転生の結末

一宮 沙耶

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3話 失恋

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 私は、祐美と何度も会ううちに、祐美を恋愛の対象として見ていた。ある日、勇気を出して、歩いているときに手を握ったら、祐美は拒否することなく、笑顔で私を見返した。でも、嫌われてしまうと思い、さすがに告白までする勇気はなかったの。

 カフェに行って、祐美が飲んでるストローをじっと見つめてしまったりしてる。あのストローで飲んだら間接キスかもとか。そのうち、夢にも、祐美と唇を重ねているのが出てくるようになっていったの。だから、会うと、祐美の唇とかに自然に目がいってしまう。

 祐美から、そんなに見つめないでよなんて無邪気な笑顔で言われると、私は罪悪感に苛まれてしまう。祐美は、私が恋愛の対象として見てるなんて、これぽっちも思っていない。

 女性が女性を好きになるって、こんなに苦しいことだとは思わなかった。でも、だからといって、祐美から逃げようなんて思えない。祐美とはずっと一緒にいたい。

 こんな悩みって、誰かに話して楽になりたい。誰に相談すればいいんだろう?
 
 ある日、SNSで、レズビアンの部屋というサイトを見つけ、どうも、日を決めてレズどうしで会うというグループを見つけた。なんか、女性どうしで話したり、エッチをするみたい。

 祐美が大好きなのよ。でも、レズとしての悩みを共有したりしたいけど、祐美には話せない。また、時々、体が欲するというか、誰かに抱いてほしい気にもなるけど、男性は無理だし、祐美にそんなことをお願いできるはずもない。

 でも、もしかしたら、部屋にいくと男性とかいて、強姦されてしまうんじゃないかと心配もあったわ。ただ、悩んでても前に進めないから、行ってみることにしたの。

「こんにちは。理恵ですけど、いらっしゃいますか?」
「理恵さんですね。お待ちしていました。どうぞ、お入りください。」

 マンションの1室に入ると、大学生ぐらいの女性1人だけで、暴力団の男性とかはいなかったので一安心した。親はいないようで、通路側の、その女性の部屋と思われる所に通された。部屋は6畳ぐらいで、机とベットだけがあるシンプルな部屋だった。

「こういうの初めてよね。大丈夫だから安心して。まだ高校生なのね。私は大学1年生だから、ほとんど同じ年よ。座るところはベットぐらいしかないけど、まあ座って、ゆっくりして。」
「はい。」
「緊張しなくていいから。あなたも、男性に興味を持てないの?」
「そうなんです。なんか、気持ち悪くて。逆に、好きと思っている女性がいるんですけど、言い出せなくて。」
「そうなのね。それは辛いわね。このグループは、そんな話しをしたり、女性どおしでエッチしたりするところなのよ。」
「女性どおしでエッチって、どうするんですか?」
「興味ある?」
「あります。」
「じゃあ、実体験してみるのが早いわ。」

 その女性は、私にキスをしてきた。これから、どうなるのかわからないから、相手に任せることにした。舌を口の中に入れられ、長い時間、キスは続いた。チュッて軽く唇を合わせるのがキスと思っていたので、こんな濃厚キスには驚いたけど、女性とのキスは違和感が全くなかった。

 その後、スルスルと服を脱がされ、いつの間にか、ブラもパンツも脱がされていた。彼女の頭が私の下半身を覆い、その後、道具とかも使うようになったの。少しづつだったので、思いのほか痛みはなかった。

 その日は、それで終わって、悩みを聞いてもらった。なんか、私の話しばかりで、申し訳なかったけど、親切に聞いてくれたの。そして、相手は受け入れられないことが多いから、付かず離れずでずっといくか、ちょっとづつ近づいていくしかないってアドバイスしてくれた。

 それから、何回も訪問し、私の悩みをいつも笑顔で聞いてもらった。そして、エッチは、訪問するたびに過激になっていったの。私のあそこ、あんなにびちょびちょになるなんて、思ってもみなかった。

 もちろん気持ちいいということはあるけど、むしろ、体が一つになっていることで、今、ここで、2人が一緒だという気持ちになりたかったんだと思う。日頃、学校では1人ぼっちでいるからこそ、誰かと一緒の時間を過ごしたい、私は愛されているんだって感じたかった。

 男性の時は考えたこともなかったけど、女性って、体で愛することもできるって気づいた。相手と一つになるのは、体だけじゃなくて気持ちもそうなんだって。

 彼女は、私の汚い部分も全部知っているから、飾ることなく、本音でなにを話しても嫌われない。そういう人と一体になれるこの時間は好きだったし、心の支えになった。

 学校では、相変わらず、私への無視は続き、疎外感を感じる毎日は続いていた。

 そんな時、ふとした時に、祐美に、私が道を歩いているのに気づかれ、とあるマンションの一室に入っていくのを見られてしまったの。

 祐美は、ここが自宅かななんて軽い気持ちで、私の後をつけていた。そして、玄関の前でしばらくいると、通路側の部屋の窓から、女性二人の喘ぎ声が聞こえてきて、祐美には、何が起こっているのかわかったんだと思う。

 あれはテレビとか映画じゃなくて、今、ここにいる女性どうしの声に違いないと。

 それ以来、私から、会おうと誘いのメッセージを送ったけど、祐美は無視をし続けた。何で返事くれないのって何回も連絡したけど、返事はこなかった。

 そして、しばらく経った頃、理恵は女の人とエッチしているのね、そんなの気持ち悪いわ、私のことそんな目で見てたのね、もう会いたくないと返事がきたの。

 説明させてとメッセージを送ったけど、それ以降、また、音信不通になってしまった。

 どうしてバレたか分からなかったけど、本当のことなので、泣きながら諦めるしかなかった。もう、会えないんだと、実感が湧いてきて、涙が止まらなかった。

 レズビアンの部屋で知り合った彼女とは、関係は続いたけど、そうは言っても、少し感覚が違うからか、付き合うということろまではお互いに発展しなかったわ。

 今から思うと、彼女が好きなんじゃなくて、体がエッチを欲していただけなのかもしれない。よくわからない。

 美沙とは引き続き仲良くしていたけど、ランチの時も、学校に来るときも、帰る時も、ずっと1人だった。やっぱり、私って、こういう人生なんだわ。性格が悪いのね。でも、無理しても治せないんだから、今の状態に慣れる方が簡単。

 1人でいる時間が増えると、笑顔も少なくなり、私は、暗いイメージに見られるようになっていった。

 ある日、電車に乗っていると、突然、お尻を触られた。何? 満員電車だったので、振り向くこともできずにいたけど、続けて触ってくるので、手を握ってやった。そして、次の駅で、駅員さん、痴漢ですって、その男を突き出したの。

 その男性はホームから逃げ出そうとしたけど、周りの人に押さえつけられ、警察に連れて行かれた。

 そんな事件が校内でも、噂になり、理恵って、正義ぶって、つまらない女、冷たい女、暗い女、気に食わない人がいると男使って暴力を振うらしいとみんなが噂するようになったわ。

 私が悪いの? 痴漢する人が悪いんでしょ。私は、教室の前でみんなに大声で叫んでた。悲鳴のような声だったからか、私は気が狂ってるって、陰でみんなが言うようになった。

 先生も、私の味方をする様子もなく、腫れ物に触るような風に、私には近づかないようになっていったわ。先生って、生徒を助けるためにいるんじゃないの。

 美沙も、その頃になると、私に近づくといいことがないって避けるようになり、ますます1人になっていったの。

 どうして。ブルマ盗まれた時だって、痴漢された時だって、私が悪いわけじゃないのに。それを悪いって言っただけじゃない。女性どうしで寝たって、他の人に迷惑をかけているわけじゃない。どうして、みんな、私のことが嫌いになるの。

 暗い気持ちで高校生活を過ごしたけど、大学では、高校からの推薦入学は今いるクラスメート全員じゃないし、外からも入ってくるので、気分一新できると、少しは気が楽になっていた。

 また、両親がサンフランシスコに転勤となり、自宅は他の方に貸すことになったので、私は、大学の寮に住むことになった。寮には、私のことを知らず、初めて会う人はいっぱいいる。だから、新しい友達もできると思う。

 この機会に、自分のイメージも一新しよう。自分が悪いところは、これまでの経験で、よくわかってる。これまでのことをゼロクリアすれば、絶対に友達ができるって。

 仲良くできるか不安もあるけど、ここで気分を変え、明るく振る舞い、友達を作ることに全力を尽くすことにした。
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