上 下
65 / 244
第1章

No.64

しおりを挟む
「ばいばぁ~い!」
「またねー」
「おい!今日、俺ん家でゲームやろうぜ!」
「すっげ~!!このカード、ちょ~レアなんだぜ!!」

下校時間になると、子供達は我先にと学校から出て行く。ある者は真っ直ぐと家に。また、ある者は友達と遊ぶ予定を立てながら。

そんな中、トボトボと赤いランドセルを背負って1人で下校する子供が1人。

「マコちゃん…」

寂しそうに、真琴の名を呟くのは由香である。
由香は、懐いていた真琴が居なくなり落ち込んでいた。

「おい!由香!」
「待って、由香!」

その時、背後から由香の名を呼びながら走り寄ってきた。

「ケイくん、ケイちゃん」
「勝手に1人で帰らなよ!危ないだろ!」
「ちょっと、圭太!!そんなに怒んなくてもいいでしょ!」

そこには、双子の男女の圭太と圭子が居た。

「ねぇ、由香。圭太も言ってる通りに、1人は危ないから今度からは、ちゃんと私達を待っててね?」
「………ごめんなさい」

心配そうにそう話す圭子に、由香は素直に謝る。

「ほら行くぞ」

圭太、由香、圭子の順に横に並びならが歩き出す。
目の前に伸びた3人の影を見ながら由香は口を開く。

「…マコちゃん。おしごと、がんばってるかなぁ」
「しらねー」
「ちょっと、圭太!!………ねぇ、由香。マコトお姉ちゃんは、きっとバリバリ働いてるよ!だって、元気が取り柄のマコトお姉ちゃんだよ?」
「うん…、そうだよね。マコちゃん、元気いっぱいだもんね!」

元気になった由香を見てホッとする圭子。

「でもさぁ~。黙って行く事ないよな~」
「しょうがないよ。急に行かないと行けなくなったってお父さん達言ってたじゃん」
「だけどよー。いきなり居なくなってて皆んなで必至に探したじゃん。後から、父さん達に連絡するくらいなら、手紙でも書いとけよ」

不貞腐れる片割れを見て、圭子は呆れる。

「いつまでも、そんな事言ってんじゃないわよ。女々しい男ってダサいわよ」
「んだと!?この、ブス!」
「はぁ!?私がブスだったら、アンタもブサイクなんだからね!」

そうして、いつもの様に始まった2人の喧嘩を由香は呆れた様に見る。だが、先程と違って気持ちは明るくなっていた。

「 マコちゃん。 つぎは 、いつ かえってくるのかなぁ~」

(かえってきたら、いっぱい おはなししよう!)

そう心に決めながら、煩い2人に挟まれて家に帰った。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

番が見つけられなかったので諦めて婚約したら、番を見つけてしまった。←今ここ。

三谷朱花
恋愛
息が止まる。 フィオーレがその表現を理解したのは、今日が初めてだった。

番?呪いの別名でしょうか?私には不要ですわ

紅子
恋愛
私は充分に幸せだったの。私はあなたの幸せをずっと祈っていたのに、あなたは幸せではなかったというの?もしそうだとしても、あなたと私の縁は、あのとき終わっているのよ。あなたのエゴにいつまで私を縛り付けるつもりですか? 何の因果か私は10歳~のときを何度も何度も繰り返す。いつ終わるとも知れない死に戻りの中で、あなたへの想いは消えてなくなった。あなたとの出会いは最早恐怖でしかない。終わらない生に疲れ果てた私を救ってくれたのは、あの時、私を救ってくれたあの人だった。 12話完結済み。毎日00:00に更新予定です。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

王命で泣く泣く番と決められ、婚姻後すぐに捨てられました。

ゆうぎり
恋愛
獣人の女の子は夢に見るのです。 自分を見つけ探し出してくれる番が現れるのを。 獣人王国の27歳の王太子が番探しを諦めました。 15歳の私は、まだ番に見つけてもらえる段階ではありませんでした。 しかし、王命で輿入れが決まりました。 泣く泣く運命の番を諦めたのです。 それなのに、それなのに……あんまりです。 ※ゆるゆる設定です。

この度めでたく番が現れまして離婚しました。

あかね
恋愛
番の習性がある獣人と契約婚をしていた鈴音(すずね)は、ある日離婚を申し渡される。番が現れたから離婚。予定通りである。しかし、そのまま叩き出されるには問題がある。旦那様、ちゃんと払うもん払ってください! そういったら現れたのは旦那様ではなく、離婚弁護士で。よし、搾れるだけ絞ってやる!と闘志に燃える鈴音と猫の話。

【完結】お前を愛することはないとも言い切れない――そう言われ続けたキープの番は本物を見限り国を出る

堀 和三盆
恋愛
「お前を愛することはない」 「お前を愛することはない」 「お前を愛することはない」  デビュタントを迎えた令嬢達との対面の後。一人一人にそう告げていく若き竜王――ヴァール。  彼は新興国である新獣人国の国王だ。  新獣人国で毎年行われるデビュタントを兼ねた成人の儀。貴族、平民を問わず年頃になると新獣人国の未婚の娘は集められ、国王に番の判定をしてもらう。国王の番ではないというお墨付きを貰えて、ようやく新獣人国の娘たちは成人と認められ、結婚をすることができるのだ。  過去、国の為に人間との政略結婚を強いられてきた王族は番感知能力が弱いため、この制度が取り入れられた。  しかし、他種族国家である新獣人国。500年を生きると言われる竜人の国王を始めとして、種族によって寿命も違うし体の成長には個人差がある。成長が遅く、判別がつかない者は特例として翌年の判別に再び回される。それが、キープの者達だ。大抵は翌年のデビュタントで判別がつくのだが――一人だけ、十年近く保留の者がいた。  先祖返りの竜人であるリベルタ・アシュランス伯爵令嬢。  新獣人国の成人年齢は16歳。既に25歳を過ぎているのに、リベルタはいわゆるキープのままだった。

君は番じゃ無かったと言われた王宮からの帰り道、本物の番に拾われました

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
ココはフラワーテイル王国と言います。確率は少ないけど、番に出会うと匂いで分かると言います。かく言う、私の両親は番だったみたいで、未だに甘い匂いがするって言って、ラブラブです。私もそんな両親みたいになりたいっ!と思っていたのに、私に番宣言した人からは、甘い匂いがしません。しかも、番じゃなかったなんて言い出しました。番婚約破棄?そんなの聞いた事無いわっ!! 打ちひしがれたライムは王宮からの帰り道、本物の番に出会えちゃいます。

逃した番は他国に嫁ぐ

基本二度寝
恋愛
「番が現れたら、婚約を解消してほしい」 婚約者との茶会。 和やかな会話が落ち着いた所で、改まって座を正した王太子ヴェロージオは婚約者の公爵令嬢グリシアにそう願った。 獣人の血が交じるこの国で、番というものの存在の大きさは誰しも理解している。 だから、グリシアも頷いた。 「はい。わかりました。お互いどちらかが番と出会えたら円満に婚約解消をしましょう!」 グリシアに答えに満足したはずなのだが、ヴェロージオの心に沸き上がる感情。 こちらの希望を受け入れられたはずのに…、何故か、もやっとした気持ちになった。

運命の番?棄てたのは貴方です

ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。 番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。 ※自己設定満載ですので気を付けてください。 ※性描写はないですが、一線を越える個所もあります ※多少の残酷表現あります。 以上2点からセルフレイティング

処理中です...