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一期一会
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緑の窓口での事、私は指定席の料金をケチって自由席の切符を購入した。
その日は何やら都内で大きなイベントがあったらしく、東海道新幹線のホームから車内の混雑が見て取れた。
(やっちまったなぁ……こんな事なら東京から乗るべきだったな……)
案の定品川駅に着いたひ○り670号の自由席の席は全く空いておらず、私は仕方なく通路に立つことになった訳で、座れそうな席を見つけたのは静岡駅に着く手前の事だった。
私は3人掛けの席の1番通路側に座る。隣の席には30代くらいの女性と未就学だろうと思われる男の子が座っていた。どうやら親子だろう。
なんといっても前日から出張で働き詰めで身も心も疲れ切っていた。思い返せば、今回の出張はツイてない事ばかりだ。
先方の都合だがなんだが知らないが、工期が極端に短くなった事、その為に無理な弾丸スケジュールを組まされ、名前だけは夜勤対応という、昼夜ぶっ通し作業スタイル。カン○ムスタイルもビックリだ。
そして最後に待っていたのが、帰りの新幹線は混雑で座る席もないときた。やってられるかチクショーが……
(やっと座れた……)
私は後ろに座っている人に一言声を掛け、少しだけ座席を傾けて眠る事にした。
「ねーねーチカちゃん次は何処行くの?」
「んーそうだねぇ次は名古屋って所に行こうかねぇ」
「なごや??」
「そう名古屋」
「そこってどんなとこ?」
「大きな街だよぉ」
2人の会話を記憶してたのはこのくらいで、疲れていたせいか気が付いたら新幹線のアナウンスが最寄り駅の名前を知らしている。
私は飛び起き、急いで荷物を纏め、隣の親子に軽く会釈をし、颯爽と新幹線を降りた。
(危なかった……もう少しで寝過ごす所だったわ……)
(ちょっと小腹が空いたか……)
時刻を見ると午後10時を回っている。
(駅近のラーメン屋にでも寄って行くか……)
ラーメンを啜る!!濃厚なスープが疲れた身体に染み渡る!!極上!!旨い!!
さて、会計と思い財布を出すと……
無い…………お札が全部消えている……
新幹線の切符を買う時には三万はあった筈なのに……新幹線の切符が一万としても二万は残ってないといけない筈だ……
ふと頭をよぎったのはあの親子……やられた……やはりツイてないなと思い焦る私を横目に、
ラーメン屋のテレビからは夜のニュースが流れていた。
先月起きた未解決の未就学児失踪事件の……
その日は何やら都内で大きなイベントがあったらしく、東海道新幹線のホームから車内の混雑が見て取れた。
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私は3人掛けの席の1番通路側に座る。隣の席には30代くらいの女性と未就学だろうと思われる男の子が座っていた。どうやら親子だろう。
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(やっと座れた……)
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「ねーねーチカちゃん次は何処行くの?」
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「なごや??」
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「そこってどんなとこ?」
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