ちょっとハッとする話

どんな試練も突き進め

入り口からネバネバとした透明な汁の中を、
私は進んだ。

最初はそれなりに、広さはあった。しかしすぐに、人1人通れる程の狭さになる。
不意に足を滑らせ、
ボチャンと、池の中に落ちた。
その池の中には色々なモノが溶けている。
でも私は大丈夫だ。装備はしっかりとしている。多少外装が黒く腐食したが、問題無い！！
私はその先へと進む。

次に現れたのは、なんでも吸収しようとする長い一本洞窟だ。くっ付いては離れ！くっ付いては離れ！私を吸収しようとする。
でも大丈夫だ私の外装はそんな簡単には突き破れない。

私はその先へと進む。

細い一本洞窟を抜けると、少し広い場所に出た。そこはプレスの間だ。
伸縮自在に私をギュギュと押し潰す。
でも大丈夫だ！！
私の外装はそんな簡単には潰れはしない。

最後の難関は塞がれた出口だ。
その出口はいつも閉まっていて、1日に1回開くかどうかだ。私はそこで3日は待った。

そして遂に、その時が来る。
目の前がパッと明るくなった。


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「あーー！！良かった！！出たね！！
　　出た！！出た！！」

「え？？ほんと？？」

喜ぶ母親。ホッと胸を撫で下ろす僕。


「もう絶対に！！100円玉なんて、飲み込んじゃダメだからね！！」

「はーーい」


　　　※実話です(笑)

8歳児に誤飲された私(100円玉)は、数々の試練を乗り越えて、無事生還！！
排泄物に紛れた私の身体は、黒く変色し、その試練の過酷さを物語っている。
今は、古いアルバムの中で、

昔あんな事あったね

なんて思い出される日を静かに待っている。