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No.50 S令嬢

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「セラスティーネ、本当に行くのかい?このままバカ王子との話し合いになんて行かなくていいよ」

「お父様、殿下の事をそんな風に言うなんて不敬ですよ?それに、お父様も何で婚約破棄するかは知っていたじゃ無いですか。それなのにバカなんて…」

「だって本当の事だろう?理由はどうあれ、私の可愛い大切なセラスティーネと婚約破棄したんだ!それなのに、図々しくもまた婚約するだなんて!我が公爵家を馬鹿にしてるとしか思えない」

「………本音は?」

「あんなガキに大切な私の天使を渡したく無いっ!まだお嫁に行かないでくれ!!」

「はぁ…お父様ったら。私、もう18よ?もしも、お父様の言う通りにしたら行き遅れになってしまうじゃ無い」

「大丈夫っ!私がいつまでも面倒を見るよ!」

「そういう問題じゃないのよ…」

「お嬢様、馬車の準備が出来ました」

「ありがとう、アリサ。では、行ってきますね?」

「ちゃんとあのバカ王子に『お前みたいな若造に嫁ぐ気は無い』って言ってくるんだよ!」

「若造って…」

「『私のタイプは銀の髪に紫の瞳の40代前半の最初にマが付く公爵の男性』って言って断るんだよ!?」

「タイプっていうより個人を指してるじゃ無いですか」

「アリサ、セラスティーネを頼んだよ」

「かしこまりました」

「お願い。かしこまらないで」


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