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「ルーク」
4人で話していた所に聞こえて来た、ルークへと呼びかける声。その声が聞こえた瞬間、隣のミレーナが気のせいだったかと思う程に小さくルークが息を呑んだ気がした。
(ルーク?)
ルークに声をかけたのは、ルークやカインと同年代と思わしき綺麗な女性だった。金の髪を結い上げて赤いドレスを来た女性は、その美しい青い瞳でルークを見つめていた。
「キャロライン、久しぶりだね。こっちに帰って来てたんだね」
「えぇ、つい先日に。ごめんなさいね、話に割り込んでしまって」
そう言って、キャロラインと呼ばれた女性はミレーナを見る。
「此方の方が?」
「そう、僕の婚約者のミレーナだよ。ミレーナ、彼女はキャロライン。僕とカインの元同級生で、今はフィオール侯爵夫人だよ」
「初めまして、ミレーナ・ロードンと申します」
「初めまして。貴女の事は、ルークによく聞いてたわ。とても可愛らしい婚約者が居るって。本当に可愛らしい方ね」
そう言って微笑むキャロラインは、とても美しかった。
「おいおい、酷いな。俺の事は無視か?」
「あら、カイル。お久しぶりね」
「ルークと俺の扱いの差が酷くないか?」
「それは貴方とルークの人柄の差ね。学生時代に私にした事、まだ許して無いわよ?」
「おいおい、あれはもう時効だろう?」
「女性に対してデリカシーの無い男性は、いつまで経っても冷たくされるものよ?」
キャロラインの言葉に、カレンが兄に冷たい視線を送る。
「お兄様、最低ですわ」
「おいっ!まだ何をしたかも聞いてないだろ?」
「聞かなくても、大雑把でデリカシーの無いお兄様の事ですもの。大方、女性に対して年齢や体型の事を言ったのでは?」
「い、いや…その…」
「正解よ。カインは、長期休み明けに久しぶりに会った私に対して、『少し太ったな!』と言ったのよ」
(うわぁ…)
ついついミレーナも、カインを冷たい目で見る。それは、女性に対して決して言ってはいけない言葉だ。
「愚兄が申し訳ありません」
「貴女が謝る必要はありませんわ。悪いのはカインですもの」
「おいおい、何度も謝っただろう?」
「お兄様、それは永遠に許されざる行為です」
「マジかよ…」
項垂れるカインにキャロラインとカレンがチクチクと文句を言っているのを見ている時、ルークが静かな事に気が付いて隣に居るルークを見上げた。
(ルーク?)
ルークは、ジッとキャロラインを見てた。
そんなルークを見て、ミレーナの胸が小さく騒めいたのだった。
4人で話していた所に聞こえて来た、ルークへと呼びかける声。その声が聞こえた瞬間、隣のミレーナが気のせいだったかと思う程に小さくルークが息を呑んだ気がした。
(ルーク?)
ルークに声をかけたのは、ルークやカインと同年代と思わしき綺麗な女性だった。金の髪を結い上げて赤いドレスを来た女性は、その美しい青い瞳でルークを見つめていた。
「キャロライン、久しぶりだね。こっちに帰って来てたんだね」
「えぇ、つい先日に。ごめんなさいね、話に割り込んでしまって」
そう言って、キャロラインと呼ばれた女性はミレーナを見る。
「此方の方が?」
「そう、僕の婚約者のミレーナだよ。ミレーナ、彼女はキャロライン。僕とカインの元同級生で、今はフィオール侯爵夫人だよ」
「初めまして、ミレーナ・ロードンと申します」
「初めまして。貴女の事は、ルークによく聞いてたわ。とても可愛らしい婚約者が居るって。本当に可愛らしい方ね」
そう言って微笑むキャロラインは、とても美しかった。
「おいおい、酷いな。俺の事は無視か?」
「あら、カイル。お久しぶりね」
「ルークと俺の扱いの差が酷くないか?」
「それは貴方とルークの人柄の差ね。学生時代に私にした事、まだ許して無いわよ?」
「おいおい、あれはもう時効だろう?」
「女性に対してデリカシーの無い男性は、いつまで経っても冷たくされるものよ?」
キャロラインの言葉に、カレンが兄に冷たい視線を送る。
「お兄様、最低ですわ」
「おいっ!まだ何をしたかも聞いてないだろ?」
「聞かなくても、大雑把でデリカシーの無いお兄様の事ですもの。大方、女性に対して年齢や体型の事を言ったのでは?」
「い、いや…その…」
「正解よ。カインは、長期休み明けに久しぶりに会った私に対して、『少し太ったな!』と言ったのよ」
(うわぁ…)
ついついミレーナも、カインを冷たい目で見る。それは、女性に対して決して言ってはいけない言葉だ。
「愚兄が申し訳ありません」
「貴女が謝る必要はありませんわ。悪いのはカインですもの」
「おいおい、何度も謝っただろう?」
「お兄様、それは永遠に許されざる行為です」
「マジかよ…」
項垂れるカインにキャロラインとカレンがチクチクと文句を言っているのを見ている時、ルークが静かな事に気が付いて隣に居るルークを見上げた。
(ルーク?)
ルークは、ジッとキャロラインを見てた。
そんなルークを見て、ミレーナの胸が小さく騒めいたのだった。
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