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第4章 征服と反撃

5話 不幸の再来

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「一ノ瀬さん、あの子は自爆したって報告があったわ。」
「え、救えなかったのね。でも、河田は殺せたの?」
「殺せたって聞いている。施設は大きく崩壊したって。」
「じゃあ、一気呵成に攻めていくわね。」

河田がいなくなった後は、面白いように順調に進んだ。
何回も言うけど、相手は高度な技術を持っていたけど、疑う能力は低かったから。
疑うというのは訓練で鍛えられるけど、素養というものあるのね。

宇宙人は、5つのエネルギーセンターを持っていた。
更に、その1つは、彼らの母星のコアと直結していて、そこからもエネルギーを得ていた。
そこで、コンピュータウィルスに感染させ、相互にエネルギーセンターを攻撃させたの。

宇宙人のネットワークにアクセスできていたから、その状況も手に取るようにわかった。
何が起きたのか分からないまま、宇宙人は壊滅状態にまっしぐらだった。
そして、母星のコアに直結した施設の破壊で、母星も粉々になった。

私の親、木村さんを殺した恨みは忘れない。
これで仇を打つことができたわ。

これからは、捉えられた人間を我々に取り戻す。
各施設に収容された人間を装置から外し、意識を戻したわ。
また、宇宙人が持っていた彗星を見た後に失った網膜の機能回復方法も手に入れた。
その技術を使って、大勢の視力回復ができたの。

線虫の感染、戦争などで人口の半分は減ってしまった。
でも、それ以外の人達は概ね戻すことができたわ。
そして、平穏を取り戻すことができた。

私達の攻撃から地球に平和が戻った。
そして、あれから3年が経ち、エリアは限られているけど、復旧も各地で進んだ。

今日は小川の横の遊歩道を散歩してみたの。
新緑の木々は生命を謳歌し、木漏れ日は明るい将来を約束してくれているみたい。

小川には、小さな魚が泳ぎ、生命に溢れている。
これから、やかましいセミも鳴く時期が来るのだと思う。
みんなが楽しい時間を過ごすのだと思う。

自らが勝ち取った平和。
そのありがたみは心から実感できた。

これまでは、当然のように私達は平和に囲まれていた。
でも、平和は努力の末に得られる尊いものだと気付いたの。

時間が経てば、このことは忘れられてしまうかもしれない。
そういえば、ゲリラ戦の直後も平和だと安心して、人はこのことを忘れてしまった。
だから、まんまと彗星に騙され、多くの人が亡くなった。
これからは、語り継いでいかないと。

でも、それで終わらなかった。
突然、空に大きな宇宙船が現れ、いきなりまばゆい光線で世界各国の首都を破壊した。
今度の宇宙人は、いきなり実力行使にでてきた。

地球は他の惑星を征服する多くの宇宙人のブラックリストに載ってしまったのだと思う。

今回は、人間を排除してこの地球を手に入れようとしているみたい。
これまでの敵とは違って、慈悲は全くなさそう。

東京駅の真上に大きな宇宙船が現れ、人々は逃げたものの間に合わなかった。
いきなりの高熱と熱風、多くの建物と人間は蒸発する。
三鷹、横須賀、千葉の周辺までは、焼け野原で何も残らなかった。

私は、八王子の公園にいて爆風に直面してしまったけど、かろうじて助かった。
公園の橋の下で、コンクリートに囲まれた清掃用具入れの空間があり、そこに駆け込んだ。
鉄の扉を閉めたんだけど、考えられないぐらいの熱さで爆風が横を通り過ぎた。

3面はコンクリートの壁なのに、熱い。
1分以上は、息ができなかったと思う。
ここで息をすれば、肺がやけてしまうと知識がなくても分かった。
頭を両足の中に埋め、手で覆った。

5分ぐらいすると、周りからは炎はみえるけど、爆風は落ち着いた。
腕や足は、やけどで痛みを感じる。
なんとか立ち上がり、外に出てみた。

唖然とした。
周りには、生き残った人はいないように見える。
さっきまで家族で楽しそうに遊んでいた公園が、一面、燃えている。

高層のマンションとかはいずれも半分ぐらい崩れていて、鉄の柱は曲がり、折れている。
建物から崩れたコンクリートは周辺に散乱していた。
それ以外は、ほとんど何もみえない。

さっきまでいた人たちは、黒焦げで横たわっている。
男性、女性はわからない。分かるのは、大人と子供の違いだけ。
私も、やけどで立っていられず、その場に倒れ込んでしまった。
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