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魔法学園編
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依頼達成の為に今後どうすればいいか悩んでいる間にも、時間は無情に過ぎて行く。現在、アリアは特別教師として学園にいるのだ。依頼内容の事ばかり悩んではいられない。
(悩んでも仕方ないか。今は、目の前の授業に集中しなきゃ…)
他の事を気にして、授業が疎かになるなんて事は絶対に許されない事だ。幸い、アリアの授業は一日に1~2回だけだ。勿論、雑用などもあるが時間は十分にあると言える。
「………って、ヤバッ!そろそろ授業の準備しないと、一限目に間に合わない!」
今日は、一限目からアリアの授業なのだ。
教材を手に取り、アリアは部屋を出る。
(今日は、前回の魔力制御の復習をしてから属性の相性を教えて……)
無駄に長い廊下を早足に進みながら、今日の授業内容を往復するアリア。そのまま角を曲がった時だった。
ーードンッ!
「きゃっ!」
「痛っ!」
角からいきなり飛び出して来た人物と、アリアは思いっきりぶつかってしまった。慌てて相手を見ると、それは例のピンク少女だった。少女は、足首を押さえながら廊下に倒れていた。
「いった~い!足挫いちゃった~」
(いやいやっ!今、態と自分から飛び出して来たよね?)
足が痛いと言っているが、一目見て嘘だと分かる下手くそな演技だ。
「これじゃあ、授業に間に合わな………はっ?」
そこで漸く顔を上げてアリアを見たピンク少女。
アリア見た瞬間、少女は媚びた顔を一瞬にして険しい表情に変えた。
「アンタ誰?ダダンは?」
「えっ…」
(口悪っ!それに、ダダン先生を呼び捨て?)
顔は可愛らしいのに、中身が最悪だ。
内心ドン引きしていると、少女はスクッと立ち上がる。
「どうなってるの?何でダダンじゃなくて、こんな女にぶつかるのよ。ゲームでは、このシーンはダダンとの出会いイベントのはずでしょ?何?バグ?」
ブツブツと一人喋る少女を見ながら、アリアは咄嗟に自身に認識阻害の魔法をかけた。
「大体、アンタね!………って、あれ?あの女どこ行ったの?」
認識阻害のお陰で、少女は目の前のアリアに気付かない。
「信じらんない!人にぶつかっておいて、謝りもしないで逃げるなんて!」
(いや、貴女が態とぶつかって来たんでしょうが…)
未だキーキーと喚く少女を置いて、アリアは授業の為にサッサと教室に向かう。
(あの子、ダダン先生を待ってた風な事を言ってたよね?)
もしかして、ダダン先生もターゲットなのだろうか?ダダンは、目元を隠す茶色い髪にどこか野暮ったい雰囲気の先生だ。正直、あの少女の好みには当て嵌まらないと思うのだが…。
「ダダン先生の事、少し調べてみるか」
もしかしたら、カイルを使わずに早期解決が出来るかもしれないとアリアは思うのだった。
(悩んでも仕方ないか。今は、目の前の授業に集中しなきゃ…)
他の事を気にして、授業が疎かになるなんて事は絶対に許されない事だ。幸い、アリアの授業は一日に1~2回だけだ。勿論、雑用などもあるが時間は十分にあると言える。
「………って、ヤバッ!そろそろ授業の準備しないと、一限目に間に合わない!」
今日は、一限目からアリアの授業なのだ。
教材を手に取り、アリアは部屋を出る。
(今日は、前回の魔力制御の復習をしてから属性の相性を教えて……)
無駄に長い廊下を早足に進みながら、今日の授業内容を往復するアリア。そのまま角を曲がった時だった。
ーードンッ!
「きゃっ!」
「痛っ!」
角からいきなり飛び出して来た人物と、アリアは思いっきりぶつかってしまった。慌てて相手を見ると、それは例のピンク少女だった。少女は、足首を押さえながら廊下に倒れていた。
「いった~い!足挫いちゃった~」
(いやいやっ!今、態と自分から飛び出して来たよね?)
足が痛いと言っているが、一目見て嘘だと分かる下手くそな演技だ。
「これじゃあ、授業に間に合わな………はっ?」
そこで漸く顔を上げてアリアを見たピンク少女。
アリア見た瞬間、少女は媚びた顔を一瞬にして険しい表情に変えた。
「アンタ誰?ダダンは?」
「えっ…」
(口悪っ!それに、ダダン先生を呼び捨て?)
顔は可愛らしいのに、中身が最悪だ。
内心ドン引きしていると、少女はスクッと立ち上がる。
「どうなってるの?何でダダンじゃなくて、こんな女にぶつかるのよ。ゲームでは、このシーンはダダンとの出会いイベントのはずでしょ?何?バグ?」
ブツブツと一人喋る少女を見ながら、アリアは咄嗟に自身に認識阻害の魔法をかけた。
「大体、アンタね!………って、あれ?あの女どこ行ったの?」
認識阻害のお陰で、少女は目の前のアリアに気付かない。
「信じらんない!人にぶつかっておいて、謝りもしないで逃げるなんて!」
(いや、貴女が態とぶつかって来たんでしょうが…)
未だキーキーと喚く少女を置いて、アリアは授業の為にサッサと教室に向かう。
(あの子、ダダン先生を待ってた風な事を言ってたよね?)
もしかして、ダダン先生もターゲットなのだろうか?ダダンは、目元を隠す茶色い髪にどこか野暮ったい雰囲気の先生だ。正直、あの少女の好みには当て嵌まらないと思うのだが…。
「ダダン先生の事、少し調べてみるか」
もしかしたら、カイルを使わずに早期解決が出来るかもしれないとアリアは思うのだった。
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