どうやら私は竜騎士様の運命の番みたいです！！

第1章

No.31

「………美味しい」

シチューの具の野菜は、とても柔らかく煮てあり食べやすい。肉や野菜の味がしっかりとあるシチューは、食べると身体の奥から暖かくなった。

「当然でしょう？だって、私が一から食材を調達して腕によりを掛けて作ったんだから！」

リルさんは、そう言って胸を張る。
その時、豊満な胸がブルンと揺れる。

（その胸は本物ですか？）

つい目が釘付けになる。

「この時期に鬱キノコを調達出来たのか」
「そうよ。だって、アルちゃんが数年振りに予約を入れてくれたんだもの。張り切ってエルフの知人の所にに採りに行ったわ～」

鬱キノコとは、このエリンギにそっくりのキノコだろうか。形はエリンギにそっくりだ。しかし、傘の部分が紫色だった。

「丁度、精霊付きの知り合いがいて良かったわ。鬱キノコは、精霊付きのエルフの周りにしか生えないから。時期的にも、そろそろ鬱キノコが取れなくなる所だったから、アルちゃんは本当に運が良かったわよ」

アルフォンスさんは、シチューを食べて満足そうな顔をした。

「鬱キノコは、精霊付きのエルフの周りにしか生えない希少なキノコなんだ。このキノコは、精霊が作るからとても栄養が豊富で、ちょっとした怪我なら直ぐに治るんだ」
「そうなんですか」

私は、鬱キノコをスプーンで掬い口に入れる。

「！」

（お、美味しい…！）

ここに来て食べた物の中で1番美味しいかもしれない。思わず夢中でシチューを食べる。

「あらん？いい食べっぷりじゃない。気に入ったわ！」
「気に入ったみたいで良かった」

そんな私を、2人は微笑ましそうに見ていた事にシチューに夢中な私は気が付かなかった。

「さぁ、次は暴れ牛の懇願ステーキを食べてみて？」

シチューを食べ終わった頃、リルさんが美味しそうな匂いのするステーキを勧めてきた。ナイフで一口サイズに切り、フォークで刺し口に運ぶ。

「！！」

（黒毛和牛！！）

1度食べたことのある、高級なお肉の味とそっくりだった。

「どう？」
「このステーキも、とても美味しいです！」
「口に合って良かったわ～。それ聞けただけで、朝早くから暴れ牛を狩りに行った甲斐があるわ」
「暴れ牛を1人で狩ったのか。まだ、腕は鈍ってないようだな」
「当たり前でしょ！これでも、寝る前の筋トレを欠かさないのよ？」

そう言って、リルさんは腕を上げてみせる。
しかし、そのドレスに包まれた腕は羨ましい程に細く見える。

「リルは、こう見えてもとても強いんだ。人間だが竜人にも勝つ程にな」

（リルさんって、人間なんだ）

基本、見た目で人間と竜人の違いは分からない。
竜人の人の姿は、鱗が生えていたり角がある訳でもない。本当に普通の人間に見えるのだ。

「リルさんは、人間なんですか」
「そうよ。人間だけど、生まれがこの国なのよ。両親が商人で、偶々この国に来てた時に私が生まれたのよ。それから、ずっとこの国に住んでるわ」

リルさんの話を聞いていて、私の本当の祖父母の存在を思い出していた。