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王都編
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「でっか~」
目の前の王宮を見上げたアリアの口からは、なんとも間抜けな声が出る。
「師匠、行きますよ。ちゃんと前を見て歩いてください」
「うん…」
未だボーッと城を見上げているしてる私の手を引いて、カイル城内に入る。入り口を見張る兵士は、カイルを見ると敬礼をしてそのまま通す。どうやら、アリアの事は事前に通達されている様だ。
「お帰りなさいませ、カイル様。そちらの方がアリア様でいらっしゃいますね?私は王宮筆頭執事のエルガと申します」
挨拶をしたのは、白髪を後ろに綺麗に流し片眼鏡をかけた背筋が綺麗に伸びた品のあるお爺さん。
(これぞ執事!!って感じの人だなぁ)
「ただいま、エルガ。こちらがアリア師匠だ」
「初めまして、アリアです。よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします。それでは、お部屋に案内させて頂きます」
エルガさんの案内で通された部屋は日当たりの良い綺麗な庭に面した部屋だった。
「こんな良い部屋を使って良いんですか?」
「はい。アリア様は、王太子殿下のお客様ですので。それに隣はカイル様のお部屋となっております」
「カイルの部屋も広いの?」
「大体この部屋と同じ位ですね」
元々こんなに広い部屋に住んでたら、私の家はかなり狭く感じただろう。
(もしかしたら、犬小屋みたいだって思われてたりして…)
「後ほど王太子殿下がこちらにいらっしゃいますので、それまでゆっくりとお寛ぎください。何かありましたら其方の鈴を鳴らしてお呼びください」
そう言って紅茶やお菓子などを用意してくれたメイドさん達と一緒に部屋を出て行った。
「旨っ!」
さっそく手に取ったクッキーは、サクサクしてとても美味しかった。
(流石、王宮のお菓子!)
「師匠、そんなに食べると夜ご飯が食べれなくなりますよ」
「モグモグ…わかってるよ」
わかっているが、それでも手が止まらない。
「もうこれは没収です」
「ああっ!?」
お菓子の皿を取り上げられ思わず声を上げる。
アリアの手が届かない位置まで持ち上げるカイルに、アリアは悲しい顔をして下を向く。そんな私を見て慌てるカイル。
「わかりました、帰りに包んで貰いますから。…そんな泣きそうな顔をしないで下さい」
困った様に眉を下げて、アリアを宥めるカイル。遂には、お菓子の皿を元の場所に戻す。
「師匠、あと少しなら食べてもいいですから。それ以上はダメですからね?」
(よしっ!)
美味しい物の為なら、年齢など気にせず何でもするアリアであった。
目の前の王宮を見上げたアリアの口からは、なんとも間抜けな声が出る。
「師匠、行きますよ。ちゃんと前を見て歩いてください」
「うん…」
未だボーッと城を見上げているしてる私の手を引いて、カイル城内に入る。入り口を見張る兵士は、カイルを見ると敬礼をしてそのまま通す。どうやら、アリアの事は事前に通達されている様だ。
「お帰りなさいませ、カイル様。そちらの方がアリア様でいらっしゃいますね?私は王宮筆頭執事のエルガと申します」
挨拶をしたのは、白髪を後ろに綺麗に流し片眼鏡をかけた背筋が綺麗に伸びた品のあるお爺さん。
(これぞ執事!!って感じの人だなぁ)
「ただいま、エルガ。こちらがアリア師匠だ」
「初めまして、アリアです。よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします。それでは、お部屋に案内させて頂きます」
エルガさんの案内で通された部屋は日当たりの良い綺麗な庭に面した部屋だった。
「こんな良い部屋を使って良いんですか?」
「はい。アリア様は、王太子殿下のお客様ですので。それに隣はカイル様のお部屋となっております」
「カイルの部屋も広いの?」
「大体この部屋と同じ位ですね」
元々こんなに広い部屋に住んでたら、私の家はかなり狭く感じただろう。
(もしかしたら、犬小屋みたいだって思われてたりして…)
「後ほど王太子殿下がこちらにいらっしゃいますので、それまでゆっくりとお寛ぎください。何かありましたら其方の鈴を鳴らしてお呼びください」
そう言って紅茶やお菓子などを用意してくれたメイドさん達と一緒に部屋を出て行った。
「旨っ!」
さっそく手に取ったクッキーは、サクサクしてとても美味しかった。
(流石、王宮のお菓子!)
「師匠、そんなに食べると夜ご飯が食べれなくなりますよ」
「モグモグ…わかってるよ」
わかっているが、それでも手が止まらない。
「もうこれは没収です」
「ああっ!?」
お菓子の皿を取り上げられ思わず声を上げる。
アリアの手が届かない位置まで持ち上げるカイルに、アリアは悲しい顔をして下を向く。そんな私を見て慌てるカイル。
「わかりました、帰りに包んで貰いますから。…そんな泣きそうな顔をしないで下さい」
困った様に眉を下げて、アリアを宥めるカイル。遂には、お菓子の皿を元の場所に戻す。
「師匠、あと少しなら食べてもいいですから。それ以上はダメですからね?」
(よしっ!)
美味しい物の為なら、年齢など気にせず何でもするアリアであった。
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