77 / 106
No.75 ミランダside
しおりを挟む
サーシャがティミアと控え室に向かい、アランもミランダ達が招待客達と挨拶しているうちに何処かへと行ってしまった。
そうして、三十分程して漸く挨拶がひと段落する。
「ミランダ、疲れてないか?」
夫であるダリルがミランダに声をかける。
「えぇ、大丈夫よ。それより、私は彼方の御婦人達の所へ行ってくるわ」
そう言って、ミランダは食事コーナー辺りで集まり楽しそうに話をしている夫人達を見る。
「………何かあるのかい?」
「あの中心にいるディルーナ伯爵夫人が付けてるネックレスが見えるかしら」
ミランダの言葉に、ダリルは中心にいるふくよかな体型の夫人を見る。その胸元には、一目で高価だと分かるエメラルドの宝石のネックレスが照明の光で反射して輝いていた。
「随分と高価なネックレスだ。………しかし、不思議だな。ディルーナ伯爵家は、金巡りが悪く窮困していたと記憶しているが…」
「でしょ?それなのに、夫人は高価なネックレスをしている。あれは、王都でも有数の宝石店の物よ。見覚えがあるもの」
(数ある商品の中では、一番値段が安かったわ。それでも、窮困しているディルーナ伯爵が買える値段では無い筈よ)
それに、ネックレスだけでは無い。
身に付けているあらゆる物が以前とは違い、全てが高価な物になっている。
「だから、少し夫人とお話がしたくて」
「………そうだな。私も少しディルーナ伯爵と話がしたくなって来たよ」
「ふふっ、じゃあまた後で」
チュッとダリルの頬にキスをしてから、ミランダはディルーナ夫人の元へと向かった。
「それで、夫がその時に言ったのがーー」
「失礼、私も話に入れて下さらない?」
ディルーナ夫人の話の途中、ミランダが横から声をかける。すると、ディルーナ夫人他、数名の夫人達がミランダの登場に驚く。
「まぁ!アベルシュタイン夫人!」
「えぇ、どうぞ!」
「夫人とお話し出来るなんて嬉しいですわ!」
そうして話し出す彼女達の話を笑顔で聴きながら、チラリと会場に目を向ける。すると、夫のダリルがディルーナ伯爵と楽しそうにワイン片手に話しているのが見えた。酔いが回っているのか、顔を赤くしたディルーナ伯爵がペラペラと何かを話している。
(あっちは上手くいってるようね)
ならば、此方もそろそろ上手い具合に情報を引き出そう。そうして、ミランダは人を魅了する笑みを浮かべながら行動を開始するのだった。
そうして、三十分程して漸く挨拶がひと段落する。
「ミランダ、疲れてないか?」
夫であるダリルがミランダに声をかける。
「えぇ、大丈夫よ。それより、私は彼方の御婦人達の所へ行ってくるわ」
そう言って、ミランダは食事コーナー辺りで集まり楽しそうに話をしている夫人達を見る。
「………何かあるのかい?」
「あの中心にいるディルーナ伯爵夫人が付けてるネックレスが見えるかしら」
ミランダの言葉に、ダリルは中心にいるふくよかな体型の夫人を見る。その胸元には、一目で高価だと分かるエメラルドの宝石のネックレスが照明の光で反射して輝いていた。
「随分と高価なネックレスだ。………しかし、不思議だな。ディルーナ伯爵家は、金巡りが悪く窮困していたと記憶しているが…」
「でしょ?それなのに、夫人は高価なネックレスをしている。あれは、王都でも有数の宝石店の物よ。見覚えがあるもの」
(数ある商品の中では、一番値段が安かったわ。それでも、窮困しているディルーナ伯爵が買える値段では無い筈よ)
それに、ネックレスだけでは無い。
身に付けているあらゆる物が以前とは違い、全てが高価な物になっている。
「だから、少し夫人とお話がしたくて」
「………そうだな。私も少しディルーナ伯爵と話がしたくなって来たよ」
「ふふっ、じゃあまた後で」
チュッとダリルの頬にキスをしてから、ミランダはディルーナ夫人の元へと向かった。
「それで、夫がその時に言ったのがーー」
「失礼、私も話に入れて下さらない?」
ディルーナ夫人の話の途中、ミランダが横から声をかける。すると、ディルーナ夫人他、数名の夫人達がミランダの登場に驚く。
「まぁ!アベルシュタイン夫人!」
「えぇ、どうぞ!」
「夫人とお話し出来るなんて嬉しいですわ!」
そうして話し出す彼女達の話を笑顔で聴きながら、チラリと会場に目を向ける。すると、夫のダリルがディルーナ伯爵と楽しそうにワイン片手に話しているのが見えた。酔いが回っているのか、顔を赤くしたディルーナ伯爵がペラペラと何かを話している。
(あっちは上手くいってるようね)
ならば、此方もそろそろ上手い具合に情報を引き出そう。そうして、ミランダは人を魅了する笑みを浮かべながら行動を開始するのだった。
0
お気に入りに追加
4,072
あなたにおすすめの小説
敗戦して嫁ぎましたが、存在を忘れ去られてしまったので自給自足で頑張ります!
桗梛葉 (たなは)
恋愛
タイトルを変更しました。
※※※※※※※※※※※※※
魔族 vs 人間。
冷戦を経ながらくすぶり続けた長い戦いは、人間側の敗戦に近い状況で、ついに終止符が打たれた。
名ばかりの王族リュシェラは、和平の証として、魔王イヴァシグスに第7王妃として嫁ぐ事になる。だけど、嫁いだ夫には魔人の妻との間に、すでに皇子も皇女も何人も居るのだ。
人間のリュシェラが、ここで王妃として求められる事は何もない。和平とは名ばかりの、敗戦国の隷妃として、リュシェラはただ静かに命が潰えていくのを待つばかり……なんて、殊勝な性格でもなく、与えられた宮でのんびり自給自足の生活を楽しんでいく。
そんなリュシェラには、実は誰にも言えない秘密があった。
※※※※※※※※※※※※※
短編は難しいな…と痛感したので、慣れた文字数、文体で書いてみました。
お付き合い頂けたら嬉しいです!
寝取られ予定のお飾り妻に転生しましたが、なぜか溺愛されています
あさひな
恋愛
☆感謝☆ホットランキング一位獲得!応援いただきましてありがとうございます(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)
シングルマザーとして息子を育て上げた私だが、乙女ゲームをしている最中にベランダからの転落事故により異世界転生を果たす。
転生先は、たった今ゲームをしていたキャラクターの「エステル・スターク」男爵令嬢だったが……その配役はヒロインから寝取られるお飾り妻!?
しかもエステルは魔力を持たない『能無し』のため、家族から虐げられてきた幸薄モブ令嬢という、何とも不遇なキャラクターだった。
おまけに夫役の攻略対象者「クロード・ランブルグ」辺境伯様は、膨大な魔力を宿した『悪魔の瞳』を持つ、恐ろしいと噂される人物。
魔獣討伐という特殊任務のため、魔獣の返り血を浴びたその様相から『紅の閣下』と異名を持つ御方に、お見合い初日で結婚をすることになった。
離縁に備えて味方を作ろうと考えた私は、使用人達と仲良くなるためにクロード様の目を盗んで仕事を手伝うことに。前世の家事スキルと趣味の庭いじりスキルを披露すると、あっという間に使用人達と仲良くなることに成功!
……そこまでは良かったのだが、そのことがクロード様にバレてしまう。
でも、クロード様は怒る所か私に興味を持ち始め、離縁どころかその距離はどんどん縮まって行って……?
「エステル、貴女を愛している」
「今日も可愛いよ」
あれ? 私、お飾り妻で捨てられる予定じゃありませんでしたっけ?
乙女ゲームの配役から大きく変わる運命に翻弄されながらも、私は次第に溺愛してくるクロード様と恋に落ちてしまう。
そんな私に一通の手紙が届くが、その内容は散々エステルを虐めて来た妹『マーガレット』からのものだった。
忍び寄る毒家族とのしがらみを断ち切ろうと奮起するがーー。
※こちらの物語はざまぁ有りの展開ですが、ハピエン予定となっておりますので安心して読んでいただけると幸いです。よろしくお願いいたします!
私を追い出すのはいいですけど、この家の薬作ったの全部私ですよ?
火野村志紀
恋愛
【現在書籍板1~3巻発売中】
貧乏男爵家の娘に生まれたレイフェルは、自作の薬を売ることでどうにか家計を支えていた。
妹を溺愛してばかりの両親と、我慢や勉強が嫌いな妹のために苦労を重ねていた彼女にも春かやって来る。
薬師としての腕を認められ、レオル伯アーロンの婚約者になったのだ。
アーロンのため、幸せな将来のため彼が経営する薬屋の仕事を毎日頑張っていたレイフェルだったが、「仕事ばかりの冷たい女」と屋敷の使用人からは冷遇されていた。
さらにアーロンからも一方的に婚約破棄を言い渡され、なんと妹が新しい婚約者になった。
実家からも逃げ出し、孤独の身となったレイフェルだったが……
継母と妹に家を乗っ取られたので、魔法都市で新しい人生始めます!
桜あげは
恋愛
父の後妻と腹違いの妹のせいで、肩身の狭い生活を強いられているアメリー。
美人の妹に惚れている婚約者からも、早々に婚約破棄を宣言されてしまう。
そんな中、国で一番の魔法学校から妹にスカウトが来た。彼女には特別な魔法の才能があるのだとか。
妹を心配した周囲の命令で、魔法に無縁のアメリーまで学校へ裏口入学させられる。
後ろめたい、お金がない、才能もない三重苦。
だが、学校の魔力測定で、アメリーの中に眠っていた膨大な量の魔力が目覚め……!?
不思議な魔法都市で、新しい仲間と新しい人生を始めます!
チートな力を持て余しつつ、マイペースな魔法都市スローライフ♪
書籍になりました。好評発売中です♪
結婚する気なんかなかったのに、隣国の皇子に求婚されて困ってます
星降る夜の獅子
恋愛
貴族の名門、アベリア学園に通う三年生、リラ・アリエス。
同級生たちは卒業後の社交パーティーや見合いに夢中だが、リラは領地の経営にしか興味が持てない様子だった。
親友のアビーとクリスティーヌに婚期を逃すよう幾度となく忠告されても、彼女は平然として笑って誤魔化すの。
そんなリラを心から慕うのは、学友であり、アベリア国皇子の第二皇子、ロイド・ヴィルゴ・アベリア。
ロイドは密かに成人式の宴の後、リラに求婚するつもりで準備をしていた。
しかし、その時、たまたま列席していたのは、類稀なる美貌を持つアクイラ国第一皇子、クライヴ・レオ・アクイラだった。
驚くべきことに、クライヴはロイドの目の前で、恋焦がれるリラをダンスに誘うのだ!
この信じがたい出来事に、ロイドは嫉妬に震え、取り乱す。一方、リラはクライヴの美貌に見惚れ、抗うことができない。
これは、異世界王宮で繰り広げられるドキドキのラブストーリー。
☆★☆ 重複投稿のお知らせ ☆★☆
『小説家になろう』さまでも同様のものを連載しております
https://ncode.syosetu.com/n6224in/
『カクヨム』さまでも同様のものを掲載しております
https://kakuyomu.jp/works/16818023213580314524
これでも全属性持ちのチートですが、兄弟からお前など不要だと言われたので冒険者になります。
りまり
恋愛
私の名前はエルムと言います。
伯爵家の長女なのですが……家はかなり落ちぶれています。
それを私が持ち直すのに頑張り、贅沢できるまでになったのに私はいらないから出て行けと言われたので出ていきます。
でも知りませんよ。
私がいるからこの贅沢ができるんですからね!!!!!!
すべてが嫌になったので死んだふりをしたら、いつの間にか全部解決していました
小倉みち
恋愛
公爵令嬢へテーゼは、苦労人だった。
周囲の人々は、なぜか彼女にひたすら迷惑をかけまくる。
婚約者の第二王子は数々の問題を引き起こし、挙句の果てに彼女の妹のフィリアと浮気をする。
家族は家族で、せっかく祖父の遺してくれた遺産を湯水のように使い、豪遊する。
どう考えても彼らが悪いのに、へテーゼの味方はゼロ。
代わりに、彼らの味方をする者は大勢。
へテーゼは、彼らの尻拭いをするために毎日奔走していた。
そんなある日、ふと思った。
もう嫌だ。
すべてが嫌になった。
何もかも投げ出したくなった彼女は、仲の良い妖精たちの力を使って、身体から魂を抜き取ってもらう。
表向き、へテーゼが「死んだ」ことにしようと考えたのだ。
当然そんなことは露知らず、完全にへテーゼが死んでしまったと慌てる人々。
誰が悪い、これからどうするのか揉めるうちに、自爆していく連中もいれば、人知れず彼女を想っていた者の復讐によって失脚していく連中も現れる。
こうして彼女が手を出すまでもなく、すべての問題は綺麗さっぱり解決していき――。
処刑直前ですが得意の転移魔法で離脱します~私に罪を被せた公爵令嬢は絶対許しませんので~
インバーターエアコン
恋愛
王宮で働く少女ナナ。王様の誕生日パーティーに普段通りに給仕をしていた彼女だったが、突然第一王子の暗殺未遂事件が起きる。
ナナは最初、それを他人事のように見ていたが……。
「この女よ! 王子を殺そうと毒を盛ったのは!」
「はい?」
叫んだのは第二王子の婚約者であるビリアだった。
王位を巡る争いに巻き込まれ、王子暗殺未遂の罪を着せられるナナだったが、相手が貴族でも、彼女はやられたままで終わる女ではなかった。
(私をドロドロした内争に巻き込んだ罪は贖ってもらいますので……)
得意の転移魔法でその場を離脱し反撃を始める。
相手が悪かったことに、ビリアは間もなく気付くこととなる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる