上 下
41 / 46
魔法学園編

17

しおりを挟む

ーーその日の放課後。

アリアは、昼休みと同じ空き教室でダダンと魔法契約を交わした。 

内容は、以下の通りだ。

***

1、ダダンは、アリアの指示に従う事。

2、アリアはダダンに命令出来るが、犯罪行為や肉体関係に該当する命令は禁止する。

3、アリアがダダンに命令できるのは、アリアが学園を去る期間まで。

4、契約期間内は、どの様な精神魔法も受け付けずに、アリアに誠心誠意使える事。

5、期間が過ぎたら、アリアはダダンに関する秘密の一切を誰にも口外しない。

***

「それじゃあ、よろしくお願いしますね」
「分かってるよ。女の子を誑かして情報を聞き出すなんて、俺には簡単さ。直ぐにアリア先生の望み通りの結果を出してやるよ」

自信に満ち溢れたダダンの言葉。
実際、普通の女性なら簡単だっただろう。

そう、の女性なら…ね。

「期待してます」
「じゃあな」

ヒラヒラと手を振って教室を出て行くダダン。



ーーそんな御気楽そうな彼を見たのは、それが最後だった。



翌日。

「ダ、ダダン先生…?」

ダダンに朝早くから空き教室に呼ばれたアリアがそこで見たモノは、昨日より明らかに窶れた顔をしたダダンであった。

「………無理、マジで無理。何なのあのガキ?意味分からんし、言葉通じないんだけど?同じ言葉喋ってるよな?共通語だよな?同じだよな?えっ、そうだよな?………そもそも、俺とアレは同じ人間と言う種族なのか?」

(ど、どうしよう…。何があったか分からないけど、まさかこんなに精神が病んだ人みたいになるなんて思わなかった…!)

「あ、あの~、ダダン先生?一体、昨日何があったんですか?」
「聞いてくれて!あのガキ、頭がおかしいんだ!」

アリアの言葉に、バッ!と勢い良く顔を上げたダダン。その目には、涙が滲んでいた。

「あれはもはや、同じ人間じゃないっ!何処か別の世界から来た未知の生物だ!いや、ストーカーだ!意味の分からない事をペラペラ喋ったと思ったら、俺の生活スタイルや癖なんかも当たり前の様に知ってるんだ!」
「ちょっ…!落ち着いて下さい!」

恐慌状態に陥り、顔を近付けて叫ぶダダンにこそアリアは恐怖を覚える。そうして、何とか時間をかけて漸く落ち着いたダダンから、やっと詳しい話を聞く事が出来たのだった。








しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

変態王子&モブ令嬢 番外編

咲桜りおな
恋愛
「完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい」と 「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」の 番外編集です。  本編で描ききれなかったお話を不定期に更新しています。 「小説家になろう」でも公開しています。

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない

陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」 デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。 そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。 いつの間にかパトロンが大量発生していた。 ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?

幼馴染がそんなに良いなら、婚約解消いたしましょうか?

ルイス
恋愛
「アーチェ、君は明るいのは良いんだけれど、お淑やかさが足りないと思うんだ。貴族令嬢であれば、もっと気品を持ってだね。例えば、ニーナのような……」 「はあ……なるほどね」 伯爵令嬢のアーチェと伯爵令息のウォーレスは幼馴染であり婚約関係でもあった。 彼らにはもう一人、ニーナという幼馴染が居た。 アーチェはウォーレスが性格面でニーナと比べ過ぎることに辟易し、婚約解消を申し出る。 ウォーレスも納得し、婚約解消は無事に成立したはずだったが……。 ウォーレスはニーナのことを大切にしながらも、アーチェのことも忘れられないと言って来る始末だった……。

拝啓、私を追い出した皆様 いかがお過ごしですか?私はとても幸せです。

香木あかり
恋愛
拝啓、懐かしのお父様、お母様、妹のアニー 私を追い出してから、一年が経ちましたね。いかがお過ごしでしょうか。私は元気です。 治癒の能力を持つローザは、家業に全く役に立たないという理由で家族に疎まれていた。妹アニーの占いで、ローザを追い出せば家業が上手くいくという結果が出たため、家族に家から追い出されてしまう。 隣国で暮らし始めたローザは、実家の商売敵であるフランツの病気を治癒し、それがきっかけで結婚する。フランツに溺愛されながら幸せに暮らすローザは、実家にある手紙を送るのだった。 ※複数サイトにて掲載中です

私が美女??美醜逆転世界に転移した私

恋愛
私の名前は如月美夕。 27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。 私は都内で独り暮らし。 風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。 転移した世界は美醜逆転?? こんな地味な丸顔が絶世の美女。 私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。 このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。 ※ゆるゆるな設定です ※ご都合主義 ※感想欄はほとんど公開してます。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

気付いたら異世界の娼館に売られていたけど、なんだかんだ美男子に救われる話。

sorato
恋愛
20歳女、東京出身。親も彼氏もおらずブラック企業で働く日和は、ある日突然異世界へと転移していた。それも、気を失っている内に。 気付いたときには既に娼館に売られた後。娼館の店主にお薦め客候補の姿絵を見せられるが、どの客も生理的に受け付けない男ばかり。そんな中、日和が目をつけたのは絶世の美男子であるヨルクという男で――……。 ※男は太っていて脂ぎっている方がより素晴らしいとされ、女は細く印象の薄い方がより美しいとされる美醜逆転的な概念の異世界でのお話です。 !直接的な行為の描写はありませんが、そういうことを匂わす言葉はたくさん出てきますのでR15指定しています。苦手な方はバックしてください。 ※小説家になろうさんでも投稿しています。

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

処理中です...