貴方の事を愛していました

ハルン

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マダムクレアの経営する貴族御用達高級衣裳店は、王都で一番人気の店である。オーナーでデザイナーでもあるマダムクレアは、妖艶な美貌の女性だ。だが、彼女は人の好き嫌いが激しく、マダムクレアの顧客になるには彼女に気に入られるしか無い。
幸運にも、ミレーナは彼女に気に入られ顧客として受け入れられていた。

馬車に乗り10分ほどして、マダムクレアの店に着く。馬車を降り、御者に1時間ほどしたら迎えに来るように言ってから店に入る。

「あら、ミレーナ様。いらっしゃいませ」

店に入ると、艶やかな黒髪を結い上げたマダムクレアがミレーナに声をかける。

「こんにちは、マダムクレア。今日もとっても素敵だわ」
「当然ですわ。私は、常に自分自身を磨き上げているのですから」

自信に満ちたマダムクレアの姿はとても美しく、ミレーナは憧れの目で彼女を見る。

(やっぱり、マダムクレアはとても素敵だわ。私もこんな女性になりたい…)

「それで、本日はどの様なご用件で?」
「私を素敵な大人の女性にしてほしいの」
「あら、という事は…婚約者のルーク様関係ですわね?」
「私って、そんなに分かりやすいですか?」
「えぇ、それもありますけれど。いつの時代も、女性が綺麗になりたいと思う時は男性が絡んだ時ですもの」

そう言って、マダムクレアに勧められ応接室のソファーに座る。店員が紅茶を用意して部屋を出たのを確認してから、マダムクレアはミレーナを観察する。

「お肌は、前回会った時よりも綺麗になっていますわ。髪も艶が出ていて美しいです」
「本当ですか?マダムクレアに教わった通りに手入れをしているんです」
「ミレーナ様は、流行りに流されず私の言った通りの自分に合った手入れをしてくれますから。これなら、前回スケッチしたデザインの他にもお似合いになる服が増えますわ」

その言葉に、ミレーナは喜ぶ。

「本当ですか?だったら、前回諦めた少し大人っぽい服はどうですか?」
「そうですわね。正直、ミレーナ様は美人というより可愛らしいお顔ですから…」
「やっぱり、似合いませんか?」

どちらかと言えば、童顔で身長もあまり高く無いミレーナ。だが、美人な女性が着る大人っぽい服への憧れが捨て切れない。

「いえ、あまり露出の激しく無くデザインも大人しくすればイケると思いますわ。ミレーナ様は、確かに可愛らしく身長もあまり高く無いですが、胸はかなり大きいですから。また少し大きくなりましたよね?」
「っ!は、はい…」

地味に気にしている事を指摘され、ミレーナは顔を赤くする。

(ううっ~。何で身長は全然伸びなくて、代わりに胸が大きくなったんだろう…)

それよりも、ひと目見ただけでサイズの変化が分かるマダムクレアが凄い。

「男性は胸が大好きですからね。その武器を生かしたミレーナ様に似合う服を作りましょう」
「あ、ありがとうございます」
「では、隅々までサイズを先に測りましょう。邪魔な服は全て脱いでくださいね」
「…全部ですか?」
「ええ、全部です。前回と同じですわ」
「わ、分かりました…」

ニッコリと微笑むマダムクレアによって比喩では無く本当に丸裸にされ、隅から隅までサイズを測られたミレーナであった。





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