どうやら私は竜騎士様の運命の番みたいです！！

第1章

No.92

「これは、これは。アルフォンス騎士団長殿。一体我が屋敷にどの様な要件で？」

王都にあるダンブレア男爵邸にやって来たアルフォンス率いる騎士達。そんなアルフォンス達をダンブレア男爵が出迎える。

「ダンブレア男爵。これより、男爵邸の家宅捜索を行う。速やかに、屋敷内から男爵及び使用人達は出て一箇所に集まって下さい」
「………これは、一体どういう事ですかな？何故いきなり、家宅捜索などを？」

にこやかに笑いながらも、硬い声でダンブレア男爵が問いかける。

「男爵、貴殿には隣国との内通の容疑がかかっている。その為、今より捜査をする。勿論、無実であるなら我等に協力してもらえるだろう？」
「………………えぇ、勿論です。その様な不名誉な容疑、早く消してください。おい、直ぐに使用人達をここに集めて下さい」
「畏まりました」

ダンブレア男爵は、承諾した後に直ぐ側に控えていた執事に直ぐに使用人を集める様に命令する。40代の背の高い燻んだ金の髪の痩せ型の男は、その細目でアルフォンスをチラリと見て屋敷に入って行った。

（………何だ？この違和感は）

何か、違和感を感じる。だが、その違和感が何なのかが分からない。

（アルフォンス、もっと神経を研ぎ澄ませ。頭を動かせ）

大切な番が拐われ、アルフォンスの神経は研ぎ澄まされている。そんな中、感じた違和感。見過ごす事は出来ない。

（よく思い出せ。いつから違和感を感じた？）

そうして、アルフォンスは思い出した。

（…そうだ。男爵の言葉遣いだ）

男爵は、執事に使用人を集める様に言った時に何と言った？

『おい、直ぐに使用人達をここに集めて下さい』

最後の、集めて下さい。
呼びかけが、目上の者のが下の者を呼ぶおいなのに最後はお願いする様に丁寧な言葉。


ーーまるで、礼儀作法がしっかりした使用人が他者に何かを頼む様な。


（っ！まさかっ！！）

「なっ！？何をする！！」
「団長！？」

アルフォンスは、目の前のダンブレア男爵の胸倉を掴む。いきなりの行動に、ダンブレア男爵と背後のハロルドの驚いた声が辺りに響く。

「正体を表せ。"解除ディスペル"」

偽りを曝け出す解除ディスペルの魔法を使うと、目の前の男爵の姿が揺らぐ。

「なっ！？」
「こいつは！？」

ハロルドや、部下の騎士達が背後で騒めく。
目の前には、男爵の服を着た30代の男が青い顔でアルフォンスを見上げていた。