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第2章 総攻撃

4話 再開

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目が覚めると、窓から爽やかな風が入り込み、平穏な朝が始まった。
私は、学校に行き、私に対する嫌がらせには、相手に強気で抗議することにした。
あんな悲惨な状況を乗り越えてきたから。
そして、つまらないことは無視することにした。
そうしているうちに、私をいじめる人はいなくなった。

どうして、こんな簡単なことが、これまでできなかったんだろう。
怖かったから、面倒だったから?
多分、我慢だけしていれば、今はおさまると安易に考えていたんだと思う。
でも、そんなことはなかった。

こんな平和な世の中は、自分次第で幸せに生きることができる。
それだけで、幸せなことなんだと気づいた。
これまで世の中は灰色に見えていたけど、新緑からは光がもれ、とっても綺麗。
色々なお花が一斉に咲き始めた。楽しそう。

これまで気づかなかったけど、鳥の囀りも聞こえてきた。
蝶々とかも、楽しそうに飛んでいる。
人間だけじゃなくて、色々な動物がこの地球で楽しく生きている。

川では水が流れ、海辺では波が寄せ、動物でなくても、自然そのものが生きているみたい。
そんな地球にいて、私たちは、本当に幸せなんだと思う。

そして、人は、道路でも、電車でも、どこでも、みんな大切な人を想い暮らしている。
大切な時間を過ごしている。
笑顔を見ると、前に進んでるんだと思えるようになった。
この人が、自分の力で幸せな時間と空間を生み出しているんだと。

あと、1年ちょっとで、あの世界になるのかもしれない。
だから、今は精一杯楽しんで、そして、親に言って東京から地方に逃げよう。

あの話しをして、私が人類を守らなければと思う。
最初は、誰も信じてくれないだろうし、私が気狂いだと思われるに違いないわね。
でも、勇気がなければ、世の中は変わらない。
大切なものを守らないと。

敵が攻めてきてからでは遅いもの。
でも、あの先はどうなったんだろう。あの時の私は、あれからも生き延びられたのかしら。
今でも、私が生き残ったのは本当に申し訳ないと思う。
でも、その分、誰かのために自分の命を捧げようと、頑張らなければいけない。
そういう気持ちは心の中に残っている。

あの日から、戦闘の現場に戻ることはなくなった。
あの時間が私を強くしてくれたし、暖かい人の気持ちを知ることができた。
誰に言っていいかわからないけど、感謝してる。

夏が終わり、紅葉で真っ赤に色づいた風景、雪が降る都会の光景。
四季とともに、私たちが暮らしている光景は刻々と変わり、いずれも美しい。
本当は、ずっと、このままの地球であってほしい。

そういえば、最近、あの時の男性たちの顔を、一人ひとり、はっきりと思い出す。
あんな状況だったのに、みんなイキイキとしていて、なぜか、楽しそうだった。
みんな凛々しかった。

もし、あの後、人類が生き残り、歴史とかになったら、鬼軍曹の物語とか言われるかもね。
若者は自爆を強要された、みんな可哀想とかいう。
でも、本当は全く違う。確かに怖かったかもしれない。
みんな、大切な人のために、自分の意思で、自分から突進していった。

なぜか、この平和の時代より、男性どうしで、1分、1分が充実していた。
生きているありがたみをみんなで共有していたように思う。
女性にはわからない、男性どうしの友情というものかしら。

でも、少しは男性の気持ちもわかるようになった気がする。
少しの時間でも男性になって、男性たちと過酷な時間を一緒に過ごすことで。

カフェで、ぼーっとしていた、その時だった。
あの戦闘で私が過ごした男性の顔とそっくりな人が、私の横を通りかかった。
1人でコーヒーでも飲む感じで。
私があの戦闘で、あの時間を過ごしたのは、この人としてだった。
あの時と違って、清潔で、ひ弱そうな学生だけど、間違いはない。

「あの、もし、よろしければ、一緒にパフェ、食べませんか? なんか、不思議なんですけど、あなたから、懐かしい雰囲気を感じたので、話したくなって。木村さん、いいですよね。」
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