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閑話
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「行ってきまーす」
「気を付けて行っておいで」
笑顔を浮かべながら走って行く体の小さな娘を見送る。
(体が成長しないことを除けば明るく優しい子に育ったなぁ)
16年前のあの夜。
セイラを見つけた時に湧き上がった感情。
『この子を護らなければ』
僕だけではなくその場にいた全員が想った事。
自分の娘として惜しみなく愛情を注いで育てた娘は、大きな怪我や病気になる事もなく育った。
「おや?また喧嘩してるね」
遠くでセイラがクリスと喧嘩しているのが見える。それをエルザに止められている。いつもの光景。
(そう言えば…)
まだセイラが赤ん坊だった頃。
クリスとエルザにセイラの子守を任せた事があった。交代で見ていたらしい。クリスが見ていた時にセイラがお漏らしをしてしまった。赤ん坊の面倒を見たことがなかったクリスは泣き出したセイラにどうすれば良いかな分からなかったそうだ。
『ちょっとクリス!セイラお漏らししてるじゃない。このままにして置くなんてセイラが気持ち悪くて泣いちゃうはずでしょう!』
『はい…。すみません』
外に干した濡れた布団の前でエルザに叱られ小さくなるクリス。側から見れば良い年をした少年がお漏らしをしてエルザに叱られている様に見える。実際、そうだと思った近所の女性によって村全体にクリスのお漏らし話が広がった。暫くクリスは両親に馬鹿にされ村のみんなから生暖かい目で見られる事になった。
(あの時のクリスは可哀想だったなー)
そんなことを思い出しながらもこの幸せな時間に感謝した。
「気を付けて行っておいで」
笑顔を浮かべながら走って行く体の小さな娘を見送る。
(体が成長しないことを除けば明るく優しい子に育ったなぁ)
16年前のあの夜。
セイラを見つけた時に湧き上がった感情。
『この子を護らなければ』
僕だけではなくその場にいた全員が想った事。
自分の娘として惜しみなく愛情を注いで育てた娘は、大きな怪我や病気になる事もなく育った。
「おや?また喧嘩してるね」
遠くでセイラがクリスと喧嘩しているのが見える。それをエルザに止められている。いつもの光景。
(そう言えば…)
まだセイラが赤ん坊だった頃。
クリスとエルザにセイラの子守を任せた事があった。交代で見ていたらしい。クリスが見ていた時にセイラがお漏らしをしてしまった。赤ん坊の面倒を見たことがなかったクリスは泣き出したセイラにどうすれば良いかな分からなかったそうだ。
『ちょっとクリス!セイラお漏らししてるじゃない。このままにして置くなんてセイラが気持ち悪くて泣いちゃうはずでしょう!』
『はい…。すみません』
外に干した濡れた布団の前でエルザに叱られ小さくなるクリス。側から見れば良い年をした少年がお漏らしをしてエルザに叱られている様に見える。実際、そうだと思った近所の女性によって村全体にクリスのお漏らし話が広がった。暫くクリスは両親に馬鹿にされ村のみんなから生暖かい目で見られる事になった。
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