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No.81 クリスside

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(面白いくらいにペラペラと簡単に喋るな)

ちょっと気のあるフリをして優しく微笑んだ途端、ペラペラと話し始める目の前の少女ーーマリアを見て、クリスはそんな事を思っていた。

「ーーだから、一度で良いから綺麗なドレスを着てパーティーに行ってみたかったんです!」
「そうなんだ。初めてのパーティーはどうだった?」
「すっごく綺麗でビックリしました!………でも、おばさんが急に私にぶつかって来た時は、ムカついたけど」

(面白いな。彼女の話す大部分の内容は、まるで何かの台本を読んでいるみたいな印象を受ける。時折、不満そうに話すのが本音なんだろうな)

チラリとダリルを見ると、彼も同じ事を思った様だ。一見、穏やかそうに見えるが、目の奥に冷徹な感情が見えた。

(………さて、そろそろ始めるか)

「それでーー」
「ねぇ、マリア」

未だキラキラと瞳を輝かせて話すマリアの言葉を遮り、クリスはその美しい顔に艶やかな笑みを浮かべてマリアの隣に座ると、彼女の手を優しく手を握る。たったそれだけで顔を赤く染めてうっとりとするマリアに、クリスの笑みが深くなる。

「今日、私は君と会えてとても嬉しいよ」
「私もです」
「君もそう思ってくれるのかい?嬉しいな」
「だって、私達は運命で結ばれた相手なんですよ」

マリアの言葉に、クリスは笑いそうになった。

(運命?私と君が?)

残念だが、クリスは簡単に思考を読める様な詰まらない人間はタイプでは無い。
確かに、この年頃の子供にしては驚く程に知性的だと思う。誰かに命じられていたのだとしても、演技力などには目を見張るものがある。

ーーだが、それだけだ。

(こう言うタイプは、自分の事しか考えられない人間だ。そう言う人間は、最初は上手くやるけど最後は自滅するのが多いんだよね)

他に面白い部分があれば別だが、現段階では何一つクリスの興味を引くものはない。
その時点で、マリアはクリスにとって路傍の石と同じ価値しか持たなかった。

「今日という日に、私達を出会わせてくれた相手を知りたいな」
「出会わせてくれた相手?」
「うん。誰かに協力してもらって、パーティーに来たんでしょ?その相手に、マリアに会わせてくれてありがとうってお礼が言いたいんだ」
「わかったわ!協力してくれたのはーー」

クリスの言葉を簡単に信じたマリアは、協力者の名前を簡単に口にした。その協力者の名前を聞いたクリスは、面白い事になったと強く思ったのだった。

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