらなんと、わたしは前世からその人のつがいとやらで、生まれ変わる度に探されていたらしい。
いきなり連れて帰りたいなんて言われても、無理ですから。
そんなふうに優しくしたってダメですよ?
ほんの少しだけ、心が揺らいだりなんて――
……あれ? 本当に私をおいて、ひとりで帰ったんですか?
※タイトル変更しました。
旧題「家の前で倒れていた竜を拾ったら、わたしのつがいだと言いだしたので、全力で拒否してみた」
君は僕の番じゃないから
椎名さえら
恋愛
男女に番がいる、番同士は否応なしに惹かれ合う世界。
「君は僕の番じゃないから」
エリーゼは隣人のアーヴィンが子供の頃から好きだったが
エリーゼは彼の番ではなかったため、フラれてしまった。
すると
「君こそ俺の番だ!」と突然接近してくる
イケメンが登場してーーー!?
___________________________
動機。
暗い話を書くと反動で明るい話が書きたくなります
なので明るい話になります←
深く考えて読む話ではありません
※マーク編:3話+エピローグ
※超絶短編です
※さくっと読めるはず
※番の設定はゆるゆるです
※世界観としては割と近代チック
※ルーカス編思ったより明るくなかったごめんなさい
※マーク編は明るいです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる