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魔法学園編
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しおりを挟むーーその日の放課後。
アリアは、昼休みと同じ空き教室でダダンと魔法契約を交わした。
内容は、以下の通りだ。
***
1、ダダンは、アリアの指示に従う事。
2、アリアはダダンに命令出来るが、犯罪行為や肉体関係に該当する命令は禁止する。
3、アリアがダダンに命令できるのは、アリアが学園を去る期間まで。
4、契約期間内は、どの様な精神魔法も受け付けずに、アリアに誠心誠意使える事。
5、期間が過ぎたら、アリアはダダンに関する秘密の一切を誰にも口外しない。
***
「それじゃあ、よろしくお願いしますね」
「分かってるよ。女の子を誑かして情報を聞き出すなんて、俺には簡単さ。直ぐにアリア先生の望み通りの結果を出してやるよ」
自信に満ち溢れたダダンの言葉。
実際、普通の女性なら簡単だっただろう。
そう、普通の女性なら…ね。
「期待してます」
「じゃあな」
ヒラヒラと手を振って教室を出て行くダダン。
ーーそんな御気楽そうな彼を見たのは、それが最後だった。
翌日。
「ダ、ダダン先生…?」
ダダンに朝早くから空き教室に呼ばれたアリアがそこで見たモノは、昨日より明らかに窶れた顔をしたダダンであった。
「………無理、マジで無理。何なのあのガキ?意味分からんし、言葉通じないんだけど?同じ言葉喋ってるよな?共通語だよな?同じだよな?えっ、そうだよな?………そもそも、俺とアレは同じ人間と言う種族なのか?」
(ど、どうしよう…。何があったか分からないけど、まさかこんなに精神が病んだ人みたいになるなんて思わなかった…!)
「あ、あの~、ダダン先生?一体、昨日何があったんですか?」
「聞いてくれて!あのガキ、頭がおかしいんだ!」
アリアの言葉に、バッ!と勢い良く顔を上げたダダン。その目には、涙が滲んでいた。
「あれはもはや、同じ人間じゃないっ!何処か別の世界から来た未知の生物だ!いや、ストーカーだ!意味の分からない事をペラペラ喋ったと思ったら、俺の生活スタイルや癖なんかも当たり前の様に知ってるんだ!」
「ちょっ…!落ち着いて下さい!」
恐慌状態に陥り、顔を近付けて叫ぶダダンにこそアリアは恐怖を覚える。そうして、何とか時間をかけて漸く落ち着いたダダンから、やっと詳しい話を聞く事が出来たのだった。
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