極妻、乙女ゲームの世界に悪役令嬢として転生しちゃいました!

ハルン

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No.46

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応接室で、ダリルとクリス達が話している頃。
サーシャとアランは、応接室の隣の控え室でのんびりと紅茶を飲んでいた。

「やっぱり、このローズマリーは美味しいね。サーシャは、どう?」
「私も、この紅茶は好きです」

そう言って、サーシャは香りを楽しんでから一口飲む。

(それよりも、あの第一王子……)

サーシャは、先程初めて会った第一王子を思い出す。目があった瞬間、サーシャは察した。目の前の少年は、自分と同類だと。

他者は、全て自分の手駒。
他の者が、例えどうなろうが構わない。
自分の利益の為に動く。
心を動かすのは、懐に入れた大切な者達だけ。


ーーそうして、大切な人の為ならどんな汚い事でも平気でする。


そんな、人として何処か欠落した人間同類だ。

(………まず間違い無く、あっちも私が同類だって気が付いたよね?)


ーー類は友を呼ぶ。


まさに、今のサーシャに相応しい言葉だ。

「サーシャ?どうしたんだい?」

色々と考え込んでいたサーシャに、アランは心配そうに声をかける。

「………いえ。クリス王子、凄くカッコ良かったなぁ~って思…って……」

当たり障り無く、クリスの美貌を褒めたサーシャ。だが、何故だかアランの笑みが深くなり威圧感を放ち始める。

「に、兄様?」
「うん?どうしたんだい?」
「お、怒ってる…?」
「怒ってないよ。怒る要素なんて無かっただろ?」

確かに、サーシャから見て何処にも怒る要素は無かった。実際、アランは笑顔だ。

だが、全身から黒いオーラを出している。

(怖い…!)

顔が滅多に見ない程に綺麗な為、余計に恐怖を煽ってくる。

「本当に、怒ってないよ。俺が、サーシャを怒る訳ないだろ?」

それはそれで、色々問題だと思う。

「ーーただ、サーシャがクリスをカッコいいって言った事が少し不快だっただけだよ」

そう、笑顔で言ったアラン。
しかし、手にしているティーカップの取っ手の部分に「ピキッ!」っとヒビが入った。

(全然、少しじゃ無いよね…!?)

「俺とクリス、どっちがカッコいい?」
「勿論、アラン兄様です!!」

アランの問いに、サーシャは即座に答える。
本当は、どちらもタイプの別の美形な為にどちらの方がカッコいいとは言いづらい。
だが、此処で間違っても「クリスの方がカッコいい」とは口が裂けても言えなかった。

(まぁ、兄様がカッコいいのは本当だしね)

「良かった。これからも、サーシャに1番カッコいいって思われる様に頑張るよ」

そう言って、アランは今日一番の笑みを浮かべたのだった。






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