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1章
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(それにしても何で此処に人が居るんだろう?)
終焉の森は魔獣の巣窟だ。奥に行けば行くほどに魔獣の強さも上がる。間違ってもこんな奥まで来る人はいない。そんな事を考えていると。
「グオォォォー!!」
魔獣が大きく吠え青年に向かって突進する。青年は横に飛ぶと、すぐさま剣で魔獣を斬り付ける。その淡く光る剣は、簡単に魔獣の後ろ足を切り落とす。
(馬鹿っ!)
足を切り落とした事に気を抜いた青年は、反撃に出た魔獣の前足で吹き飛ばされる。
「っ!!」
2~3メートルほど飛ばされ木に打つかり止まる。油断していた為に、まともな受け身も取れなかった青年は、今の攻撃でもう動けないようだ。剣も遠くに飛ばされ反撃も出来ない。
「グルルルッ」
切られた足を引きずりながら魔獣は青年に近付き、とどめを刺そうと前足を振り上げる。それを見て私は、一瞬で青年の前に転移する。
「『待て』」
ーーピタッ!
声に魔力を乗せ言葉を発すると、魔獣はピタッと動きを止める。
「『そのまま自分の住処に戻れ』」
すると、アリアの言葉通りに魔獣はゆっくりとアリア達に背を向け去って行った。
「…さて」
それを完全に見送ってから、アリアは背後の青年を振り返る。木にもたれ掛かるように倒れている青年の右腕は、本来ならあり得ない方に曲がり口からは血が出ている。
(これは内臓もズタズタだよね?)
流石にこの状態の彼をそのままに、森の入り口に置いて行くほどアリアは鬼畜では無い。アリアは右手を目の前の彼に向ける。
「癒しを」
呪文と共に、青年は淡い光に包まれる。
そうして光が収まると、折れた腕は治り身体の内臓も綺麗に治った。
「っ…」
「お~い。大丈夫?」
意識を取り戻したらしい青年は、ゆっくりとその青い瞳にアリアを映す。
(うわぁ…綺麗な瞳)
澄み渡る青空の様な綺麗な瞳。
ここまで綺麗な瞳を見たのは久し振りだ。
「今から森の入り口に送ってあげるから。もう二度とこんな奥まで入らないようにね」
そうして彼の側に飛ばされた剣を置き、入り口まで転移させようとした時ーー。
「待ってくれ!」
縋るように、青年に腕を掴まれた。
「ん?」
「俺を弟子にして下さい!」
「へ…?」
これが彼、カイル・フォン・オルフェイアとの出会いだった。
終焉の森は魔獣の巣窟だ。奥に行けば行くほどに魔獣の強さも上がる。間違ってもこんな奥まで来る人はいない。そんな事を考えていると。
「グオォォォー!!」
魔獣が大きく吠え青年に向かって突進する。青年は横に飛ぶと、すぐさま剣で魔獣を斬り付ける。その淡く光る剣は、簡単に魔獣の後ろ足を切り落とす。
(馬鹿っ!)
足を切り落とした事に気を抜いた青年は、反撃に出た魔獣の前足で吹き飛ばされる。
「っ!!」
2~3メートルほど飛ばされ木に打つかり止まる。油断していた為に、まともな受け身も取れなかった青年は、今の攻撃でもう動けないようだ。剣も遠くに飛ばされ反撃も出来ない。
「グルルルッ」
切られた足を引きずりながら魔獣は青年に近付き、とどめを刺そうと前足を振り上げる。それを見て私は、一瞬で青年の前に転移する。
「『待て』」
ーーピタッ!
声に魔力を乗せ言葉を発すると、魔獣はピタッと動きを止める。
「『そのまま自分の住処に戻れ』」
すると、アリアの言葉通りに魔獣はゆっくりとアリア達に背を向け去って行った。
「…さて」
それを完全に見送ってから、アリアは背後の青年を振り返る。木にもたれ掛かるように倒れている青年の右腕は、本来ならあり得ない方に曲がり口からは血が出ている。
(これは内臓もズタズタだよね?)
流石にこの状態の彼をそのままに、森の入り口に置いて行くほどアリアは鬼畜では無い。アリアは右手を目の前の彼に向ける。
「癒しを」
呪文と共に、青年は淡い光に包まれる。
そうして光が収まると、折れた腕は治り身体の内臓も綺麗に治った。
「っ…」
「お~い。大丈夫?」
意識を取り戻したらしい青年は、ゆっくりとその青い瞳にアリアを映す。
(うわぁ…綺麗な瞳)
澄み渡る青空の様な綺麗な瞳。
ここまで綺麗な瞳を見たのは久し振りだ。
「今から森の入り口に送ってあげるから。もう二度とこんな奥まで入らないようにね」
そうして彼の側に飛ばされた剣を置き、入り口まで転移させようとした時ーー。
「待ってくれ!」
縋るように、青年に腕を掴まれた。
「ん?」
「俺を弟子にして下さい!」
「へ…?」
これが彼、カイル・フォン・オルフェイアとの出会いだった。
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