貴方の事を愛していました

ハルン

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初めてルークに出会ったのは、ミレーナが5歳の頃だった。ルークの両親とミレーナの両親は友人同士で、その関係で出会ったのだ。

「君がミレーナ?初めまして、僕はルークって言うんだ」

太陽の光を浴びて輝く金の髪を風で揺らし、空の色を閉じ込めた様な綺麗な青い瞳を優しげに細めながら笑う5歳年上の物語の王子様の様な彼に対して夢見る少女に惚れるなという方がおかしいだろう。

ミレーナは、ルークに一目惚れをした。

勿論、ルークは見た目だけで無く性格も誠実でとても優しかった。10歳なんてまだ子供だ。それなのに、年下のさらに子供であるミレーナの会いたいという我儘に対しても文句も言わずに会いに来てとても優しくしてくれた。

出会いから1年が経ちミレーナが6歳になった頃、両親からルークにもう我儘を言ってはいけないと注意された事があった。そろそろ12歳になって学園に通う準備を始めているルークは忙しく、ミレーナの会いたいという我儘に付き合う時間は無いのだと。

最初は、何を言われているか分からなかった。
ルークに会いたいと言ったのは、確かにミレーナだ。しかし、ミレーナに会いにルークは来てくれる。それは、ルークもミレーナに会いたいからじゃないのかと両親に言った。

「ルーク君は優しいからね。妹の様に可愛がっているミレーナの悲しい顔は見たくないんだろう」

その父の言葉に、ミレーナは衝撃を受けた。

ルークは優しいから。
だから、可愛がっているミレーナが悲しまない様に願いを叶えてくれているだけ。

思い返せば、ルークが会いに来るのはミレーナが会いたいと我儘を言った時だけだ。それからミレーナは、ルークに会いたいと言うのをやめた。

(ルーク様は優しいから、私がまた我儘を言ったら困っても叶えちゃう)

そうして会わなくなって2ヶ月が経った頃、突然ルークから手紙が届いた。

『可愛いミレーナ、お元気ですか?最近は、学園に通う準備や他の事でとても忙しく、気付けば2ヶ月もミレーナに会っていません。なので、来週ミレーナに会いに伯爵家へ行きたいと思います。よければ返事を下さい。ルークより』

初めてルークから会いたいと言われた。
その事に舞い上がったミレーナは、すぐさまその手紙を父に見せた。

「ルーク様が会いたいって!ほら見て、お父様!ちゃんとルークから会いたいって書いてあるでしょ?私からは、会いたいって言ってないわ!」
「わかったよ。わかったから、少し落ち着きなさい」

興奮するミレーナを、父であるリグルは何とか落ち着かせる。

「ねぇ、ルーク様にお返事書いていいでしょ?」
「そうだね。あの事もあるし、もしかしたら正式に挨拶に来るつもりなのかもね」
「あの事?挨拶?」
「いや、ミレーナはまだ気にしなくていいよ。それより、ルーク君に手紙を出すんだろう?」
「うんっ!」

すぐさま了承の手紙を送ったミレーナは、その日から約束の日がとても待ち遠しくなるのだった。



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