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第1章
No.19
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次の日。
太陽が昇って外が明るくなりかけた頃。精神的にも落ち着いてぐっすりと寝た為か、とても気持ち良く目が覚めた。
「う~んっ!よく寝たなぁ」
ベッド出て大きく伸びをする。
ーートントン
「おはようございます、マコ様。入ってもよろしいですか?」
まるで起きたのを見ていたかの様な絶妙なタイミングでリディアさんが声をかけてくる。
「はい、大丈夫です」
「失礼します」
おそらく起きるには早い時間だろうに、隙もなく完璧な身なりのリディアさんが水の入った器とタオルを持って部屋に入って来た。
「おはようございます、マコ様。よく眠れましたか?」
「おはようございます。寝心地のいいベッドだったのでぐっすりと眠れました」
「それは良かったです。それでは、こちらで顔を洗って下さい。それと、着替えの事ですが…。此処に運ばれた時にマコ様の着ていた服を見るに、こちらの服と少し勝手が違う様子でしたのでお手伝いさせて頂きます」
「あの、自分の服を着たら駄目ですか?」
出来るなら自分の服を着ていたい。
だが、リディアさんは首を振る。
「見た所、マコ様の服は最初に着ていた物だけですよね?何かの拍子に汚したり駄目にしてしまわれたら大変ですので。この国には、マコ様の着ていた服に似たものはありません」
だから大切にしていた方がいいと言われ頷く。
(そうだよね。此処は、地球じゃない別の世界なんだから)
正直、そこまで考えられなかった。
そのまま服を着て汚したり駄目にしたりしていたら私はショックを受けただろう。だから、その可能性を考えて教えてくれたリディアさんに感謝した。
「教えてくれてありがとございます。それじゃあ、お言葉に甘えて、よろしくお願いします」
「任せて下さい」
リディアさんから器を受け取り、冷たい水で顔を洗って頭がすっきりした。
「あの…。私、かなり早い時間に起きちゃいましたよね?」
(まだアルフォンス(?)さんも起きてないよね…)
「そうですね。私達使用人は起きて仕事を始める時間ですが、普通の人達が起きるまでには時間があります」
「やっぱり…」
どうやって時間を潰そうか考えていると、リディアさんが優しく笑いながら提案をする。
「それでは、この屋敷の庭を見るのはどうでしょう。この屋敷の庭は、綺麗に手入れされていてとても素敵だと他の方々に人気なんですよ?」
「そうなんですか?それじゃあ…見せてもらっていいですか?」
「はい。ご案内致します」
そうして、リディアさんが用意してくれた白いワンピースを着て、その上に少し肌寒いからと薄い水色のショールを羽織ってリディアさんの案内の元、外に出る。
「うわぁ~。本当に綺麗です!」
「喜んでもらえて嬉しいです」
中央にある噴水を囲む様に、辺り一面に咲き誇る色取り取りの薔薇に似た花。朝日に照らされてキラキラ輝くその花達は、溜息が出るほど幻想的だった。
「この花って何て言うんですか?」
「これは、バーラという花です。様々な色の花が咲くこの国の紋章にもなっている花なんです」
「バーラ…」
(バーラって、薔薇だよね?名前が何処と無く似てるから覚えやすいなぁ)
そうして、リディアさんの案内で庭を見る。途中で見つけた色んな花は、やはり何処と無く地球の花と名前が似ていた。
「はっくしゅんっ!」
どれくらい経っただろう。
夢中で庭を見ていたらクシャミが出た。
「少し長く外に出過ぎましたね。そろそろ中に戻りましょう」
「わかりました」
リディアさんに促され、素敵な庭を後にした。
太陽が昇って外が明るくなりかけた頃。精神的にも落ち着いてぐっすりと寝た為か、とても気持ち良く目が覚めた。
「う~んっ!よく寝たなぁ」
ベッド出て大きく伸びをする。
ーートントン
「おはようございます、マコ様。入ってもよろしいですか?」
まるで起きたのを見ていたかの様な絶妙なタイミングでリディアさんが声をかけてくる。
「はい、大丈夫です」
「失礼します」
おそらく起きるには早い時間だろうに、隙もなく完璧な身なりのリディアさんが水の入った器とタオルを持って部屋に入って来た。
「おはようございます、マコ様。よく眠れましたか?」
「おはようございます。寝心地のいいベッドだったのでぐっすりと眠れました」
「それは良かったです。それでは、こちらで顔を洗って下さい。それと、着替えの事ですが…。此処に運ばれた時にマコ様の着ていた服を見るに、こちらの服と少し勝手が違う様子でしたのでお手伝いさせて頂きます」
「あの、自分の服を着たら駄目ですか?」
出来るなら自分の服を着ていたい。
だが、リディアさんは首を振る。
「見た所、マコ様の服は最初に着ていた物だけですよね?何かの拍子に汚したり駄目にしてしまわれたら大変ですので。この国には、マコ様の着ていた服に似たものはありません」
だから大切にしていた方がいいと言われ頷く。
(そうだよね。此処は、地球じゃない別の世界なんだから)
正直、そこまで考えられなかった。
そのまま服を着て汚したり駄目にしたりしていたら私はショックを受けただろう。だから、その可能性を考えて教えてくれたリディアさんに感謝した。
「教えてくれてありがとございます。それじゃあ、お言葉に甘えて、よろしくお願いします」
「任せて下さい」
リディアさんから器を受け取り、冷たい水で顔を洗って頭がすっきりした。
「あの…。私、かなり早い時間に起きちゃいましたよね?」
(まだアルフォンス(?)さんも起きてないよね…)
「そうですね。私達使用人は起きて仕事を始める時間ですが、普通の人達が起きるまでには時間があります」
「やっぱり…」
どうやって時間を潰そうか考えていると、リディアさんが優しく笑いながら提案をする。
「それでは、この屋敷の庭を見るのはどうでしょう。この屋敷の庭は、綺麗に手入れされていてとても素敵だと他の方々に人気なんですよ?」
「そうなんですか?それじゃあ…見せてもらっていいですか?」
「はい。ご案内致します」
そうして、リディアさんが用意してくれた白いワンピースを着て、その上に少し肌寒いからと薄い水色のショールを羽織ってリディアさんの案内の元、外に出る。
「うわぁ~。本当に綺麗です!」
「喜んでもらえて嬉しいです」
中央にある噴水を囲む様に、辺り一面に咲き誇る色取り取りの薔薇に似た花。朝日に照らされてキラキラ輝くその花達は、溜息が出るほど幻想的だった。
「この花って何て言うんですか?」
「これは、バーラという花です。様々な色の花が咲くこの国の紋章にもなっている花なんです」
「バーラ…」
(バーラって、薔薇だよね?名前が何処と無く似てるから覚えやすいなぁ)
そうして、リディアさんの案内で庭を見る。途中で見つけた色んな花は、やはり何処と無く地球の花と名前が似ていた。
「はっくしゅんっ!」
どれくらい経っただろう。
夢中で庭を見ていたらクシャミが出た。
「少し長く外に出過ぎましたね。そろそろ中に戻りましょう」
「わかりました」
リディアさんに促され、素敵な庭を後にした。
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