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第4章 征服と反撃
2話 飼われる
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とんでもないことになってしまった。
また、あの戦争が始まる。というより、戦争は終わっていなかった。
私の脳裏に、あのときの悲惨な風景が蘇った。
まず、どのぐらい目が見える人が残っているのかしら。
情報収集も含めて、周りを歩いてみることにした。
木々に若々しい葉っぱが増え、暖かい日が増えて、昨日と全く変わらない風景。
早朝に軽く雨が降ったのかしら、滑るほどじゃないけど、道は少し濡れていたわ。
木々から漏れる陽の光は眩しいけど、そこから漏れる光は美しい。
こんな状況で不謹慎だけど、風景は素敵だった。
一軒家のお庭に目をやると、お母さんらしい人が呆然と佇んでいた。
小学生の子供さんの肩に手をかけて。
「あのう。大丈夫ですか。」
「目が見えなくなって。小学生の子供も同じで、もう私達はだめですね。宇宙人に捕まり、飼われてしまうのね。」
「そうかもしれない。でも、そうならないかもしれないし、希望は捨てないで。」
希望はないんだと思う。心にも無いことを言ってしまった。
「ありがとう。目が見えるんですか?」
「なんとか。昨晩、お子さんと彗星をみたんですか?」
「やっぱり、それが原因なんですか。」
ここにいても、助けられないし、それ以上語らずにその家を離れた。
子供・・・。赤ちゃんとかは目が見える子がいるかも。
夜に、外にまで連れ出して、彗星なんて見せないと思う。
でも、私がずっと赤ちゃんの面倒まで見れるわけじゃない。
お年寄りも、彗星なんてみていないかもしれない。
1人で行動できるのであれば、なんとかなるかもしれない。
ただ、東京の消滅と、この1年の戦闘でお年寄りもあまり見ない。
そんなことを考えて歩いていると、渓谷が見えてきた。
平和な時代なら、夏とか、家族とかが集まり、バーベキューとかするのかもしれない。
本当に、風景はいたって穏やか。
そして、更に15分ぐらい歩くと、平然と歩く親子3人と出会ったの。
「あの、目がみえるんですか?」
「見えますけど、みんな見えないようで大変な状況ですね。また、宇宙人でしょうか?」
「おそらく。また、人間の捕獲、飼育がはじまるじゃないかと。」
「たしか、3日ぐらい前に夜に大きな彗星が見えるって話題になっていて、たしか、バーナーディネリ・バーンスタイン彗星とか言っていた。私達は、この子が風邪を引いて家に閉じこもっていたんだけど、周りの人は翌朝から目が見えない人ばかりになっていった。多分、その彗星のせいですよね。」
「そうみたいね。また戦争になったら、一緒に戦うことになると思うから、連絡先を教えて。」
「わかりました。」
「ところで、私達のように目が見える人たちと会いましたか?」
「今朝歩いている感じだと、100人に1人ぐらいという感じですかね。」
「そうすると、この石和市だと、数日前が1万人だから、100人ぐらいは目が見える人がいる感じなのね。」
「そんな感じだと思う。」
「じゃあ、まずは体に気をつけて。連絡するから。」
私達は、連絡先を交換して分かれたの。
駐車場に、キーが付いたままの車があったので、罪悪感を感じながらも車を拝借した。
そして、周囲を車を走らせて見て回った。
運転手は、多分、目が見えずに車を運転できないんだから、もういらないわよね。
確かに目が見える人は100人に1人ぐらいみたいね。
そして、目が見える様子の人とも出会えた。
「こんにちは。あなたは目が見えるんですね。」
「ええ、彗星ショーと言われていた日は酔っ払って寝てたもので。最初は、せっかくの光景を見逃して失敗したと思ったけど、お昼に家を出たら、周りに目が見えない人がいっぱいいて、彗星が原因だと騒ぎ始めたんです。それで、彗星を見てはいけないと思い、特に夜は家に閉じこもっていたんです。」
「彗星がよく見えるようになったと聞いた日から3日ぐらい過ぎたら、もう大丈夫だって、報道では言っていたけど、まだ信じてなくて、まだ夜空は見ないようにしているんですよ。あなたも注意した方がいい。」
「ありがとうございます。いずれにしても、お気をつけくださいね。」
「お互いに。じゃあ。」
だいたいの状況は分かったわ。でも、これからどうしよう。
川沿いにはツツジも咲き、こんな事件なんてないように、自然はとても穏やかに見える。
周りは、目がみえずに歩くと危ないのか、人はほとんど見えない。
電気や水道は動いていて、スーパーとかは冷えた刺し身とかもあって、盗み放題。
でも、冷蔵されていても、そのうち腐ってしまうわよね。
余計なこととは思いながら、腐りそうなものは冷凍庫に移しておいた。
私の家の冷蔵庫に持っていくにも限界もあるし。
まずは、目が見える人は少なそうだけど、食料は確保しておかないと。
何回もスーパーに足を運び、冷凍食品とか乾麺を、自分の家に持ち込んだ。
ところで、目が見えない人が大勢いすぎて、私達だけでお世話できる状況じゃない。
いくら、食料とかを差し出しても、限界がある。だから、お世話をするのはやめた。
また、食料も限りがあるから、みんなで分け合おうなんていう状況でもない。
私も天使じゃないし、目が見えない人に食料を渡すことはやめたの。
だから、そのうち、目が見えない人たちは餓死して亡くなってしまうのだと思う。
でも、私でさえ、こんな状況で数ヶ月とか生きられるのかは分からないし。
3日ぐらい経った頃かしら。目が見えない人たちは密かに消えていった。
おそらく、飼育用のカプセルホテルのような所に運ばれていったんだと思う。
街はひっそりとしていった。
人が減れば、あとは個別撃破で私達を襲ってくるのかもしれない。
後ろから突然、何かの液をかがせ、気を失っている間に飼育されてしまうという感じで。
今の私に、何ができるのだろうか。
また、脳がコントロールされている人もまだ残っていたんだと思う。
そういう人たちが、宇宙人を手引して、人間の確保を進めているとしか思えない。
密かに、でもすごいスピードで人は減っていった。
前回の戦争のように明らかな敵が目の前にいるわけではない。
街はいたって平穏だもの。
でも、明らかに人は飼育され始めている。
また、あの戦争が始まる。というより、戦争は終わっていなかった。
私の脳裏に、あのときの悲惨な風景が蘇った。
まず、どのぐらい目が見える人が残っているのかしら。
情報収集も含めて、周りを歩いてみることにした。
木々に若々しい葉っぱが増え、暖かい日が増えて、昨日と全く変わらない風景。
早朝に軽く雨が降ったのかしら、滑るほどじゃないけど、道は少し濡れていたわ。
木々から漏れる陽の光は眩しいけど、そこから漏れる光は美しい。
こんな状況で不謹慎だけど、風景は素敵だった。
一軒家のお庭に目をやると、お母さんらしい人が呆然と佇んでいた。
小学生の子供さんの肩に手をかけて。
「あのう。大丈夫ですか。」
「目が見えなくなって。小学生の子供も同じで、もう私達はだめですね。宇宙人に捕まり、飼われてしまうのね。」
「そうかもしれない。でも、そうならないかもしれないし、希望は捨てないで。」
希望はないんだと思う。心にも無いことを言ってしまった。
「ありがとう。目が見えるんですか?」
「なんとか。昨晩、お子さんと彗星をみたんですか?」
「やっぱり、それが原因なんですか。」
ここにいても、助けられないし、それ以上語らずにその家を離れた。
子供・・・。赤ちゃんとかは目が見える子がいるかも。
夜に、外にまで連れ出して、彗星なんて見せないと思う。
でも、私がずっと赤ちゃんの面倒まで見れるわけじゃない。
お年寄りも、彗星なんてみていないかもしれない。
1人で行動できるのであれば、なんとかなるかもしれない。
ただ、東京の消滅と、この1年の戦闘でお年寄りもあまり見ない。
そんなことを考えて歩いていると、渓谷が見えてきた。
平和な時代なら、夏とか、家族とかが集まり、バーベキューとかするのかもしれない。
本当に、風景はいたって穏やか。
そして、更に15分ぐらい歩くと、平然と歩く親子3人と出会ったの。
「あの、目がみえるんですか?」
「見えますけど、みんな見えないようで大変な状況ですね。また、宇宙人でしょうか?」
「おそらく。また、人間の捕獲、飼育がはじまるじゃないかと。」
「たしか、3日ぐらい前に夜に大きな彗星が見えるって話題になっていて、たしか、バーナーディネリ・バーンスタイン彗星とか言っていた。私達は、この子が風邪を引いて家に閉じこもっていたんだけど、周りの人は翌朝から目が見えない人ばかりになっていった。多分、その彗星のせいですよね。」
「そうみたいね。また戦争になったら、一緒に戦うことになると思うから、連絡先を教えて。」
「わかりました。」
「ところで、私達のように目が見える人たちと会いましたか?」
「今朝歩いている感じだと、100人に1人ぐらいという感じですかね。」
「そうすると、この石和市だと、数日前が1万人だから、100人ぐらいは目が見える人がいる感じなのね。」
「そんな感じだと思う。」
「じゃあ、まずは体に気をつけて。連絡するから。」
私達は、連絡先を交換して分かれたの。
駐車場に、キーが付いたままの車があったので、罪悪感を感じながらも車を拝借した。
そして、周囲を車を走らせて見て回った。
運転手は、多分、目が見えずに車を運転できないんだから、もういらないわよね。
確かに目が見える人は100人に1人ぐらいみたいね。
そして、目が見える様子の人とも出会えた。
「こんにちは。あなたは目が見えるんですね。」
「ええ、彗星ショーと言われていた日は酔っ払って寝てたもので。最初は、せっかくの光景を見逃して失敗したと思ったけど、お昼に家を出たら、周りに目が見えない人がいっぱいいて、彗星が原因だと騒ぎ始めたんです。それで、彗星を見てはいけないと思い、特に夜は家に閉じこもっていたんです。」
「彗星がよく見えるようになったと聞いた日から3日ぐらい過ぎたら、もう大丈夫だって、報道では言っていたけど、まだ信じてなくて、まだ夜空は見ないようにしているんですよ。あなたも注意した方がいい。」
「ありがとうございます。いずれにしても、お気をつけくださいね。」
「お互いに。じゃあ。」
だいたいの状況は分かったわ。でも、これからどうしよう。
川沿いにはツツジも咲き、こんな事件なんてないように、自然はとても穏やかに見える。
周りは、目がみえずに歩くと危ないのか、人はほとんど見えない。
電気や水道は動いていて、スーパーとかは冷えた刺し身とかもあって、盗み放題。
でも、冷蔵されていても、そのうち腐ってしまうわよね。
余計なこととは思いながら、腐りそうなものは冷凍庫に移しておいた。
私の家の冷蔵庫に持っていくにも限界もあるし。
まずは、目が見える人は少なそうだけど、食料は確保しておかないと。
何回もスーパーに足を運び、冷凍食品とか乾麺を、自分の家に持ち込んだ。
ところで、目が見えない人が大勢いすぎて、私達だけでお世話できる状況じゃない。
いくら、食料とかを差し出しても、限界がある。だから、お世話をするのはやめた。
また、食料も限りがあるから、みんなで分け合おうなんていう状況でもない。
私も天使じゃないし、目が見えない人に食料を渡すことはやめたの。
だから、そのうち、目が見えない人たちは餓死して亡くなってしまうのだと思う。
でも、私でさえ、こんな状況で数ヶ月とか生きられるのかは分からないし。
3日ぐらい経った頃かしら。目が見えない人たちは密かに消えていった。
おそらく、飼育用のカプセルホテルのような所に運ばれていったんだと思う。
街はひっそりとしていった。
人が減れば、あとは個別撃破で私達を襲ってくるのかもしれない。
後ろから突然、何かの液をかがせ、気を失っている間に飼育されてしまうという感じで。
今の私に、何ができるのだろうか。
また、脳がコントロールされている人もまだ残っていたんだと思う。
そういう人たちが、宇宙人を手引して、人間の確保を進めているとしか思えない。
密かに、でもすごいスピードで人は減っていった。
前回の戦争のように明らかな敵が目の前にいるわけではない。
街はいたって平穏だもの。
でも、明らかに人は飼育され始めている。
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