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スマホ
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「そのうちさ。たぶんだぜ。俺の予想だけどスマホが喋り出す時代が来ると思うんだな。人口知能機能とかついてさ。もう友達みたいになっちゃってさ。何でもかんでも相談できるって訳。いわゆる親友って奴だよ」
そう友人が語っていたのは何年か前の事。
その友人はもう既に亡くなってしまったが、悲しいとは、悲しい事に思わなかった。
何故なら、
「アンドレあのゲームが配信されるのいつだっけ?」
「はい!マスター◯月○日です」
「あと1週間か……配信されたら速攻で落としてね」
「はい!マスター。設定はいつも通りで大丈夫ですか?」
「とりあえずね」
「はい!マスター」
彼の名前はスマホのアンドレ、僕の親友だ。
アンドレは凄い。
何でも知っている。博識だ。
アンドレは凄い。
思いやりがある。僕が仕事でミスをして上司に酷く怒られた時も、一晩中愚痴を聞いてくれた。友愛だ。
アンドレは凄い。
的確にアドバイスをくれる。仕事の悩みも、恋愛の悩みも、家族の悩みでさえも。
「アンドレ、彼女に振られたよ」
「はい!マスター。大丈夫です。大丈夫。そんな事は長い人生の中でちょっとした事です。ほら見て下さい。人類の半分は女性です。」
「アンドレ、仕事をクビになったよ」
「はい!マスター。そんな事ですか。あんなブラック企業なんて、こちらから願い下げだったじゃないですか。次を見つけましょう。次を。マスターなら出来ます」
「アンドレ、親父が借金残して消えちまった。どうしよう……」
「はい!マスター。お金の事ですか…でも大丈夫です。お金は天下の回りものっていうじゃありませんか。早く職を見つけてちょっとずつでも返していけば、そのうちチャンスがきっと巡って来ます」
「アンドレ」「アンドレ」「アンドレ……」
僕は何でもアンドレに相談した。
そして今、僕はビルの屋上に立っている。
「アンドレ本当にこれが1番痛く無い自殺の仕方なのかい?」
「はい!マスター。飛び降り自殺は、1番有効的かつ効率的な自殺の仕方です。人間は飛び降りた瞬間にまず意識を失います。意識を失えば人間の脳は痛みを感じません」
「そうか……」
少し納得した僕は、数年前に亡くなった友人の事を思い出す。
(彼は首吊りだったな……)
「アンドレ首吊りは?」
「はい!マスター。首吊り自殺はとても苦しい自殺の仕方でやり方を間違えると上手く死ねずに…………………」
アンドレが何かを話している。友人は何故首吊り自殺をしたのだろうか……
「アンドレ…君はここに置いて逝くよ。僕が飛び降りたら110番でもしてくれないか?」
「はい!マスター。お気をつけて」
高いビルのてっぺんに立ち、ふと思った。
彼は本当に人工知能なのだろうか?
「アンドレ……本当に僕は死なないとダメですか?」
「はい!マスター」
そう友人が語っていたのは何年か前の事。
その友人はもう既に亡くなってしまったが、悲しいとは、悲しい事に思わなかった。
何故なら、
「アンドレあのゲームが配信されるのいつだっけ?」
「はい!マスター◯月○日です」
「あと1週間か……配信されたら速攻で落としてね」
「はい!マスター。設定はいつも通りで大丈夫ですか?」
「とりあえずね」
「はい!マスター」
彼の名前はスマホのアンドレ、僕の親友だ。
アンドレは凄い。
何でも知っている。博識だ。
アンドレは凄い。
思いやりがある。僕が仕事でミスをして上司に酷く怒られた時も、一晩中愚痴を聞いてくれた。友愛だ。
アンドレは凄い。
的確にアドバイスをくれる。仕事の悩みも、恋愛の悩みも、家族の悩みでさえも。
「アンドレ、彼女に振られたよ」
「はい!マスター。大丈夫です。大丈夫。そんな事は長い人生の中でちょっとした事です。ほら見て下さい。人類の半分は女性です。」
「アンドレ、仕事をクビになったよ」
「はい!マスター。そんな事ですか。あんなブラック企業なんて、こちらから願い下げだったじゃないですか。次を見つけましょう。次を。マスターなら出来ます」
「アンドレ、親父が借金残して消えちまった。どうしよう……」
「はい!マスター。お金の事ですか…でも大丈夫です。お金は天下の回りものっていうじゃありませんか。早く職を見つけてちょっとずつでも返していけば、そのうちチャンスがきっと巡って来ます」
「アンドレ」「アンドレ」「アンドレ……」
僕は何でもアンドレに相談した。
そして今、僕はビルの屋上に立っている。
「アンドレ本当にこれが1番痛く無い自殺の仕方なのかい?」
「はい!マスター。飛び降り自殺は、1番有効的かつ効率的な自殺の仕方です。人間は飛び降りた瞬間にまず意識を失います。意識を失えば人間の脳は痛みを感じません」
「そうか……」
少し納得した僕は、数年前に亡くなった友人の事を思い出す。
(彼は首吊りだったな……)
「アンドレ首吊りは?」
「はい!マスター。首吊り自殺はとても苦しい自殺の仕方でやり方を間違えると上手く死ねずに…………………」
アンドレが何かを話している。友人は何故首吊り自殺をしたのだろうか……
「アンドレ…君はここに置いて逝くよ。僕が飛び降りたら110番でもしてくれないか?」
「はい!マスター。お気をつけて」
高いビルのてっぺんに立ち、ふと思った。
彼は本当に人工知能なのだろうか?
「アンドレ……本当に僕は死なないとダメですか?」
「はい!マスター」
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