結城 隆一郎 の事件簿 Seazon 1

一宮 沙耶

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第2章 暗闇、そしてその後に

3話 殺人

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 私は、あのメス豚の帰宅ルートと監視カメラを調べた。そうすると、ある住宅地の十字路で、監視カメラはなく、薄暗い場所を見つけたの。あの女は、そこを曲がっていく。

 私は、その十字路の角にレンタカーを置き、彼女が来るのを待っていた。そして、彼女がその角を通ったとき、前から近寄り、ナイフで下からお腹を刺して、ぐるっと一回転させた。そして、刃が上を向いた時に、ぐっと上にあげた。倒れた体に馬乗りになり、ナイフを上から振り落とし、心臓を一刺しにした。

 私の方を見たけど、体が痙攣して声を出せないみたい。そう、あんたは豚なんだからしゃべれなくていいのよ。でも、自業自得ね。どれだけ、悪いことしたかわかっている? あなたが悪いのよ。1分ぐらい経つと、動きも止まった。

 車まで引きずり、ブルーシートを敷いた後部座席に引き入れた。くだらない女なのに重いわね。迷惑かけないでよ。そして、ポリタンクで持ってきた水を道路にまき、血を流した。

 そして、血がついたシャツを着替えて山奥に車を走らせた。数日間かけて掘ってあった穴に、彼女と、さっき脱いだシャツを放り込み、ガソリンで焼いて、その上から土をかぶせたわ。そのときに、私の学生証を、近くの木の下に忍ばせておいたの。

 焼く前に、身分証明書とかスマホとかは全て取っておいたから、発見されても、この女に辿りつかないと思う。普通は、私の学生証があるんだから、私と思うでしょ。しかも、その女、両親はすでに交通事故で亡くなっているって言ってたから、探す人もいないと思うわ。

 これで、隆一さんをたぶらかす、あのメス豚を駆除できた。世の中も、その分だけ良くなったと思う。

 そして、私は、次の日、整形外科に行って、一香の顔に整形してもらった。お金は、私の貯金を現金で引き出しておいたので、そこから出して、余ったお金は、あの女の口座に入れておいた。

 お金はそこそこ出したから、医者は、整形の理由は聞かなかった。そして私もびっくりするぐらい彼女と同じ顔になったの。髪型も彼女と同じにしたら、誰がみても見分けがつかない。あの女は胸も大きかったから豊胸手術もした。

 スマホは顔認証で入れた。そして、その女が暮らしていたワンルームマンションに、死体のポケットに入っていた鍵で入った。だらしない女ね。物が床とかに散乱しているじゃないの。私は綺麗好きなの。片付けないと。

 部屋の中には、隆一との2ショットもあったけど、この顔は今は私のものなんだから、私との2ショットよね。それは残しておくわ。それ以外は、下着とか、気持ち悪いからみんな捨てちゃった。水商売の女みたい。いや、水商売もしていたかもね。

 でも、隆一の好きな料理Bookとかがあった。なんだ、あんな汚れた女でも料理、作れるんだ。隆一は、玉子焼きは甘い派なんだって、知らなかった。

 その時、荷物を預かっているって大家さんが来たけど、私が一香だって、全く疑っていなかったわ。やっぱり、一香でやっていけるわね。

 ところで、父親は、私が突然失踪したので、だいぶ騒いだらしい。何かの事件に巻き込まれたんじゃないかと警察に訴えたけど、家出じゃないかって本気にしてもらえなかったらしい。

 私は、手術前、大学に、一香の名前で休学届けを出して、1年留学することにした。手術で、しばらく籠らなくちゃならないもんね。そして、卒業後、ネットショップの会社に入り、ホームページ制作とかの仕事を始めた。

 そして、2年ぐらいが経った。そろそろ、隆一と再会するタイミングね。隆一は前と同じマンションに暮らしていたので、すぐに所在は分かった。そして、隆一の動きを調べてみたわ。

 隆一は、忙しいのか、大体は家から新宿の会社に往復する毎日で、2週間に1回ぐらい、友達と渋谷で飲んでいた。それなら、渋谷で再会することにするのがいいわね。

 数日後、隆一が渋谷のスクランブル交差点を通るときに、チラッと気づくように顔を見せて、静かに消えた。だって、少しぐらい焦らした方が本当っぽいでしょ。また、隆一が私を探すのが分かっていたから。だって、私たちって、生まれる前から一緒になるって決まっているだもん。

 また、隆一には、私のことを考える時間をいっぱい使って欲しかった。それだけ、愛されてるってことでしょう。

 隆一が私を探し始めて1ヶ月ぐらいがいいと思い、隆一が渋谷駅のホームにいるとき、横を通った。そしたら、隆一から声をかけてきた。やっぱり、運命だったのね。

 声が違うので、どう対応しようかと思ったけど、私の話しを信じてくれたみたい。そして、ドキドキしちゃったから、いっぱい話せなかったけど、昔、見てきた光景を話したら、私のこと一香って信じてくれたみたい。

 隆一は、堰を切るように話し始めた。やっぱり、あんなゲスな女よりも、私の方がいいのよ。また付き合おうって。当然でしょ。運命なんだから。

 私は、ずっと、一生懸命に話す隆一の顔を見つめていた。私の憧れの人が、横で、私を見ながらずっと話している。私に嫌われたくないって。好きだって。ずっと、大切にするって。そう、そういう言葉を待っていたの。

 ずっと汚い女に騙されていたのね。その束縛から解放されて、そんなに饒舌になっているのね。この時間がずっと続けばいいのに。

 でも、今日は終わっても、明日からもずっと一緒なんだからいいわ。もう、あんな女に邪魔されることはない。あのメス豚はもう、この世にいないんだから、私の勝ちね。

 それからの毎日は、本当に幸せの日々だった。そう、夢が実現したの。
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