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4話 彼女
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「涼、復帰したんだね。ご両親から、大変な事故で、涼がしばらく会いたくないと言ってるて聞いたから、行かなかったんだけど、冷たいじゃない。」
廊下を歩いていたら、いきなり、私の前に金髪の顔が飛び込んできて話し始めた。
あ、これが聞いていた彼女か。坂本 咲とか言っていたな。なんか、軽薄そうで、付き合いづらい。私は、女性が好きだと言っても、女性なら誰でもいいわけではなく、特に軽そうで、外見ばかり気にしている女性は、あまり好きになれない。
「ごめん。傷もひどかったから、見られたくなかったんだ。でも、見ても分かるとおり、傷は少し残っているけど、大体治ったから、これからは大丈夫。」
「なんか、雰囲気が固くない? 今夜、一緒に飲みにいくよ。18時半に渋谷駅の109前で待っているから、遅れないでね。楽しみにしてるわ。」
「わかった。」
時間通り109に行くと、少し遅れて彼女がやってきた。
「ごめん、ごめん、少し遅れちゃった。」
「今日はどこ行くの?」
「おしゃれな居酒屋、見つけたの。ついてきて。」
5分ほど歩いて店につき、席に通された。
「涼の快気祝い、乾杯! 本当に心配したんだから。」
「乾杯。ごめん、ごめん。この頃は、どう過ごしていた?」
「そんなに変わらない。聞いて、聞いて、1週間ぐらい前、爪、割れちゃって、ネールとか台無しになっちゃって、ひどいと思わない?」
「そりゃ、大変だ。」
「そうだよね。このネール、気に入っていたんだ。そういえば、涼にはまだ見せてなかったよね。この夏の雰囲気、かわいいでしょう。」
「かわいい。」
「本当に、聞いてる? なんか、言葉が少ないなぁ。まあ、まだ完全に復帰じゃないんだから、そんなものかな? でも、なんか、お酒のペースも遅いよ。もっとペース上げて。」
「咲さん、マイペースで飲むから、気にしないで。」
「本当に涼なの。今まで咲って呼んでたけど、堅苦しいな。そういえば、涼と同じ部署の清水さん、また男に手を出したってよ。本当に尻軽女なんだから。涼は私がいるんだから、清水さんから声かけられても、ちょっかい出さないでね。大丈夫だと思うけど。そうそう、総務部の酒井さんと水田さん、今度、結婚するだって。両方ともバツ2だよ。ありえないでしょ。まあ、ゴミの掃き溜めの総務だから、当然か。でも、笑える。」
彼女の話しは、永遠に続いたが、話しの内容よりも、結構、ビールが美味しいとびっくりしていた。体が変わってから、味覚も変わってきた。昔、大好きだったスィーツとかはあまり欲しいと思わなくなくなったし、これまであまり興味のなかったラーメンとか、油っぽいものは食べたいと思うようになった。
それ以上に驚いたのは、昔はお酒はほとんど飲めなかった、というより飲むと気持ち悪くなったんだけど、この体になって、ほとんど酔わずに、強いお酒も飲めるようになり、ビールも、この苦さが美味しいと思うようになるとは考えてもみなかった。
2時間ぐらい経ってからお店を出て、彼女と歩いていたら、彼女が手を引っ張って、行こうと言い出し、どこに行くのかと思っていたら、ラブホの前にいた。そして、ぐいぐいと部屋に連れていかれ、結局、部屋に入ってしまった。
その後、彼女はキスをしてきて、脱ぎ始め、私の服も脱がせて、ベットに入り、抱きついてきた。女性を抱くことは初めてだったので戸惑ったが、体を重ねた。
「あ、気持ちよかった。久しぶりだもんね。なんか、前より丁寧な感じで、勢いとか、力強さがなかったけど、まだ、体の調子が良くないなら、無理はできないか。」
「そんなことはないけど。」
「そう言えば、ここに入ってくる時、前の客見た? 若い子とおじさんで、歳の差20ぐらいだったけど、あれって、間違いなく金目当ての女だよね。化粧ばっちりだったし。いくらぐらいが相場なの?」
「知らないよ。」
「そうだよね。まあ、おじさんは金でやれて、女はもらった金で遊べるんだから、誰も困らないのに、どうしてだめとか言われているんだろう。まあ、そんな女は、金を貰わないと相手にされないやつばかりだけどね。ところで、今度は、いつにしようか。そういえば、今月末にフェスがあるけど、一緒に行こうよ。チケット取っておくからさ。」
こんな形で、彼女とは付き合っていたけど、彼女が軽薄で、何も考えずに、その場だけで考えた薄っぺらいことしか話さないことに飽きてきていて、彼女の話しも上の空という時間も増えていった。
仕事自体は、心配していたほどのことはなく、極めて順調に進んでいた。職場では、むしろ男性になったことで良いことは多く、特に、男性はブスッとしていても、それほど違和感がなく、女性の時のように愛想笑いとかしなくて良くなったのは、とても気が楽になった。
半年が過ぎた頃、彼女はなんか言いたそうな顔をして、カフェに行こうと誘ってきた。
「涼、なんか事故から雰囲気が変わったね。前みたいに、私の胸が大きいって、すぐに触ってくることとかなくなったし、前は、いつも、いずれ俺はこの会社の社長になってやるって言って、目をギラつかせていたけど、最近は、なんか上り詰めるという気合いを感じない。そんな涼は、かっこよくない。」
「そんなに変わったかな?」
「変わったよ。それでね、私たち、少し距離をおいた方がいいと思うんだ。だから、しばらくの間、連絡とかしないし、連絡してこないで。そっちの方がいいと思う。」
「咲がそういうなら、仕方がないな。」
「わかってもらえたのね。じゃあね。」
彼女はそう言って、カフェから出ていった。その後、さほどの期間をおかず、彼女は同じ部署の男性と付き合っているという噂を聞いた。
廊下を歩いていたら、いきなり、私の前に金髪の顔が飛び込んできて話し始めた。
あ、これが聞いていた彼女か。坂本 咲とか言っていたな。なんか、軽薄そうで、付き合いづらい。私は、女性が好きだと言っても、女性なら誰でもいいわけではなく、特に軽そうで、外見ばかり気にしている女性は、あまり好きになれない。
「ごめん。傷もひどかったから、見られたくなかったんだ。でも、見ても分かるとおり、傷は少し残っているけど、大体治ったから、これからは大丈夫。」
「なんか、雰囲気が固くない? 今夜、一緒に飲みにいくよ。18時半に渋谷駅の109前で待っているから、遅れないでね。楽しみにしてるわ。」
「わかった。」
時間通り109に行くと、少し遅れて彼女がやってきた。
「ごめん、ごめん、少し遅れちゃった。」
「今日はどこ行くの?」
「おしゃれな居酒屋、見つけたの。ついてきて。」
5分ほど歩いて店につき、席に通された。
「涼の快気祝い、乾杯! 本当に心配したんだから。」
「乾杯。ごめん、ごめん。この頃は、どう過ごしていた?」
「そんなに変わらない。聞いて、聞いて、1週間ぐらい前、爪、割れちゃって、ネールとか台無しになっちゃって、ひどいと思わない?」
「そりゃ、大変だ。」
「そうだよね。このネール、気に入っていたんだ。そういえば、涼にはまだ見せてなかったよね。この夏の雰囲気、かわいいでしょう。」
「かわいい。」
「本当に、聞いてる? なんか、言葉が少ないなぁ。まあ、まだ完全に復帰じゃないんだから、そんなものかな? でも、なんか、お酒のペースも遅いよ。もっとペース上げて。」
「咲さん、マイペースで飲むから、気にしないで。」
「本当に涼なの。今まで咲って呼んでたけど、堅苦しいな。そういえば、涼と同じ部署の清水さん、また男に手を出したってよ。本当に尻軽女なんだから。涼は私がいるんだから、清水さんから声かけられても、ちょっかい出さないでね。大丈夫だと思うけど。そうそう、総務部の酒井さんと水田さん、今度、結婚するだって。両方ともバツ2だよ。ありえないでしょ。まあ、ゴミの掃き溜めの総務だから、当然か。でも、笑える。」
彼女の話しは、永遠に続いたが、話しの内容よりも、結構、ビールが美味しいとびっくりしていた。体が変わってから、味覚も変わってきた。昔、大好きだったスィーツとかはあまり欲しいと思わなくなくなったし、これまであまり興味のなかったラーメンとか、油っぽいものは食べたいと思うようになった。
それ以上に驚いたのは、昔はお酒はほとんど飲めなかった、というより飲むと気持ち悪くなったんだけど、この体になって、ほとんど酔わずに、強いお酒も飲めるようになり、ビールも、この苦さが美味しいと思うようになるとは考えてもみなかった。
2時間ぐらい経ってからお店を出て、彼女と歩いていたら、彼女が手を引っ張って、行こうと言い出し、どこに行くのかと思っていたら、ラブホの前にいた。そして、ぐいぐいと部屋に連れていかれ、結局、部屋に入ってしまった。
その後、彼女はキスをしてきて、脱ぎ始め、私の服も脱がせて、ベットに入り、抱きついてきた。女性を抱くことは初めてだったので戸惑ったが、体を重ねた。
「あ、気持ちよかった。久しぶりだもんね。なんか、前より丁寧な感じで、勢いとか、力強さがなかったけど、まだ、体の調子が良くないなら、無理はできないか。」
「そんなことはないけど。」
「そう言えば、ここに入ってくる時、前の客見た? 若い子とおじさんで、歳の差20ぐらいだったけど、あれって、間違いなく金目当ての女だよね。化粧ばっちりだったし。いくらぐらいが相場なの?」
「知らないよ。」
「そうだよね。まあ、おじさんは金でやれて、女はもらった金で遊べるんだから、誰も困らないのに、どうしてだめとか言われているんだろう。まあ、そんな女は、金を貰わないと相手にされないやつばかりだけどね。ところで、今度は、いつにしようか。そういえば、今月末にフェスがあるけど、一緒に行こうよ。チケット取っておくからさ。」
こんな形で、彼女とは付き合っていたけど、彼女が軽薄で、何も考えずに、その場だけで考えた薄っぺらいことしか話さないことに飽きてきていて、彼女の話しも上の空という時間も増えていった。
仕事自体は、心配していたほどのことはなく、極めて順調に進んでいた。職場では、むしろ男性になったことで良いことは多く、特に、男性はブスッとしていても、それほど違和感がなく、女性の時のように愛想笑いとかしなくて良くなったのは、とても気が楽になった。
半年が過ぎた頃、彼女はなんか言いたそうな顔をして、カフェに行こうと誘ってきた。
「涼、なんか事故から雰囲気が変わったね。前みたいに、私の胸が大きいって、すぐに触ってくることとかなくなったし、前は、いつも、いずれ俺はこの会社の社長になってやるって言って、目をギラつかせていたけど、最近は、なんか上り詰めるという気合いを感じない。そんな涼は、かっこよくない。」
「そんなに変わったかな?」
「変わったよ。それでね、私たち、少し距離をおいた方がいいと思うんだ。だから、しばらくの間、連絡とかしないし、連絡してこないで。そっちの方がいいと思う。」
「咲がそういうなら、仕方がないな。」
「わかってもらえたのね。じゃあね。」
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