精霊王旅に出る〜至高なる絶対者は転生者？〜

プロローグ

この世界には精霊が存在する。

火、水、土、風、光、闇。

六つの属性ごとに、下位精霊・中位精霊・上位精霊が存在し、そんな精霊の力を人々は自身の持つ魔力を対価に支払い様々な魔法を扱う。

下級魔法は、ちょっとした生活に役立つ様な魔法。
これは基本的に、ほぼ全ての人々が魔力さえ有れば使える魔法である。
中級魔法は、攻撃力や治癒などの影響力のある魔法。個人の持つ魔力量の問題がある為、使える者は貴族などの魔力の多い権力者が殆どである。

上級魔法は、大規模魔法や高威力のある魔法。
実力のある者達複数が力を合わせて莫大な魔力を対価に行使する魔法である。本当に稀に、たった一人で行使する者も存在するが、そういった人物は莫大な魔力を持って生まれる事の出来た希少な存在だ。

精霊とは気まぐれな存在である。
精神体であるが故に基本的に人には見えず、存在も感じ取れない。
下位精霊は自我が存在せず、世界を漂っていると言われている。
中位精霊は、様々な姿をしており子供程度の思考を持ち、気に入った人間と契約を交わす事がある。その姿は、基本的に契約者以外に見える事はない。
上位精霊は、大人の身体と思考を持ち尚且つ実体がある。任意で人に姿を見せることも出来る。下位精霊・中位精霊は無数に存在するが、上位精霊は六体しか存在しない。人々は敬意を込めて大精霊と呼んでいる。


精霊が居ないと魔法が使えない。
その為、精霊とはこの世界で最も至高な種族と謳われる。


そんなある日、世界の何処かで一人の精霊が呟いた。


「暇だ。………そうだ、人間の世界を見てみよう」


その一言が、人間界を大いに騒がせる事になるとは知らずに…。

これは、世界で最も至高な存在であるが殆どの者達に知られていない精霊の王が人間界に気紛れに旅に出る話である。