上 下
33 / 46
魔法学園編

10

しおりを挟む
(あっぶなかったーーっ!!)

本当にヤバかった。
声を出すのがもう少し遅かったら、まず間違い無くカイルはあの少女を消してヤっていた。

(本気で聖剣出そうとしてたしっ!いや、確かにあの状況なら私も同じ事をしようとした可能性が…)

「師匠、本当にありがとうございます」
「いや、こっちこそごめん。食い付くとは思ってたけど……まさか、あんな風に食い付いて迫って来るとは思わなかったよ」

確かにあまり人目につきにくい場所ではあったが、服を乱して迫るとは思わなかった。


ーーあれは、誰が何と言おうと痴女である。


「まさか、学園内に痴女がいるとは思わなかった…」
「俺もです。……いや、誰もがいるとは思ってない筈です」

何処かげっそりとしたカイル。
しかし、カイルのお陰で良いモノが撮れた。

「でも、カイルのお陰で証拠の一つとして良いモノが撮れたよ」

そう言って、撮影用魔道具を見せる。
この中には、痴女の姿で無理矢理カイルに迫る少女の姿が撮影されている。これは、グフィムに証拠として提出する予定だ。

「ですが、もっと証拠が入りますよね?」
「まぁね。でも、この調子だと直ぐに色々手に入ると思うけどね~」

最終的には、魅了の魔法を放つを手に入るのが目的だ。

その為にはーー。

「カイル、もう少し頑張ってね」
「………………………頑張ります」

心底嫌そうだが、渋々…そう渋々頷くカイル。
気持ちは分かるが、この為に物凄く顔の良いカイルを連れて来たのだ。それに、勇者は様々な状態異常に耐性を持つ。

顔も良く魅了に耐性を持つ、今回の件にまさにうってつけの人材なのである。

「あっ、そうだ。渡して置いたアレ、見せて」
「はい」

カイルは、胸元から白い石の付いたネックレスを取り出す。

「うん。少し黒くなってるね」

カイルに渡した時は白かった石が、少し黒く濁っていた。

「これで確定だね」
「ですね」

この石は、アリアが作った魅了魔法に反応する魔道具である。魅了魔法に反応して、石が黒くなるのだ。

「最初の接触でこの濁り方だと、直ぐに真っ黒くなるね」
「それだけ、魅了の力が強いということですね」

魅了魔法は、本人が使うにしても魔道具を使うにしても、使用者が望まない限り発動しない。あの少女が魅了の魔道具と知らずに使っていたとしても、これほど強い魅了の力を使っているのだ。本人がそれほど強く相手が自分に夢中なる様に望んだと言うことだ。

「まぁ、例え知らなかったとしても完全にあの子は制裁を受けるだろうけどね」

可哀想だとは思わない。
現に、カイルに迫った方法はあの少女の意思なのだから。元々、見目の良い異性が大好きなのだろう。そんな相手に同情するほど、アリアは優しく無いのだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

変態王子&モブ令嬢 番外編

咲桜りおな
恋愛
「完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい」と 「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」の 番外編集です。  本編で描ききれなかったお話を不定期に更新しています。 「小説家になろう」でも公開しています。

【R18】殿下!そこは舐めてイイところじゃありません! 〜悪役令嬢に転生したけど元潔癖症の王子に溺愛されてます〜

茅野ガク
恋愛
予想外に起きたイベントでなんとか王太子を救おうとしたら、彼に執着されることになった悪役令嬢の話。 ☆他サイトにも投稿しています

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない

陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」 デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。 そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。 いつの間にかパトロンが大量発生していた。 ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

R18、アブナイ異世界ライフ

くるくる
恋愛
 気が付けば異世界。しかもそこはハードな18禁乙女ゲームソックリなのだ。獣人と魔人ばかりの異世界にハーフとして転生した主人公。覚悟を決め、ここで幸せになってやる!と意気込む。そんな彼女の異世界ライフ。  主人公ご都合主義。主人公は誰にでも優しいイイ子ちゃんではありません。前向きだが少々気が強く、ドライな所もある女です。  もう1つの作品にちょいと行き詰まり、気の向くまま書いているのでおかしな箇所があるかと思いますがご容赦ください。  ※複数プレイ、過激な性描写あり、注意されたし。

【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。

三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。 それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。 頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。 短編恋愛になってます。

処理中です...