21 / 89
身鏡様
しおりを挟む
呪いの手鏡は存在します。実際に私はそれを手にした事もあるのだから間違いありません。
いつ?何処で?どんな風に?どんな形をしてたの?呪われて大丈夫なの?
色々な人に色々と聞かれますが、順を追って説明してくことにしますね。
あれはまだ私が小学校の低学年くらいの頃でしょうか。って事はもう30年以上も前の事ですよ。あの頃は何もかも煌めいていて毎日が楽しくて、大人になったらもっと楽しいと思っていましたが、蓋を開けてみたら大人は大変ですね。
おっと話が逸れましたね。戻りましょう。
そう…私が小学生のクソガキだった頃です。実家の隣の離れに祖母が1人で住んでいました。
祖母はとても厳しく意地悪な人で、昔話に出て来る隣の意地悪ばぁさんを想像してくれればそのままです。
私はそんな祖母の事が恐くて嫌いで仕方ありませんでした。それもそうです。家で遊んでいても庭で遊んでいても祖母は私を監視し、そしていつもこう言うのです。
「そんなことをしたら身鏡様に怒られるぞ」
と
耳にタコが出来る程聞かされた身鏡様とは何なのか?私はその時は知りません。知らないけれども祖母は言うのです。
「身鏡様はいつもお前の事を見ている。今の行いが必ずお前に返って来るから、毎日毎日精進しなさい」
と
いつしか私も身鏡様とはとても恐い神様だと思い込んで、同級生達に何かに付けて身鏡様と口にしていたら、あだ名が「神様」になった程です。
そんな私が悠々凡々と毎日を繰り返し、12歳の誕生日を迎えた日の朝5時。私は父と母に起こされました。
父も母も何故か真っ白な服に身を包み、私も同じ服を着た訳です。後にそれが白装束と言う衣装である事を知るのですが、その時は知りません。
まだ早朝で暗い中を父と母は「眠いだ、嫌だの、面倒くさい」などと言う私を連れて離れの祖母の家に向かいます。
祖母も同じく白装束を身に纏い私達を待っていました。いつもは閉まっている仏壇の扉が開いていて、その中には手鏡が一つ祀ってあります。パッと見普通の手鏡です。本当に普通の……
あれは儀式なのでしょうか……何やら祖母がブツブツと呪文みたいな文句を唱え出します。聞き取れたのは私の名前と身鏡様という言葉。父も母もいつもとは違う必死の形相でした。一通り儀式が終わったのか祖母が私に仏壇の手鏡をそっと渡してきて、一言
「身鏡様を覗き給え」
私は言われた通りに手鏡を覗き込みます。
そこには鏡を覗く私の顔が。
何だ……ただの鏡じゃないかと思った矢先です。
「ピッ」と頭の何処かで音がなり。
次の瞬間
視界に現れたのは
『2953』
という不可思議な数字。父と母は私に真剣な顔で尋ねてきます。
「いくつだ?」と
私がその数字を伝えると、母は泣き崩れ、父は下を向いたまま動かなくなりました。
祖母はというと今までに無い程の優しい顔で私を抱きしめてくれました。
意味がわかりません。
兄は20歳の若さでこの世を去りました。
実はこれ全て兄の話です。私と言った方が話しやすかったので……
まぁ半分以上は私の実体験ですがね。
もうお気付きかと思いますが。視界に現れた数字はその人に残された日にちなんです。
呪いの手鏡の正体は寿命を教えてくれる便利な物だったと言う訳ですが……
あなたは自分の死ぬ日を知りたいですか?
え?私の数字?私の数字ですか……
私の数字はあと………………
いつ?何処で?どんな風に?どんな形をしてたの?呪われて大丈夫なの?
色々な人に色々と聞かれますが、順を追って説明してくことにしますね。
あれはまだ私が小学校の低学年くらいの頃でしょうか。って事はもう30年以上も前の事ですよ。あの頃は何もかも煌めいていて毎日が楽しくて、大人になったらもっと楽しいと思っていましたが、蓋を開けてみたら大人は大変ですね。
おっと話が逸れましたね。戻りましょう。
そう…私が小学生のクソガキだった頃です。実家の隣の離れに祖母が1人で住んでいました。
祖母はとても厳しく意地悪な人で、昔話に出て来る隣の意地悪ばぁさんを想像してくれればそのままです。
私はそんな祖母の事が恐くて嫌いで仕方ありませんでした。それもそうです。家で遊んでいても庭で遊んでいても祖母は私を監視し、そしていつもこう言うのです。
「そんなことをしたら身鏡様に怒られるぞ」
と
耳にタコが出来る程聞かされた身鏡様とは何なのか?私はその時は知りません。知らないけれども祖母は言うのです。
「身鏡様はいつもお前の事を見ている。今の行いが必ずお前に返って来るから、毎日毎日精進しなさい」
と
いつしか私も身鏡様とはとても恐い神様だと思い込んで、同級生達に何かに付けて身鏡様と口にしていたら、あだ名が「神様」になった程です。
そんな私が悠々凡々と毎日を繰り返し、12歳の誕生日を迎えた日の朝5時。私は父と母に起こされました。
父も母も何故か真っ白な服に身を包み、私も同じ服を着た訳です。後にそれが白装束と言う衣装である事を知るのですが、その時は知りません。
まだ早朝で暗い中を父と母は「眠いだ、嫌だの、面倒くさい」などと言う私を連れて離れの祖母の家に向かいます。
祖母も同じく白装束を身に纏い私達を待っていました。いつもは閉まっている仏壇の扉が開いていて、その中には手鏡が一つ祀ってあります。パッと見普通の手鏡です。本当に普通の……
あれは儀式なのでしょうか……何やら祖母がブツブツと呪文みたいな文句を唱え出します。聞き取れたのは私の名前と身鏡様という言葉。父も母もいつもとは違う必死の形相でした。一通り儀式が終わったのか祖母が私に仏壇の手鏡をそっと渡してきて、一言
「身鏡様を覗き給え」
私は言われた通りに手鏡を覗き込みます。
そこには鏡を覗く私の顔が。
何だ……ただの鏡じゃないかと思った矢先です。
「ピッ」と頭の何処かで音がなり。
次の瞬間
視界に現れたのは
『2953』
という不可思議な数字。父と母は私に真剣な顔で尋ねてきます。
「いくつだ?」と
私がその数字を伝えると、母は泣き崩れ、父は下を向いたまま動かなくなりました。
祖母はというと今までに無い程の優しい顔で私を抱きしめてくれました。
意味がわかりません。
兄は20歳の若さでこの世を去りました。
実はこれ全て兄の話です。私と言った方が話しやすかったので……
まぁ半分以上は私の実体験ですがね。
もうお気付きかと思いますが。視界に現れた数字はその人に残された日にちなんです。
呪いの手鏡の正体は寿命を教えてくれる便利な物だったと言う訳ですが……
あなたは自分の死ぬ日を知りたいですか?
え?私の数字?私の数字ですか……
私の数字はあと………………
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
いつもと違う日常
k33
ホラー
ある日 高校生のハイトはごく普通の日常をおくっていたが...学校に行く途中 空を眺めていた そしたら バルーンが空に飛んでいた...そして 学校につくと...窓にもバルーンが.....そして 恐怖のゲームが始まろうとしている...果たして ハイトは..この数々の恐怖のゲームを クリアできるのか!? そして 無事 ゲームクリアできるのか...そして 現実世界に戻れるのか..恐怖のデスゲーム..開幕!
本当にあった怖い話
邪神 白猫
ホラー
リスナーさんや読者の方から聞いた体験談【本当にあった怖い話】を基にして書いたオムニバスになります。
完結としますが、体験談が追加され次第更新します。
LINEオプチャにて、体験談募集中✨
あなたの体験談、投稿してみませんか?
投稿された体験談は、YouTubeにて朗読させて頂く場合があります。
【邪神白猫】で検索してみてね🐱
↓YouTubeにて、朗読中(コピペで飛んでください)
https://youtube.com/@yuachanRio
※登場する施設名や人物名などは全て架空です。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。

意味がわかると怖い話
邪神 白猫
ホラー
【意味がわかると怖い話】解説付き
基本的には読めば誰でも分かるお話になっていますが、たまに激ムズが混ざっています。
※完結としますが、追加次第随時更新※
YouTubeにて、朗読始めました(*'ω'*)
お休み前や何かの作業のお供に、耳から読書はいかがですか?📕
https://youtube.com/@yuachanRio
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる