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そして、漸く待ち侘びたルークとの約束の日が訪れた。ミレーナは、専属侍女のラナに向かって何度目かの質問をする。
「ねぇ、ラナ。変じゃない?」
「とてもお似合いですよ」
「そう?……やっぱり、こっちの黄色のリボンの方がいいかな?」
「お嬢様のブルネットの髪と緑の瞳には、こちらの青いリボンの方がお似合いですよ」
鏡と睨めっこしながら編み込んでもらった髪を見ていると、外から馬車の音が聞こえて来た。
「………!ルーク様だわ!」
ミレーナは、もう一度身嗜みを確認してからルークを出迎える為に玄関ホールに向かった。そこには、既に父リグルと母ミラの姿があった。
「お父様、お母様!」
「あらあら、そんなに慌ててると転んでしまうわよ」
「大丈夫です!それより、ルーク様は?」
「ルーク君ならすぐに来るさ。今、執事が出迎えてる所さ」
その言葉と共に玄関が開き、執事に案内されたルークが現れた。久しぶりに見るルークは、以前よりも少し大人っぽくなっており、ミレーナはその姿に心臓が強く高鳴った。
「リグル様、ミラ様。お久しぶりです」
「やあ、ルーク君。久しぶりだね」
「えぇ。暫く見ないうちにまた一段と素敵になったのではなくて?」
両親達と話している間も、ボーッとルークに見惚れる。そして両親との挨拶が終わったルークは、ミレーナに微笑んだ。
「やぁ、ミレーナ。久しぶりだね」
「お、お久しぶりですっ!」
「今日のミレーナは、一段と可愛いね」
「~~~っ!あ、ありがとうございます…」
一段と素敵になったルークに、ミレーナは顔を赤らめる。恥ずかし過ぎて、自然と顔が下を向く。
(ど、どうしようっ!ルーク様の顔が見れないっ!)
「では、リグル様。手紙でお伝えした通り…」
「わかってるさ。ミレーナ、中庭にお茶会の準備が出来ている。ルーク君を案内してくれるかい?私とミラは少し話があってね」
「わ、わかりました。ルーク様、此方にどうぞ」
ニコニコと笑顔を浮かべる両親達を背に、ミレーナは緊張気味にルークを中庭へと案内する。そんなミレーナの様子を、優しい目で見つめるルークには気付かなかった。
春を少し過ぎるこの季節、中庭の花は優秀な庭師の手によって美しく咲き乱れていた。そこに用意されていた席に座ると、待機していたラナが紅茶を注ぎ少し離れた位置に待機した。未だ緊張していたミレーナに、ルークが優しく話しかける。
「ミレーナ、本当に久しぶりだね。元気そうで良かったよ」
「は、はい。ルーク様も、お元気そうで何よりです」
「まぁね。ミレーナは、会わない間は何をして過ごしてたんだい?僕は、学園への準備なんかで忙しくてね」
「私はーー」
暫くルークと話していると、次第に緊張が解れて前も変わらず笑顔でルークと話せる様になっていった。
そうして暫くした頃、ルークはなんて事ない様にこう言った。
「ねぇ、ミレーナ。僕達、婚約しないかい?」
「ねぇ、ラナ。変じゃない?」
「とてもお似合いですよ」
「そう?……やっぱり、こっちの黄色のリボンの方がいいかな?」
「お嬢様のブルネットの髪と緑の瞳には、こちらの青いリボンの方がお似合いですよ」
鏡と睨めっこしながら編み込んでもらった髪を見ていると、外から馬車の音が聞こえて来た。
「………!ルーク様だわ!」
ミレーナは、もう一度身嗜みを確認してからルークを出迎える為に玄関ホールに向かった。そこには、既に父リグルと母ミラの姿があった。
「お父様、お母様!」
「あらあら、そんなに慌ててると転んでしまうわよ」
「大丈夫です!それより、ルーク様は?」
「ルーク君ならすぐに来るさ。今、執事が出迎えてる所さ」
その言葉と共に玄関が開き、執事に案内されたルークが現れた。久しぶりに見るルークは、以前よりも少し大人っぽくなっており、ミレーナはその姿に心臓が強く高鳴った。
「リグル様、ミラ様。お久しぶりです」
「やあ、ルーク君。久しぶりだね」
「えぇ。暫く見ないうちにまた一段と素敵になったのではなくて?」
両親達と話している間も、ボーッとルークに見惚れる。そして両親との挨拶が終わったルークは、ミレーナに微笑んだ。
「やぁ、ミレーナ。久しぶりだね」
「お、お久しぶりですっ!」
「今日のミレーナは、一段と可愛いね」
「~~~っ!あ、ありがとうございます…」
一段と素敵になったルークに、ミレーナは顔を赤らめる。恥ずかし過ぎて、自然と顔が下を向く。
(ど、どうしようっ!ルーク様の顔が見れないっ!)
「では、リグル様。手紙でお伝えした通り…」
「わかってるさ。ミレーナ、中庭にお茶会の準備が出来ている。ルーク君を案内してくれるかい?私とミラは少し話があってね」
「わ、わかりました。ルーク様、此方にどうぞ」
ニコニコと笑顔を浮かべる両親達を背に、ミレーナは緊張気味にルークを中庭へと案内する。そんなミレーナの様子を、優しい目で見つめるルークには気付かなかった。
春を少し過ぎるこの季節、中庭の花は優秀な庭師の手によって美しく咲き乱れていた。そこに用意されていた席に座ると、待機していたラナが紅茶を注ぎ少し離れた位置に待機した。未だ緊張していたミレーナに、ルークが優しく話しかける。
「ミレーナ、本当に久しぶりだね。元気そうで良かったよ」
「は、はい。ルーク様も、お元気そうで何よりです」
「まぁね。ミレーナは、会わない間は何をして過ごしてたんだい?僕は、学園への準備なんかで忙しくてね」
「私はーー」
暫くルークと話していると、次第に緊張が解れて前も変わらず笑顔でルークと話せる様になっていった。
そうして暫くした頃、ルークはなんて事ない様にこう言った。
「ねぇ、ミレーナ。僕達、婚約しないかい?」
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