ちょっとハッとする話

まぁお前は頑張れよ

平日のつまらない肉体労働、仕事は車の部品を選別するだけの単調作業。
残業、夜勤、それだけでしか、増えない寂しい給料。

現実はいつも、辛い。

1人暮らしのアパートは、家賃4万5千円。共益費、諸々込みのお値段で、ボロアパートだ。
俺は、いや待て。この俺様は。
そんな我が城へと、帰宅した。
ここは俺のスイートホーム。
玄関開けたら、2分でご飯だ。
コンビニ弁当を温めて、その隙に汚れた作業着を脱ぎ捨てる。
習慣的に見もしないTVをつけて、無音を紛らわす。
靴下だけは、臭いから洗濯機へ。

「わーーーーーーっ！！」

と飛び跳ねて、驚いた。
洗濯機の横に、人が立っている。

(だれだ？？)

と思ってよくよくみると、
友人の〈それなり君〉
〈それなり君〉は言う。

「この前TVでみたんだけど、
　一人暮らしの家の中に友人がいると、
　ビックリする説。面白そうだったから、
　実践してみた」

「おい～～～～ぃぃぃ
　　焦るから～～～ぁぁ……
　勘弁してくれよぉぉ…」

「ハハハハハハッそっかぁそっかぁ～…｡｡
       まぁお前は頑張れよぉ！！
       じゃあまたな！！」

と笑い
〈それなり君〉は俺の目の前でパッと消えた。


今度は
「わーーーーーっ！！」と驚く事は無く……。
すぐさま彼の事が心配になり電話をかけるも……。

彼が電話に出ることは２度と無かった。


『まぁお前は頑張れよぉ！！』