師匠！弟子にしてください！〜その魔女最強につき〜

2章

2

「失敗した…」

私は今、広場にある噴水の前で途方に暮れていた。

「一人で来ればよかった」

それは、カイルと街に入って直ぐだった。

＊＊＊

「最初は何を買いますか？」
「うーん。買い物は最後にして、最初は街を見て回ろうかなぁ。久し振りの街だしね」

そんな事を話していると。

「…ねぇ、あの人カッコよくない？」
「本当だ！すっごいイケメンね！」
「あら～ん！あの坊やタイプだわ～」

周りの若い女の子達（若干1名、ムキムキの男性）が、こちらをチラチラ見ながら話している。

「声かけちゃう？」
「でも隣に人いるよ？彼女かな？」
「え～？小さいし妹でしょ」
「顔は似てない？」
「そこら辺にいそうな顔ね」

（チビで普通の顔で悪かったな！！）

「あ～、早く1人分のケーキを買って家に帰ろうっと！」

さり気無くカイルから離れると少し大きな声で、私は1人で来ましたよアピールをする。だが、直ぐにカイルがアリアの横に並ぶ。

「師匠、ケーキは朝早起きして作って置いたので買わなくても大丈夫です」

（空気読めよー！！）

私のアピールは、カイルに無駄にされた。しかも、ちゃっかり同棲してますアピールされた。

（本人にそんな自覚無いのが余計に憎い！）

「師匠…ってどんな関係なの？」
「あんなイケメンが弟子？何の？」
「そういうプレイ？」
「えっ？そうなの？」
「あの坊や、凄くイイわ～」

私達の関係がどんどん危ない方に推測されて行く。

「～っ！カイル、ここから別行動！お昼過ぎに、あそこの時計台の下に集合ね！」
「あっ、師匠！」

一刻も早くその場を離れるべく、必要な事だけ言いその場を後にした。

そして現在。

「やっぱりイケメンは連れてこない方がよかったなぁ。あんなに騒がれるとのんびり街も見れない…」

ハァっと溜息をついた時。

「やぁ、可愛子ちゃん。そんな溜息をついてどうしたの？」

そう声を掛けられ顔を上げると、目の前に赤い髪をしたイケメンが立っていた。

（イケメン滅びろ）

そう思ってしまったのは許して欲しい。