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王都編
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「別に、何でもないです」
目の前の赤髪イケメンに少しキツめの声でそう言い放ち、さっさとその場を離れるアリア。だが、イケメンはアリアにピッタリとついて来た。
(何でついてくるのよ!)
「まぁ、待ってよ。ここで会ったのも何かの縁。どう?俺とお茶しない?」
「しません」
イケメンを振り切るべく、アリアは足の動きを早める。。しかし、イケメンはその無駄に長い足を使い余裕な態度でついて来る。その事にも、イケメンに対して殺意が湧き上がる。
「そんな連れない事言わないで。息切れしてるし、子猫ちゃんは疲れてるだろ?そこのカフェに、休憩がてらに入らない?」
(息切れはアンタの所為だよ!)
ーー嗚呼、憎い。
その無駄に長い足がとてつもなく憎い。
「こんなそこら辺に沢山居るような私じゃなくて、あそこに居る美人なお姉さんに声掛けたらいいじゃないですか?」
本当に、何でこんな普通のアリアに声を掛けてくるのだろう?
(………ハッ!まさか!)
「……これが噂に聞く結婚詐欺?」
そう考えれば納得出来る。
むしろ、納得しか無い。
美人より、平凡な男慣れして無さそうな女に声を掛ける方が成功率は高いだろう。相手がイケメンなら尚更だ。男に慣れてない平凡な女に、こんなイケメンが恋人みたいに接して近付いて来たらイチコロだろう。そうして、その気にさせて全財産をむしり取るつもりなのだ。
「結婚詐欺。王都怖い…」
なんて事だ。
少し来ないうちに、王都はすっかり結婚詐欺師の巣窟になってしまっていたなんて。
どうやら、アリアの心の声が漏れていたらしい。イケメンは、少し慌てて否定する。
「違うからね?俺は結婚詐欺師とかじゃないからね?本当だからね?」
(嘘つけ!詐欺師じゃなきゃ、私に声なんてかける筈無いでしょ!)
そんな思いを込めて、イケメンを睨む。
「本当だよ。俺は君に用があるんだよ…アリア・ダングスマンちゃん」
ーーピタッ。
私は足を止め、ゆっくり隣のイケメンを見る。
イケメンは、先程よりも深くした笑みで此方を見ていた。
「……………それで?お茶は当然、貴方の奢りよね?」
「勿論」
にっこりと笑う目の前の男は、アリアの手を取ると目の前のカフェに向かって歩き始めたのだった。
目の前の赤髪イケメンに少しキツめの声でそう言い放ち、さっさとその場を離れるアリア。だが、イケメンはアリアにピッタリとついて来た。
(何でついてくるのよ!)
「まぁ、待ってよ。ここで会ったのも何かの縁。どう?俺とお茶しない?」
「しません」
イケメンを振り切るべく、アリアは足の動きを早める。。しかし、イケメンはその無駄に長い足を使い余裕な態度でついて来る。その事にも、イケメンに対して殺意が湧き上がる。
「そんな連れない事言わないで。息切れしてるし、子猫ちゃんは疲れてるだろ?そこのカフェに、休憩がてらに入らない?」
(息切れはアンタの所為だよ!)
ーー嗚呼、憎い。
その無駄に長い足がとてつもなく憎い。
「こんなそこら辺に沢山居るような私じゃなくて、あそこに居る美人なお姉さんに声掛けたらいいじゃないですか?」
本当に、何でこんな普通のアリアに声を掛けてくるのだろう?
(………ハッ!まさか!)
「……これが噂に聞く結婚詐欺?」
そう考えれば納得出来る。
むしろ、納得しか無い。
美人より、平凡な男慣れして無さそうな女に声を掛ける方が成功率は高いだろう。相手がイケメンなら尚更だ。男に慣れてない平凡な女に、こんなイケメンが恋人みたいに接して近付いて来たらイチコロだろう。そうして、その気にさせて全財産をむしり取るつもりなのだ。
「結婚詐欺。王都怖い…」
なんて事だ。
少し来ないうちに、王都はすっかり結婚詐欺師の巣窟になってしまっていたなんて。
どうやら、アリアの心の声が漏れていたらしい。イケメンは、少し慌てて否定する。
「違うからね?俺は結婚詐欺師とかじゃないからね?本当だからね?」
(嘘つけ!詐欺師じゃなきゃ、私に声なんてかける筈無いでしょ!)
そんな思いを込めて、イケメンを睨む。
「本当だよ。俺は君に用があるんだよ…アリア・ダングスマンちゃん」
ーーピタッ。
私は足を止め、ゆっくり隣のイケメンを見る。
イケメンは、先程よりも深くした笑みで此方を見ていた。
「……………それで?お茶は当然、貴方の奢りよね?」
「勿論」
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王家までも巻き込んだその作戦とは……。
他サイトでも掲載中です。
コメントありがとうございます。
タグのコメディに反対意見が多かったので修正しました。
必ず完結させますので、よろしくお願いします。
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