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Q、問題。自身がドロップキックをかました相手が、この国の第二王子だったらどうする?
1、ひたすら謝罪をする。
2、虫が付いていたと誤魔化す。
3、逃げる。
4、ひよこパンツで脅す。
A、勿論、4番一択である。
「……ねぇ、殿下?」
サーシャは、意識して今世で一番と言っていいほどに優しい声で足元のガダルに声をかける。ガダルは「ビクッ!」と身体を震わせ、恐る恐るサーシャに視線を合わせる。
「ひっ…!?」
その天使の様な美しい顔に笑みを浮かべながら……しかし、獲物を見つけた肉食獣の様な鋭い眼光のサーシャにガダルは生まれて初めて情け無い悲鳴を上げる。その怯えて震える姿に、サーシャは自身の加虐心が刺激されるのを感じた。ペロリと舌舐めずりしてしまったのは、無意識だ。
(いけない、いけない。落ち着かなきゃ…)
こう言う場合、転生するのは心優しいヒロインに相応しい女の子なのだろう。そうして、傲慢な王子を真っ当な人物へと導いて恋愛に発展する。前世での親友が読む転生物の小説は、確かそんなのだった。
ーーだが、忘れてはいけない。
前世、サーシャは極妻なのだ。
そんな女性が、心優しいなんてあり得ない。
(いや、確かに良識とか優しさはあったよ?でも、基本私達が普通に使ってたお金って、かなり悪どい方法で取り立てた借金のお金なのよね…)
まぁ、そんなお金を普通に使っていたのだから良識も優しさも何もあったものではないのだろうが…。
そんな訳で、サーシャの根本は極妻のままなのだ。
そんな彼女の前で、怯えて震えるなど加虐心が刺激されてしまうのは当然の事だ。
だが、今はそんな事をしている場合ではない。
自身の為、家族の為に今回の出来事を他言しない様にお願いしなければならないのだ。
「殿下、私と取引しませんか?」
「と、取引…?」
「えぇ。内容は、私が殿下にした事を誰にも言わない事。その代わりに、私は殿下がひよこパンツを履いている事を誰にも言いません」
「そ、そんな事が取引になると思ってるのか…!」
ガダルが、涙目で反論して来た。
だが、ガダルの言い分は正しい。王族への暴行を、ひよこパンツ程度で脅して隠せるなど普通は思わない。
ーーだが、相手が悪かった。
「ねぇ、殿下…?初恋の相手に、5歳にもなってひよこパンツをはく男だと思われてもいいんですか?」
「なっ!?」
サーシャの言葉に、ガダルは耳まで顔を赤くする。
(やっぱりね…)
サーシャは、気付いていた。
ガダルが可愛いティミアに惚れた事を。何故なら、先程から必死にティミアからひよこパンツを隠す様にしているからだ。それに、チラチラと羞恥からとは別に顔を赤く染めてチラチラとティミアを気にしていれば、前世で近所のお節介おばさんを経験していたサーシャには直ぐに分かってしまった。
「他にも、お茶会に来ている全員にひよこパンツをお話ししましょうか?きっと、大人になった時に笑い話として殿下の「ひよこパンツ」は話のネタになりますね。私は、ゴーストとなって楽しく聞かせてもらいますわ」
その言葉に、ガダルは青褪める。
「わ、分かったから!誰にも言わない!だから、お前も誰にも言わないでくれ!」
「では、取引成立ですわね?」
ガダルは悟った。
自分は悪魔と取引したのだと。
ガダルの最大の不幸は、この悪魔の様な少女に出会ってしまった事だ。
1、ひたすら謝罪をする。
2、虫が付いていたと誤魔化す。
3、逃げる。
4、ひよこパンツで脅す。
A、勿論、4番一択である。
「……ねぇ、殿下?」
サーシャは、意識して今世で一番と言っていいほどに優しい声で足元のガダルに声をかける。ガダルは「ビクッ!」と身体を震わせ、恐る恐るサーシャに視線を合わせる。
「ひっ…!?」
その天使の様な美しい顔に笑みを浮かべながら……しかし、獲物を見つけた肉食獣の様な鋭い眼光のサーシャにガダルは生まれて初めて情け無い悲鳴を上げる。その怯えて震える姿に、サーシャは自身の加虐心が刺激されるのを感じた。ペロリと舌舐めずりしてしまったのは、無意識だ。
(いけない、いけない。落ち着かなきゃ…)
こう言う場合、転生するのは心優しいヒロインに相応しい女の子なのだろう。そうして、傲慢な王子を真っ当な人物へと導いて恋愛に発展する。前世での親友が読む転生物の小説は、確かそんなのだった。
ーーだが、忘れてはいけない。
前世、サーシャは極妻なのだ。
そんな女性が、心優しいなんてあり得ない。
(いや、確かに良識とか優しさはあったよ?でも、基本私達が普通に使ってたお金って、かなり悪どい方法で取り立てた借金のお金なのよね…)
まぁ、そんなお金を普通に使っていたのだから良識も優しさも何もあったものではないのだろうが…。
そんな訳で、サーシャの根本は極妻のままなのだ。
そんな彼女の前で、怯えて震えるなど加虐心が刺激されてしまうのは当然の事だ。
だが、今はそんな事をしている場合ではない。
自身の為、家族の為に今回の出来事を他言しない様にお願いしなければならないのだ。
「殿下、私と取引しませんか?」
「と、取引…?」
「えぇ。内容は、私が殿下にした事を誰にも言わない事。その代わりに、私は殿下がひよこパンツを履いている事を誰にも言いません」
「そ、そんな事が取引になると思ってるのか…!」
ガダルが、涙目で反論して来た。
だが、ガダルの言い分は正しい。王族への暴行を、ひよこパンツ程度で脅して隠せるなど普通は思わない。
ーーだが、相手が悪かった。
「ねぇ、殿下…?初恋の相手に、5歳にもなってひよこパンツをはく男だと思われてもいいんですか?」
「なっ!?」
サーシャの言葉に、ガダルは耳まで顔を赤くする。
(やっぱりね…)
サーシャは、気付いていた。
ガダルが可愛いティミアに惚れた事を。何故なら、先程から必死にティミアからひよこパンツを隠す様にしているからだ。それに、チラチラと羞恥からとは別に顔を赤く染めてチラチラとティミアを気にしていれば、前世で近所のお節介おばさんを経験していたサーシャには直ぐに分かってしまった。
「他にも、お茶会に来ている全員にひよこパンツをお話ししましょうか?きっと、大人になった時に笑い話として殿下の「ひよこパンツ」は話のネタになりますね。私は、ゴーストとなって楽しく聞かせてもらいますわ」
その言葉に、ガダルは青褪める。
「わ、分かったから!誰にも言わない!だから、お前も誰にも言わないでくれ!」
「では、取引成立ですわね?」
ガダルは悟った。
自分は悪魔と取引したのだと。
ガダルの最大の不幸は、この悪魔の様な少女に出会ってしまった事だ。
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